停戦のための秘策Ⅱ
22.停戦のための秘策Ⅱ
「やることは簡単です……ボーキサイ国民が我慢をやめて……丁度これから稲作の二期作目の田植えが始まる時期ですから……水田の水をため池からではなく川から引くのです。確か雨が続くとため池の水があふれて周囲が水浸しとなってしまうため川に流せるよう用水路で川につながっていて、水門を開けさえすれば迂回して田へ水を引けるはずですわね……。」
「ため池の水はどうするのじゃ?せっかく溜めてあるというに……それこそ少しの雨であふれてしまうようになるのではないのか?」
公爵が不満げに首をかしげながら問いかける
「それは夏野菜の畑に使用すればいいのではないでしょうか?毎年夏場は二期作目の水田の水需要で畑まで水が回らず、野菜不足で価格が高騰いたします。ボーキ海へ流入する河川の流域であるにも関わらず夏場は野菜が高騰して家計を圧迫する上病気も蔓延しやすく、風土病とも称される脚気がボーキサイ国民に多いのはそのためと言われております。
水をふんだんに使えれば野菜は高騰せずに済むでしょう。ほかにも家畜への酪農の水にも使えるようになれば野菜だけではなく肉類や牛乳……鶏卵だって国産品が安く市場に出回るはずです。
エラルミント家は公益法人のほかにエラルミント貿易とエラルミント物産の二社を経営しておりますが、夏野菜が高騰すれば他国から輸入して利益を得られますし、肉や牛乳、鶏卵の国外からの輸入も一手に引き受けていると聞いております。そもそもボーキ海のサメの卵を缶詰として販売しているのは今ではエラルミント物産の独占です。
トゥルーディは水産加工や貿易で得た利益のほとんどすべては近隣住民への施しや国家への寄付に使われていると教えてくれましたが、伯爵家の豪邸や生活を考えるとそれは虚言で、彼女はそう信じ込まされていただけでしょう。自宅の様子や生活を考えればすぐわかりそうなものですが……彼女は世間知らずですからね……。
伯爵はサメの枯渇を恐れボーキ海での乱獲は止めさせたかったでしょうが、農業用の利水にはこだわらなかったのでしょう……そのほうがより利益を得られるのですからね……他国のサメ漁へのけん制として戦争を始めましたがそれ以上は望まなかった……それよりも眷属としての活動を優先させたのではないでしょうかね。
ですが今こそ……ボーキ海へ流入する川の水を減らし……ボーキ海を干上がらせ、我が国がこれまでしてきた努力を他国にまで知らしめるのです。
恐らく夏場の今であれば……川の水の流入が半分になれば目に見えてボーキ海の水位は減少していくことでしょう。今年中は大丈夫でも来年にもなれば……貝類含めサメの養殖は困難となるでしょうね……それが分かっていても……スーバキ国もメンドー国も……手の打ちようがないはずです。
二ケ国から流入する川はほぼありませんし、そもそも彼らはボーキ海へ流入する水の心配などしたことがあるはずも御座いませんでしょうから……仮に心配していたのなら……ボーキサイ国の主張に少しは耳を傾けていたはずです。」
エミリアはここでふうっと息を吐くとすぐに大きく息を吸い込んだ。
「重要なのは……これが他国を困らせる為では決してなく……戦火にあえぎ困窮したボーキサイ国で田畑から収穫を得るためにやむを得ない行為であり何百万もの国民を飢餓から救うための行為であると……戦況が悪化し余力がなくなりこれまで我慢してきたことが継続できなくなったためであると主張し続けることです。
決して交渉を優位にするための作戦ではないと……生きるために必要な行為であると……そう主張しなければ相手は怒って戦火を煽るだけですからね……スーバキ国もメンドー国もこれと言って大きな産業がある訳でもない弱小国のボーキサイ国を占領して属国化しようとは考えていない筈です。やろうと思えばこれまでだってできていたはずですからね。
特産品のサメの卵だって養殖により今では彼らの方が遥かに優位に資源を活用しておりますから……ですが弱体化したのはたった一人の貴族が、国家を揺るがすような行為を何と七年以上にもわたって繰り返し行ってきたからです。今からでも遅くはありません。なんとしても戦争を終結させて、元の平和で豊かなボーキサイ国を取り戻しましょう。」
エミリアが交渉を成功させるための作戦をゆっくりと事細かく説明した。
エミリアは伯爵には何ら恨みなど抱いてはいない……娘であるトゥルーディは優しいお姉さんとして幼いエミリアの面倒を見てくれていた仲だ……だが今ここでは悪役になってもらわねば国王の心が揺らがないと判断したのであろう。
「成程のう……先人たちの教えに背く様で申し訳ないのだが……ボーキ海へ流れ込む河川の水を農業に使ってしまいボーキ海の水位を下げることにより、我らの苦労をスーバキ国とメンドー国に深く理解して頂こうと……そういうことだな?
