50話: 里奈の休暇は何をしよう!
昨日まで避難民の対応や、処罰に対して里奈や側付き達は奮闘していた。
今日から側付きを含め、宮の使用人も全員がお休み
と言うより、アルバートが里奈を独占したいが為に強制的に休みにしたのだ。
里奈に構いたいアルバートは、早朝から邸にいた。
だが、里奈を起こすつもりはないので、カズラとヒイラギと3人で魔術で遊んでいた。
カズラとヒイラギは、アルバートが作る氷の動物が大好きだった。
沢山作ってもらい、並べて2人で眺めている。
白狐がアルバートの側に行き
今日の予定を聞いて来た。
『宮の中でゆっくりするより外に行くのか?』
アルバートは外出を提案して来た。
「領地の奥に、湖がある。
そこなら、他の眷属達も姿を出して皆で遊べるかと思ってね。」
里奈が先日、他にも眷属がいるのを漏らした事を覚えていたのだ。
カズラとヒイラギ以外は姿を現さないが、カズラが空中を見つめる先にいるのだろう。そう思う時がある。
「里奈もお昼前には起きるでしょうし、それまでは私ものんびりしようかと。」
アルバートは大きな木の下に座ると、幹を背もたれにし本を開いた。
開く本は魔術の本のようだ。
『それは魔術の本か?』気になる白狐が聞いて来た。
「これは父が世界から集めた魔術で父が書いた物だ。我が家の魔力持ちしか見えないのですが、流石は白狐だね。魔力関係なく見えるのだな。」
何となく褒められた白狐は、悪い気はしない。
アルバートの側に横たわり、尻尾をポプポプしている。
穏やかに時間が過ぎて行く。
白狐は眠りに就こうとしたが、アルバートが先に寝ている事に気が付いた。
アルバートの横に並ぶと、尻尾をフワリとお腹に掛けた。
アルバートは起きる気配がないので、白狐も眠りに就く。
里奈が目を覚ますと、お昼近いようだった。急いで着替えて中庭に行く。
庭に出て驚いた!
白狐とアルバートが仲良く寝てる!
しかも、尻尾布団されている!
驚きの連続だが、里奈はとても嬉しかった。
里奈の近付く気配に、2人が目を覚ました。
「おはよう。アルバート様。白狐。」
「おはよう。リリ。」
アルバートは挨拶しながら、両手を広げた。
里奈が近付くと、自分の足の間に座らせ凭れさせた。
「今日は何かをするの?宮でゆっくり?」
里奈が予定を聞いて来た。
「今日は領地の奥の湖に行くつもりです。他の眷属を連れて行っても大丈夫です。あの場所は、私と父しか行けませんから。」
「じゃあ用意するわね。お弁当は作った方が良いかしら?」
「お弁当は我が家が用意しましたよ。眷属の数が解りませんが沢山用意しました。
着替えだけで行けますよ。」
「急いで準備するわね!」
里奈は走って邸に戻る。
直ぐに里奈が戻って来たのが何だか可笑しくなった。
クスリと笑うと、察した里奈に叩かれる。
気の緩むやり取りに、里奈とアルバートは幸せを感じていた。
アルバートが全員を転移した。
見えない眷属に魔術を掛けれないため、白狐とカズラ達に捕まっているように伝えて貰う。
転移したその先には、とても大きな美しい湖があった。
眷属達は固まった。恐怖に怯えている。
白狐も湖の方をじっと見ている。
里奈にも見える。
湖に浮かぶ 青龍 その姿が。
「この湖に名前はあるの?」
アルバートに聞くと
「青龍の湖だよ。やはり、白狐やリリには青龍様が見えるのだな。」
青龍がいる事にアルバートが驚くと思っていた里奈だが、逆に驚かされる。
「青龍様が見えるの?」
「見えはしないよ。この場所は何故か当主と次期当主しか来れないんだ。
父が他国で聞いたのが、神の一番高位の眷属が棲む場所があると。そこには決められた者とその者が連れてきた者しか入れぬと。」
里奈は納得した。
白狐の様子を見ると様子がおかしい。
「白狐どうかしたの?青龍様に何かあるの?」
白狐は青龍を見つめる。
青龍も白狐を見つめる。
『青龍よ。お主はこの世界の眷属ではなかろう?』
白狐がとんでもない事を言う。
言うのだか、青龍が頷くのでこれまたとんでもない事になる。
眷属達は、アルバートの後ろに全員隠れている。
アルバートを眷属達が無意識に頼っていた。
アルバートに見えないのが残念ではあるが、里奈はとりあえず眷属達の無事に安心した。
再び青龍と白狐に目を向ける。
『お主は話せぬな。』
青龍が頷く。
『大御神か。』
また頷いた。
『解った。そなたの持つ珠を渡したいのであろう?それは、器だな。』
青龍は頷くと、里奈とアルバートを見遣る。
両手に持つ透明な珠が里奈とアルバートの胸元まで来た。
『大丈夫だ。動くなよ。』白狐が言うが、怖くて動けない!
珠は2人の胸にゆっくりと、沈み込んでいく。
(やだっ!怖いっ)
アルバートが私の手をギュッと強く握る。
私は強く握り返し、珠が消えるのを見ている。
体の中に消えた⋯⋯。
別に何も起こらない⋯⋯。
2人で顔を見合わせ、白狐を見る。
『今は何も起こらぬ。いずれその珠が動く時が来る。それまで忘れていろ。』
「忘れられるかっ!!」
「でも、今は関係ないなら忘れておくわ。」
「さ!!遊ぶわよ〜!!」
切り替えが早くて何よりたが、もう少し物事に感心を持って欲しいアルバートだった。
同じく無関心だった自分の昔は、棚の奥に置いた事を忘れている⋯⋯。
突然、アルバートの周りがキラキラ輝き始めた。
そこに隠れていた眷属が姿を出したのだ。
アルバートは驚いて、口が開いていた。
里奈がアルバートの口元をツンツンすると、我に返ったアルバートが口を閉じた。
コホン!
