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プロローグ
魔法学院の図書館で、一人の男が静かに腰を下ろし、一冊の本を手にしていた。男は本の角を強く握りしめていた。
涙が一滴、また一滴と、本に載った写真の上に落ちていった。写真には、二人の少年と一人の少女が、黄金色の大樹の下で並んで立っていた。
男は指の腹で、写真の中の少女を優しくなぞった。彼女は二人の少年と肩を並べ、あんなにも楽しそうに笑っていた。
静まり返った図書館で、男は低く呟いた。
「もう時間がない……ごめん」
握りしめられた頁には、いくつもの皺が刻まれていた。長い時間が過ぎ、男はようやく重い音を立てて本を閉じ、元の場所へ戻した。
男は最後に図書館を見渡し、そこを後にした。そして、そのまま学院からも去っていった。
もし、魔法が人を自由に空へ飛ばし、傷を癒やし、弱い者たちを守ることもできるのなら――
それなら、失ってしまった彼女を、もう一度連れ戻すこともできるのだろうか。




