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ようこそ妄想の時間へ~Welcome to the time of delusion~  作者: Lalapai
第1章HOW TOの時間(続)
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生徒会?but マフィアの時間

ようやく中間考査篇が終わり、舞台は現実世界へと移ります!ゆっくり読んでください。


「クッソ〜いいところだったのになぁ」


「テストでミスったのか?」


テストが終わり皆んな帰りや部活の準備を進める。その中、椅子に深々と座り悔やんでいるマスト。

あともう少しでカルクに勝てたのだ。もっと早く攻撃していれば…

そんなことを考えている間に寄ってきたのは毎度のことながらの馬場ゼン。


「実は俺も全然解けなかったんだよ〜」


「ま、俺は分かってはいるけど解いてないだけだからな。ゼンと違って」


「なんだよそれー」


出来るだけテストの間に行われている戦争を悟られないように上手く話を進める。こうやって過ごせば何も変わらないいつもの日常。


中間テストもさっきのテストで終わり、次に向こうの世界に行くのは期末テストの日だ。その日までは向こうの世界とはさよならだ。案外すんなりと初めの波をこなしてしまった胸の歯痒さを覚える。


「てか、マスト。この後手伝いに行くんじゃなかったのか?」


「あ、すっかり忘れてた…」


「俺も手貸そうか??」


「お前は部活だろうが」


「あ、、、」


マストはある人から文化祭の準備の手伝いを頼まれていたのだ。テスト中の忙しさでマストは完全に忘れていた。


しかしそれ以上に、大切な事に気がついた。


ー依頼人、カルクじゃねぇかっ!?


文化祭は主に生徒会を主体として運営している。しかしながらは今年の生徒会は人数が不足気味のため準備に人が必要となる。その為生徒会長であるカルクから帰宅部のマストは直々に声がかかったのである。最初は断ったのだがそれを賭けてお得意のゲームで勝負したところ接戦で負けてしまったのだ。


「じゃ、俺行くわ」


「んじゃ俺も部活行くかぁ〜」


そう言ってマストは席を立ち、ゼンと別れ生徒会の集まる生徒会室へと向かう。



「失礼しまーす」


まだあまり人がいないだろうと思って開けた静かな教室は会議中だった。


ーやべっ…ノックしてねぇや。


会議中にノック無しに入り響くドアの開く音と声は椅子に座る役員の注目の的だ。この同窓会に遅れてきてしまったみたいな雰囲気にもどかしくなる。しかも今回は初対面ばっかりだ。「誰?」の反応が痛い。


「あ、あらマストさん。そこに座って?」


中心を教室に合わせ横長に丸く囲んで配置された机と椅子。いかにも会議をする為の教室という感じだ。

それをまとめる位置に座るのが生徒会長。カルクである。


「虎嶋さん、あちらの方は?」


カルクの隣に座る副会長、福田 ラツアが生徒会でもないのに関わらず席に座るマストを見て質問する。


「神崎マストさんです。今日は臨時で手伝っていただく事になりました。」


冷たい口調で丁寧に説明するのは生徒会書記兼、虎嶋コーポレーションの虎嶋家使用人、白金 デクである。デクとはカルクとゲームをする仲になってから面識はあるが直接喋ったことは今思えば全く無い。


「なるほど…」


「ラツアさんにも理解されていただいたところだし始めますか」


こうして会議が始まろうとする。


「と、言ってもみんなには前もって説明していますね?…それではそれぞれ持ち場についてください」


こうして直ぐに会議?にもならない集合は終わってしまう。さすがは生徒会。準備は万端らしい。

しかしながら、みんなが文化祭の準備にはいり、仕事内容を知らないため今はただ席に座る事しかできないマストは謎の緊張に襲われる。


「マストさん?」


「あ、はいっ」


「そんなかしこまらなくてもいいのですよ?」


「これはわりぃ。だけどこの雰囲気は気まずいなぁ」


こう言ったかしこまった場に不慣れなマストにとっては少し辛い。それよりも向こうの世界で戦った相手と会話する方が今は何よりも辛いのだ。


「マストさんは私をここで手伝ってもらえますか?」


「りょーかい」


こうしてマストはカルクと生徒会室に残り空気の濃度が薄く感じる2人きりの最悪な時間を過ごすのだ。

カルクは書類で山積みの机から半分ガサッと持ち上げ浅く座っているマストの前の机になんのためらいもなく置く。


「この書類を種類で分けていただけますか?、、、マストさんなら大丈夫ですよね?」


「法則は?」


「生徒に関するものか、保護者に関するもの、先生のものと分けてください」


「なるほど…」


仕事をもらい作業を始めるマストはふと思った。


ーなかなかあの件のこと触れてこないなぁ…気使ってんのか?それとも向こうの世界であったのはカルクじゃないのか?そういやぁ口調も向こうではおかしかったけど、あいつはゲームになると口が悪くなるからなぁ…