恥ずかしさを隠すように咳払いをしたアルバートだが、出て来た眷属達を一人一人確認する。
「嫌種族か。」
その一言に里奈の心が揺れた。
アルバートに伝わり、里奈を見る。
嫌種族と呼ばれた眷属達は、全員下を見ていた。
「私はその呼び名は嫌いだ。馬鹿らしい区別の名付け方に、名付けた者の品のなさを感じるくらいだ。」
眷属達はチラリとアルバートを見る。
それを見ていた里奈は⋯⋯。
(か、可愛い!不安なのよね!大丈夫よ。アルバートは絶対大丈夫!!)
両手の指を組み、お祈りのように見守っている。
「姿を見せてくれて、ありがとう。
じゃあ、カズラ達と一緒に遊ぼうか!!」
アルバートは、次々と氷の動物を出す。いつもの光景だと思っていたら、氷が動き出す。
眷属はビックリして逃げていく。が、氷の動物が追いかけ始めた。
追いかけっこが始まった。
アルバートが里奈の側に来た。
「リリ。大丈夫ですよ。私はあの種族は嫌いではない。むしろ好きな方だ。
男は嫌種族の方が好きだろうな。」
「ありがとう。アルバート。」
「さっき青龍が出た時にね、眷属達が皆アルバートの後ろに隠れたのよ!!」
「その光景が嬉しかった。アルバートにも見せたかった。」
そう感動する里奈を優しく抱きしめ、口に口付けを落とす。
イチャイチャしようとした時、青龍が2人の真横に顔を出した。
白狐の神力でアルバートにも見えるようにしたようだ。
アルバートが驚いていたから。
青龍の両手が青く輝いている。
2人で何が始まるのか見ていると、
『青龍は2人と魔力と神力の交換をしたいのだろう。そなた達と繋がりたいのであろう。』
『そうだろう?青龍。』
白狐の言葉に青龍が頷く。
私達はその提案を受け入れ交換をした。
青龍の神力は、清々しい物で体が清らかになる感じだった。
『青龍は水を司る者だ。必要な時は呼んで欲しいのであろう。』
青龍はコクコク頷く。
「私は里奈よ。これから宜しくね!」
「私はアルバート。宜しくお願いします。」
青龍はコクコク頷く。
「何だか青龍様って可愛いね!」
青龍様は目を見開き里奈をじっと見ていた。
青龍様の大きな顔が近付いたと思ったら、頬にチュッとされた。
大きいので、倒れかけたがアルバートが助けてくれた。
そう、助けてはくれたが。
「青龍!!里奈に触るな!!」
と、青龍様相手に切れていた。
白狐は大きな口を開け、大笑いだし。
青龍様はペコリと謝る。
だが、また青龍様は里奈の頬に口付けをした。
アルバートが青龍の額をペチペチ叩いている。
神に近い眷属相手に嫉妬剥き出しのアルバート。
青龍様はアルバートで遊んでいるようだった。
眷属達は飽きもせず追いかけっこをしている。
楽し過ぎる時間に里奈は感謝する。
グゥ〜。⋯⋯⋯。
里奈のお腹がなる。
「昨日の夜から何も食べてないのよ!仕方ないでしょっっ!!」
プリプリ怒る里奈の頭を撫で、空間魔術でお弁当とシーツを出した。
「おーい!ご飯にするぞー!!」
その声に眷属達は一斉にアルバートの元に戻って来た。
「何だか、アルバートの眷属みたいね!」
「いや、ご飯に釣られただけだよ。」
そうじゃないと思うが、そういう事にしておこう。
皆でご飯を食べ始めた。
「いただきます。」
白狐は子狐になり、お弁当のサンドイッチを食べ始めた。
白狐が、チラリと青龍を見て頷いた。
里奈はそのやり取りをサンドイッチ片手に見ていた。
青龍がいきなり青く光った!
眷属もアルバートも驚く。
光がゆっくり弱まると、そこには子狐と同じ大きさのミニ青龍が浮いていた。
里奈は笑いながらサンドイッチを渡す。
青龍は短い両手でサンドイッチを掴み食べ始める。
美味しいのだろう。体がキラキラ青く輝き始めた。
アルバートも、自分が用意したサンドイッチを喜ぶのは何だか嬉しいのだろう。
お皿に沢山サンドイッチを乗せ、白狐と青龍に渡した。
青龍はサンドイッチとアルバートを交互に見返すと、何故か里奈の頬に口付けする。
「だから!里奈に触るな!!」
と、青龍の側から引き離された。
白狐と青龍はサンドイッチに夢中でアルバートを無視している。
アルバートはため息を吐くと、私と目を会わせた。
「せっかくゆっくり出来ると思ったのに、騒がしくなってしまったな。」
話しながら私の肩に頭を預けた。
アルバートの頭を撫でながら、
「とっても楽しい1日よ。この後ゆっくり出来るし。青龍様にも出会えた。」
「ありがとう!アル!!」
「アル」と呼ばれたアルバート。
驚いて里奈の顔をバッと見る。
里奈は笑いながら、
「アル。いつもありがとう。」
と、里奈から口付けた。
アルバートの頭は混乱で忙しそうなので、里奈は放置して美味しいサンドイッチを堪能した。
我に返ったアルバートにもみくちゃにされるまで、後数分であった。
50話となりました。
一話が長く読むのも大変かな?と、申し訳なく思います。
多分、長いままです(_ _;)
❀読んで頂き、ありがとうございます❀




