35話: 里奈と白狐と眷属 そして栗ご飯(前)
里奈と白狐とのほのぼのです。
少しでもほのぼのを感じて頂けたら幸いです❀
白狐は里奈の寝顔を眺めていた。
里奈の頬にキスを落とすと、里奈は身動ぎをし瞼を揺らす。
ゆっくりと目を開けると、一瞬驚くが直ぐに白狐の柔らかな毛並みに顔を埋め、抱きしめていた。
(あの悪意を思い出すのは正直怖い。でも子狐ちゃんに会えた。それだけで今は良いかな〜。)
思い悩む里奈に気が付いた白狐は、尻尾を里奈に絡めた。
『起きたか。里奈』
里奈はもふもふに埋め尽くされながら、顔だけ出して
「おはよう?子狐ちゃん?」
白狐はクスリと笑い
『大きいから、子狐ではないな。
我が怖くないか?』優しく問いかける。
里奈は首を横に振り
「怖くないよ。だって、子狐ちゃんだもの!」里奈は白狐に抱きついた。
「子狐ちゃんは、名前はないの?
子狐ちゃんは何者なの?」
『我は白狐。白い狐と書く。
我はあちらの世界の神の1柱になる。
里奈の魂を見守る為に里山で過ごした。』
「もしかして、焼けた社の主?」
里奈の修理した社の事だ。
『そうだ。あの社は我の居た世界の住処だった。色々あったからな⋯⋯。』
少し寂しそうにした白狐に
「私が修理したけど、大丈夫だった?」
余計な事をしたかと、不安になったのだ。
『いや、嬉しかったぞ。何年も掛けて綺麗にしてくれた。』
白狐は3本の尻尾をポプポプ嬉しそうに揺らす。
「もしかして、枯れないかすみ草は白狐様が?」
正解とばかりに、白狐は尻尾で里奈をポンと叩き、撫でた。
(なんだろう。白狐様の側は、とても心地良い⋯⋯)
里奈がそう思うと、体から出てきた白い光にフワリと包まれた。
そして一度強く光ると里奈の胸の中に吸い込まれた。
里奈はビックリして服の中を覗いた。
が、変化は無かった⋯⋯。
白狐はその光景をじっと見ていた。
里奈の魂の中にずっとある小さな黒い塊。我の神力がその魂を包んで居たのだ。
多分、浄化しようとしている。
まだまだ時間はかかる。
黒い塊の正体は気になるが、里奈には害が無いのは解る。暫し、様子を見るしかない。
『我の神力を女神が里奈に天界で渡していた。その我の神力と、里奈の魂が混ざりあい結びついたようだな。』
里奈はまたビックリしているが、嬉しそうに
「じゃー白狐様と私は繋がってて、ずっと一緒って事?1人ぼっちには一生ならない?」
『そうだ。我は里奈とずっと一緒だ。1人ぼっちにはなりはしないし、させない。』
そう伝えた。
「思い出したの。最後撃たれた時に子狐ちゃんを抱きしめて初めて⋯⋯あの世界で⋯大切なものを見つけたの。」
ポロポロ涙を流しながら懸命に伝える里奈が、とても愛おしかった。
尻尾で里奈を慰めていると⋯⋯
里奈の魂が我の白い光と女神の紫の光が混じり合い美しく輝いたのだ。
我にしか見えぬ光。
なんと愛しいのか。
白狐は里奈を尻尾で強く抱きしめ、毛並みの中に埋めた。
里奈はその心地良さにまた、眠ってしまった。
里奈は直ぐに目覚めた。
白狐と眷属の会話に目を覚ましたのだった。
(白狐様と⋯誰かいる?)
こっそ〜りと。
白狐様に気が付かれないように、目を薄く開けた。
(動物?違う。爬虫類みたい?
可愛い!日本のキャラクターのぬいぐるみみたい!!)