確かに言い方によっては相手を怒らせるだけだが……うまく言い繕うことが出来れば……国際法上も我らの言い分は通るであろうな……なにせ河川の利水権は河川流域国にあるのだからな……だがボーキサイ国民は先人らの教えを固く守って……河川の水を使わず我慢に我慢を重ねて来ておったわけじゃ……。」
エミリアの父もエミリアの周到な計略に、満足そうにうなずく。
「王様……この方法ならうまくいくやもしれません……何より国民に負担を強いるのではなく逆に負担を軽減する……そのおかげで農作物の収穫が増えれば国力も上がるでしょうし……いいこと尽くしの様ですぞ。
まあ……あまりにいい事ばかりですとどこかに落とし穴がありそうで怖い気持ちはありますが……ですがやってみる価値は十分あると思いますぞ……なあに仮に不具合が起こったとしても……用水路の水門を閉じさえすれば……また川の水はボーキ海へ注ぐことになりますからね……やり直すことは可能でしょう……。」
公爵は娘の計略に満足し、王に実施を促した。
「ふうむ……一度やってみるか……だがここでの会話は……決して他国へ漏らすでないぞ。計略として行うには……あまりにも簡単で……しかもあからさまだからな……。
早速農家に対し今後は川の水を直接田へ引いて稲作を行うよう触れを出し、酪農含む全ての農家に対し、ため池の水を必要なだけ使うよう触れを出すとしよう……但し先人たちの怒りに触れぬよう……氏神様への御参り後に行うことを徹底するよう付け加える。
明日にでも王宮にて……ご先祖様たちの慰霊塚に供物を捧げ盛大にお参りを行うぞ。」
「はっ……かしこまりました……直ちに手配いたします。」
「私も……農家へのお触れに関して草案を作成させるよう手続きを……」
すぐさま公爵と子爵が立ち上がり部屋を出ていった……。
「ふうむ……若くて柔軟な発想には……ほとほと敬服いたすぞ……そなたたちには王都への大型魔物や魔族の侵入対応含め、大いに助けられた。その上……魔王の羊皮紙をハリキルまで届けて頂く重要任務まで……本当に大役ばかり押し付けるようで……申し訳なく感じておる。
これもここまでわが国が疲弊し余力がなくなったがためで……本来なら王都への魔物や魔族浸入など国軍で簡単に駆除撲滅できるはずなのだが……魔王の羊皮紙だって国軍が護衛して運ぶべきものであろうが……今やかような事すらできない現状が歯がゆい……すべてはわしが元凶なのだ……友を信じすぎたが余りに……本当に申し訳ない。」
公爵らが席を立った後で王がソファから腰を浮かせ、エミリア達に深く頭を下げた。
「そんな……勿体ない……誰のせいでもありませんよ……伯爵様のせいですら……悪いのは魔王や魔族なのです。」
エミリアはきっぱりと魔王のせいと突っぱねた。
「そうだな……」
巧もエミリアから王へ視線を移し……
「魔族は狙った人間に対し遠隔から精神感応を使って操ろうと何度も試みると聞いております。勿論通常は簡単に跳ねのけられるようですが……自分の生い立ちや境遇に多大な不満を持っていたり、現状をどんな手を使ってでも変えたいと強い欲望を抱いていたり……そんな心に闇を抱えている人物は魔族に魅入られやすいようです。
特に忍びの場合は……悪事に手を染めた者たちは決まって……心の中の悪魔に囁かれた……と証言するそうです。中にはそれが魔族の声と知らず……魔族に操られていることさえ知らず加担している場合もあると聞きました。捕らえた眷属への拷問による証言で発覚する忍び眷属もいるようですね。
