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17 記憶


「ラルカ、飯にしよう」



 ラルカの初期化から半年がたった頃。


 勇者の称号を返上したユーリはダグラスのいた森で食事をとっていた。



「口を開けて」



 ユーリはスープを口元へ運ぶ。


 無反応の少女――――ラルカ。


 純白のダリアの花はピクリとも動かない。



「やっぱり、だめか……」



 目に見えて肩を落とすユーリは、諦めてスープを自分の口へと運ぶ。


 ゴーレムであるラルカは食事をしなくても死にはしない。



「初代勇者が嫌いになりそうだよ」



 ユーリの憧れにして、ラルカを生み出し、ラルカに業を与えた張本人。



 初期化の日からラルカは動かなくなった。


 進歩があったとすれば、まばたきをするようになったくらいだ。


 十数年たてばきっと話すようになるだろう。


 しかし、ユーリは知っている。そのラルカはもうラルカではない。


 ユーリとの旅の記憶は失ったままだと。



「はぁ……」



 食事を終えたユーリはため息を一つ。



「また旅をしような」



 ラルカの頭へおいた手から振動が伝わってくる。



「まさか、ついに動けるように――――」



「ユーリィィィイイイイ!!!!」

「ユーリさぁぁあああん!!!!」



 血相を変えたダグラスと一号が、帰ってくるなりユーリへ肉薄する。


 振動の正体は彼らによるものだ。



「期待させないでよ……。いったいどうしたの?」


「ユーリ、落ち着けおちちちちつくんだ!」


「ダグラスが落ち着いた方がいいと思うよ」


「一号!」


「はい!」



 一号は背負った袋を漁る。



「おい! まだか!」


「えーと、えーと、あった!」



 一号が取り出したのは『記憶の器』


 ゴウが廃人と化して行方知れずとなっていた一品。


 ダグラスたちはずっと探していた。



「えっえっえっえっ」



 ダグラスは壊れてしまったユーリを揺する。



「壊れてる場合じゃねぇだろ!」


「そ、そうだった!」



 恐る恐る『記憶の器』を手にするユーリ。


 器から湧き出す液体。


 ラルカの口をあけスタンバイ済みのダグラス。



「は、はやくっ」



 とめどなく溢れる涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔のままラルカへ近づく。



 黄金の杯からラルカへ注がれる、ラルカの記憶。



 ユーリ一滴もこぼすまいと震える手を抑える。



 ピクリとラルカの指先が動く。



 固唾をのみユーリたちは待った。



 しばらくして、瞳に光を宿した少女は出会ったときと同じ表情で笑う。




「へへっ、なにその変な顔ぉ。ユーおはよ。」




ここまでお読みいただき本当にありがとうございます!


感謝しかないです。


もっとよい作品をお届けするために、感動いただくために精進致しますので、今後とも応援のほどよろしくお願いします!


繰り返しになりますが、本当にありがとうございました( ・`д・´)!

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