眷属の1人が里奈に気が付いた。
見えないはずなのに、視線が合うのだ。
〘愛し子様?と目が合っている?白狐様の神力で見えないのでは?〙
目が合ったままで眷属が呟いた。
「あなた喋れるのッ!!」
突然里奈が白狐の毛並みの中から起き上がった。
白狐を始め、眷属一同驚いていた。
『目覚めたか。里奈。』
白狐は胸元から出て座り込む里奈の頬に鼻を近づけ、キスを落とす。
(白狐様はほっぺにキスするのが好きなのね〜。)
里奈は白狐を見つめ、「白狐様。おはよう。」と笑顔で挨拶した。
あっ!思い出した里奈は、周りにいる眷属達を見回し
「この子達は白狐様のお友達なの?沢山いるのね〜。可愛い!日本のぬいぐるみみたいじゃない?」
矢継ぎ早で質問してくる。珍しい事ではあるが、
『里奈はこの者達が見えるのか?』
里奈は直ぐに頷く。
『この者達は女神の眷属だ。我の側にいつも居るのだが、里奈の側に来た時に付いて来たのだ。
里奈は女神の神力を持つから見えるのやもしれぬな。』
「女神様の神力に感謝ね!こんなに可愛い子が見れるなんて!」
嬉しいわ!ルンルン気分のようだ。
〘愛し子様は我等を可愛いと?フサフサな毛もない。可愛くないかと。姿も人からは嫌われ者なのに⋯。〙眷属の1人が聞いて来た。
一瞬キョトンとするが
「物凄く可愛いよ!嘘じゃない。私は大好きよ。なでなでしたいもの!」
眷属達を見つめ、この爬虫類っぽい子達の事を頭に浮かべ記憶で探す。
出てきた!記憶から出てきかのだが⋯⋯。
「何これ!!どういう分類の仕方なのよ!ムカつく!本当にむかつくわッ⋯。」
里奈は突然立ち上がり絶叫したのだ。
白狐といる眷属達は〈嫌種族〉と分類されていた。
反対に位置するのが〈好種族〉
「なんて単純で、ムカつく分け方なのよ。」
『お前達、容姿を気にする事はない。あちらの世界にも、そなた達の元の姿のような生き物がいる。
里奈は平気で触っていたからな。』
うんうん! そうなのだ。
里奈は自分から逃げない、虫や爬虫類を触っていた。無意識に。
「本当の姿は違うの?でも白狐様が言うように、私は平気よ。今思うと好ましかったんだと思うよ。」
眷属達は里奈を不思議そうに見るが、受け入れられたと感じると舞いあがって喜んだ。
言葉通り、踊っていた。
ニコニコしながら眷属を眺める里奈に、白狐が尻尾でポンと叩いた。
『今から話す事は里奈には辛いかも知れぬ。だが話そうと思う。良いか?』
里奈はあの日の事だと理解し白狐を見つめ頷いた。
白狐は額を里奈と合わせ神力を流す。
白狐からにあの日の執務室での記憶が流れてきた。
そこには⋯⋯
私の宮に良く来る人達が全員いた。
キャロルは泣きながら謝罪する。
側付き達は泣いている。
アルバート。
私が初めてこの世界で大切だと思い始めた人だ。
泣いている。いつも私に笑顔を向け、気を配るアルバートが⋯⋯。
里奈は涙を流しながら記憶を見た。
「あの人達は何も悪くないッ。女神様の処罰は、あの人達にもあるの?
それはダメよッ。」
「キャロルもアルバートさんも⋯⋯皆私の大切な人なのよ?」
涙を流しそう話す。
『女神がどうするかは解らんが、里奈の大切なものは女神も大切にする。だから、大丈夫だ。
処罰されるは、別の者達だ。
悪意を向けたら自分に帰って来る事は当然の事だ。』
『この宮は、我の神力で誰も入れぬ。暫くは里奈の心を休ませる。
我と眷属と過ごすが良いか?』
「そうだね。暫くは考える事をお休みしたいかも!?」
『結界からは出れんが、何かやりたい事はあるか?』
そう問われて考えてみる。
やりたい事か〜。と、眷属さん達と視線が合った。 よし!
「えっと。眷属さん達と遊んでも良い?」
これに驚いたのは眷属だった。
愛し子様と遊ぶ?!本当に??
「そ~ねぇ。追いかけっこをして、かくれんぼね!やってみたかったの!」
里奈が立ち上がると、足元に眷属達が全員来た。
身長は私の腰くらいしかない。
可愛いしかない!!
里奈の心は忙しない。
初めての遊びに可愛い眷属。
側には何よりも大切な白狐様がいる。
〈これが私の幸せなのかも。〉
里奈は眷属達と走り出し庭ではしゃぎ始めた。
白狐は里奈の魂の光が輝きを増していくのを、眩しそうに。嬉しそうに眺めていた。
遊び疲れた里奈が戻って来た。
後ろには嬉しそうなお供を引き連れて。
「疲れたし、お腹空いた〜。」
『⋯⋯⋯。』忘れていた。
『すまぬ里奈。我らは食を取らずに生きれるので食の事を忘れていた⋯⋯。』
ションボリする尻尾を見て、ケラケラと笑う。
「多分大丈夫よ。厨房に何かあると思うから。」
ションボリする白狐を引き連れ厨房に入る。
調味料は沢山ある。あるのだが⋯⋯。
材料は毎日王宮で鑑定を受けて宮に入れる為、余り材料が無かったのだ。
「⋯⋯」『⋯⋯』
眷属の1人が〘白狐様。愛し子様。少しお待ち下さい。〙そう言うと消えていった。
厨房にはお米がある。この国のお米は真ん丸なのだ。初めて見た里奈は面白かったのを思い出す。
お野菜が少しあるから、スープは作れるしお米もある。
皆の分も足りるわね〜。
メニューに悩んでいると眷属が帰って来た。
野菜や木の実が沢山。「凄っ!」
その中に見つけたのだ。
栗だ!!
初めて子狐を見た里奈の思い出の木の実。
白狐も同じく思い出していた。
(美味かった、あの栗ご飯だが⋯⋯。)
泣き笑いの顔で
「今回のご飯は、栗ご飯!!」
里奈ははしゃぎ、料理を始めた。
栗ご飯を知らない眷属は宙に浮き、里奈の料理する姿を眺めていた。
里奈は幸せな時間を、白狐と眷属と過ごして行く。
35話まで書く事が出来ました。読んで下さり感謝します。
アルスタ王国から出ていないっ!のですが、他国に出るまでもう少しお付き合い下さい。
沢山ある作品から見つけて下さり、ありがとうございます❀