伯爵の場合は……まだ眷属と自白したわけではありませんが……ですが自宅謹慎を申し渡された後も、伯爵の不正を告発する声はほとんどなかったそうですから……恐らく強い権力を使って職員や社員らの口を塞いでいたのでしょう……状況証拠だけでは咎められなかったので仕方がありません。
魔族の眷属を疑われた場合のみ……状況証拠だけでも確証を得られれば拷問を含む取り調べが行われますからね……そうなると命じられていただけでも加担を疑われると自分も拷問を含む取り調べとなりますから……重い口を開かざるを得なくなるわけです……そうでもしなければ暴けなかった悪事ですから……仕方なかったと思います。」
エミリアも巧も伯爵の悪事を暴けず長く権力の座に居座らせてしまったのは、仕方がなかったと王を慰める。
「王様……たった今……エラルミント伯爵が魔族の眷属であったことを認めました。毎夜夢に現れお告げを行う四本腕の悪魔が……魔族であることを認識したと……彼の囁きに従いこれまで数々の不正を行って参ったと……そう自白致しました。勿論夢の中でのことですから家族にも打ち明けず……自分一人だけで全て行ったと……。
これにより……伯爵への拷問は中止となり、家族や親類縁者には累は及ばないこととなります。その上で……王様……伯爵の悪事に加担した者の告白は……本日中とのことでしたがお触れを発した途端に多数の業者及び職員らが王宮へ出向き……今では王宮を一周以上取り囲む行列ができており、とても本日中に終了できません。
本日中まで受け付け以外は加担したとする王令を……延長願えませんか?おそらく王都だけではなく地方都市からも告白したい旨申し込みが殺到するものと考えております。」
ちょうどそこへ子爵が戻って来て、伯爵が眷属であったと自白したと王に報告する。どうやら夢の中で操られていたようだ。やはり眷属であったと分かり、濡れ衣ではないことにエミリアもほっと胸をなでおろす。
「なんと……そんなに悪事に加担した業者や職員がいるという事か?いったいどこまで……ううむ……一部を見逃しておいてこちらはだめとするわけにもいかんだろう……来週中までの自白であれば、眷属に加担した罪には問わんと触れを訂正してくれ。
ううむ……本当に……わしはなにを見て何を聞いてここまで……この国のことを想って政治を行ってきたはずなのに……。」
王はがっくりと肩を落とし、ソファに座りながら前かがみに膝に突っ伏してしまった。
「王様……明日の祭禮の手配は終わりました。」
公爵も先祖の慰霊塚への供養の手配は終わったと告げに戻って来た。
「では我々はこの辺で……魔王の羊皮紙を届ける任務もありますので……失礼いたします。」
子爵と公爵が戻ってきたところで巧が別れを切り出した。
「おお……そうじゃったな……ずいぶん長く引き留めることになってしまい申し訳なかった。だがおかげで……この国も少しは変わっていけることだろう……戻ってくる頃には明るい報告が待っていることを期待しておいてくれ。
では気を付けて……エミリアも……特に食べ物には気を付けるのじゃぞ……。」
公爵は優しい笑みを浮かべながら巧に一礼し、エミリアに近づき抱きしめ別れを告げた。
「はい……父様もお元気で……。」
エミリアは少し涙ぐんで答えた。
「お待ち申しておりました……。」
応接室を出て王宮内の聖教会へ戻ってみると、正教会前には一台の洒落た造りの豪華な馬車が止まっていた。
「どこかお出かけのご予定だったか?お待たせして申し訳ない。」
出かける予定であったハルクを待たせてしまったかと巧が頭を下げる。なにせ魔王の羊皮紙を預けっぱなしなのでハルクも勝手に外出は出来なかったのだ。
「いえいえ……我々もご一緒致しますので……お二人の出発を待っていただけですよ。他の予定等ございませんから、どうかお構いなく……。」
ハルクは笑顔で答える。
「ええっ……ご一緒って……ご同行下さるのですか?ハリキル……いえ……都市国家エールまででしょうか?」
「勿論……エールどころか……魔王の羊皮紙を返還する聖教会総本山まで同行いたしますよ。」
ハルクは笑みを絶やさず答える。
「おおっ……それは大変心強いな……結界術師殿がご同行下さるのだから……。」
巧もうれしそうだ。
「いえ……我々……私のほかに弟子が三名ほど同行は致しますが……前にも申し上げましたが……我々は一切戦えません。戦闘には参加できませんので……移動時に突然魔族に襲われたとしても我々はすぐさま強力な結界を自分たちの周りにだけ張り巡らせ……お二方の戦闘をただ見守っていることしかできません。
たとえお二方が圧倒的に不利で……倒されそうになったとしても結界を解いて中に保護することすらできないのです……そのようなことをすれば魔物達に取り囲まれて動けなくなり体力が切れ結界術が解けるとともに全滅ですからね。」
ハルクの顔から笑みが消え、申し訳なさそうにうつむき気味に神妙な面持ちで答えた。
「それでは我々が運ぶ羊皮紙が無事にエール聖教会まで届いたかどうか……途中魔物や魔族らに襲われ失われなかったかどうか……それを王様に報告するために同行するという事かな?いわば見届け人のような役目……。地図を確認したがハリキルエールまでは長い道中……順調に進んだとしても一月半から二月……回り道でもすれば三月や四月はかかる。
途中で魔族らに羊皮紙を奪われては発覚までに時間がかかりすぎるから……そういうお役目かな?」
「いえ……まあその意味もあるのでしょうが……どちらかと言いますと……現時点ではこの大陸内でハリキルは唯一の友好国……まあ中立なだけですけれどね……都市国家エールの聖教会で盗難に遭った魔王の羊皮紙返還は国際事案なのです。そのためハリキルもエールも国家の元首含めお偉いさまが……勿論聖教会の大司教様も対応なされるでしょう。
その中で失礼のないようにと……王様が我々に同行を命じられました。」
ハルクは少し言いにくそうに……でも正直に打ち明けた。
「なんだ……そうだったか……いやっ……それは大変ありがたい。堅苦しい教会司祭との挨拶や政府のお役人との対応等すべてエミリアに任せるつもりだったが、ハルクも同行して頂けるのであれば尚更心強い。」
巧はハルクの発言に対し明るい口調で答えた……これにはハルクも目を大きく見開き驚きの表情を隠せない。
「ちょっと巧さん……司祭様や政府関係者様たちすべて私が対応って……そんなの聞いておりませんでしたよ!」
ところが巧の言葉にエミリアが反応……
「仕方がないだろ?俺は記憶喪失なのだから……何か無礼な発言があっては大変だ……。」
「ちょっと……こんな時に記憶を失っていることを出すなんて……ずるいですよっ!」
エミリアが巧の甲冑の胸を軽くたたきながら食って掛かる。
「まあまあ落ち着いてくださいエミリアさん……無事にエールまで到着しましたら現地での対応は我々が率先して行いますので……大丈夫ですから……それよりも巧さん……記憶を失っているのですか?いつ?どこで?どうして?」
すぐにハルクが二人の間に割って入りエミリアをなだめ……巧へと振り返る。
「ああ……まあ……そういった話はおいおい……長い道中だ……込み入った話もするときがあるだろう。
それよりも出発を急ごう……このままでは今日中に王都を出られそうもないぞ……。」
巧は追及を難なくかわす。
「そうですね……ですが城壁手前には宿屋も多くありますが、一旦王都を出てしまいますと十里先まで宿場町はありません。城壁外は魔物密度も特に濃いようですから……王都へ向かう旅人や隊商などは早朝に宿場町を出発して夕刻の閉門時間までに必ず城門まで到着するよう調節するようです。
ですので本日は城壁手前での宿泊となりますから……さほど急がなくとも今からなら十分余裕ですぞ。」
本日中に王都を出てしまうと宿泊のための宿がないので、どのみち城壁手前での宿泊となるため十分間に合うとハルクは主張する。
「いや……どうせ我らは宿に宿泊するつもりなどないからな……下手に宿に宿泊して魔物の大群にでも襲われたなら、他の宿泊客に迷惑が掛かってしまうだろ?いくら薄くなったとはいえ……まだエミリアの御母上の袋には魔物や魔族を惹きつける匂いは残っているのだろう?だったら野宿で……野宿であれば空き地の多い王都の外の方が場所も選びやすい。
そもそも宿場町は街道を十里ごとに造られている……王都など大都市近郊は別としてだがな……だが……急ぎの旅でもあるし、俺は一刻で三里歩くがエミリアもこれまでの移動時はほぼ同じ速さで歩いていた。一日十里という一般的な旅の進む距離の指標はあくまでも大きな荷物を抱え、着物姿の女性や子供を連れた旅人が基準だろう。
こっちは冒険者の袋を持ち武器を携帯する以外ほぼ手ぶらの冒険者だ……足取り軽く一日十五里は進むからどのみち宿場町には泊まれない。」
巧は平然と宿に泊まるつもりなどないと主張……これには何も聞かされていないと見えるエミリアも目を見開いて驚愕の表情だ。
「でっですが……これから一月半から二ケ月間の旅……宿に泊まれないとなれば湯も使えず……体を洗えないのでは?」
「下着は毎日替えるし洗濯だってすればいい……水で濡らした手拭いで体を拭いて……道中で川や池など見つければ交代で見張り番をし、沐浴すれば十分だ……冒険者なのだからこれが普通の生活だろう?」
言葉が出ないエミリアの代わりにハルクが問いかけるが、巧は全く動じることなく普通に答えた。
「でっ……でしたら尚更……侵入防止柵の劣化を突いて大量の魔物や魔族が侵入しておりましたが巧さんとエミリアさんで駆逐し、現状は安全と考えられますから王都内で最後に一泊されては如何でしょうか?宿全体に魔物や魔族にだけ認識できない特殊な結界を施します。
人間である眷属には見えてしまいますが所詮人間……嗅覚も聴覚も人並みなので我々を感知出来ないと思います。
通常営業の邪魔はできませんから強力な結界を張ることが出来ませんが、城壁に守られた王都内ならこれで十分でしょう。宿代は報奨金の一部ですでに支払いを終えておりますし……勿体ないですから……。」
「私からもお願い申し上げます……確かに急ぎの旅ですし宿泊先の宿にご迷惑をお掛けするわけには参りませんから……王都を出てからエールに到着するまでは野宿で構いません。ですが今日だけ……。」
エミリアも切なそうに眉を寄せながら懇願する。
「ああ……まあ現状の王都内であれば……ほぼ確実に安全と言えるだろうな……だがな……冒険者というものは冒険業務中は……いや……分かった、今日は城壁手前で宿に宿泊するとしよう……。」
得々と説こうとするつもりの巧だったが、エミリアの悲痛な表情を読み取り渋々頷いた。
次章へ続く