そんなことを考えながら仕分けの作業を進めていると、、、


➖あれはカルクだぞ。


「うわっ!?」


マストはいきなり聞こえるモモキの声に驚き手に持っていた資料を落としてしまう。この展開も何回か経験しているのだがやはり唐突に聞こえるのは慣れないものだ。

声を出して驚くマストを見てカルクはくすりと笑う。


「モモキさんが脅かしたのかしら」


マストは一瞬リアクションに困る。


「そんなに難しい顔をしなくてもいいのですよ?」


カルクはそんなマストのそばにしゃがみ込み落ちた紙を集める。マストも慌てて手伝う。無言のまま拾い集める。だがカルクは少し微笑んでいる。

やがて全て拾い終わり目が合う。


「ありがとう。念の為確認してもいいか?」


「どういたしまして。ええもちろん」


「お前は《妄想の戦い》に参加しているな?」


分かりきっていることだがどうしても確認しておきたかった。本人がそうだと言わない限りやはり異世界という非現実的な存在だけあって信じがたい。

カルクは一呼吸置いてこう告げる。


「私、虎嶋カルクは《妄想の戦い》の1プレイヤー。弓のヴァルが守護者ガーディアン。これでいい?」


「十分十分」


カルクの素晴らしい自己紹介っぷりに思わず拍手を軽く鳴らしてしまう。


「なんだか身が軽くなったなー」


「お互い様ですね」


マストとカルクはまた作業に取り掛かる。


「それにしてもカルク」


「なんです?」


作業をしながらマストはふと思う。


「なんでお前は選ばれたんだ?」


この答えは知っている。以前モモキに教えてもらっている。だが何故だか聴きたくなってしまう。そもそもカルクは今何故戦うことになっているのか、何故あの世界が存在しているのかヴァルから教えてもらっているのだろうか。どちらにせよ相手の返答次第ではしっかりと対応するつもりだ。

相手がもし真実を知っているとしよう。その時は今後の対策をしっかりと2人で協力して立てよう。

相手がもし真実を知らないとしよう。その時は何も教えてあげない。これは意地悪でも自分だけが知っているという優越感に浸りたい訳ではない。当事者でないものがそう簡単にペラペラと話すのは何か違う気がするのだ。

さあカルクが口にするのはどっちだ。


「んー知らないなぁ〜」


カルクは指を口に当て不思議そうに首を傾げて言った。

1番想定していた答えだ。大抵は知らないだろう。マストだってあの時モモキが泣かなければ真実なんて聞かなかっただろう。自ずとマストは用意していた答えに対する答えを出す。


「そーだよなー知らないよなぁ」


マストは渾身の演技で知らない様を装う。そんなマストの返事にカルクは笑う。


「ふふっ。まるで神様と戦う事を知ってそうに見えますが?」


「えっ?」


「最初のは嘘ですよ。ちょっとマストさんをからかっただけですよ」


「え、ちょっと待て。なんで俺がその事を知っているって知ってるんだ?」


「知っているのを知っているのを知っている様で本当は知らない。と言うことは知っていた。。。」


?がマストの頭からたくさん飛び出す。向こうの世界でこの状況になれば?が妄想力で創造されるのではないかと思えた。


「ちょっと、、行ってみたかっただけです…」


「は、はぁ」


カルクはたまにこういうことがある。脳内で留めておけばいいようなしょうもない事を口に出してしまう癖がある。ゲームをしている時もよくある。さっきのはマストが知っているのを知っているのかと聞いたのが原因だろう。


「それよりもなんで知っているんだ?」


カルクのこの癖はあまり深く掘り下げないほうがいい。話を戻して再度問うとカルクは答えた。


「誰だって分かりますよ?マストさんは顔に出やすいですからね」


「うっそぉ!?」


マストは顔を手で覆い隠す。


ー俺ってそんなに顔にでるのか?俺なりに結構いいポーカーフェイス出来てると思うんだけどなぁ。


これでもマストはポーカーフェイスには自信があるのだ。今回バレた件はマストのポーカーフェイスがまだまだ未熟なのか、カルクが上手なのか。


➖んー下手かもだな…


自信のあった事を否定されていじけているマストに追い討ちをかけるかのようにモモキが冷たく返す。すると、


ーそんな事ないですよ、モモキさん。


➖え?


ーえ?


途中でカルクの声が脳内に割り込んできた。


「お、おい、カルク…どうやったんだ?!」


今までに人の脳に直接語るなんて出来なかった。実はマストも試したことがある。モモキとこうやって脳で話す事が出来るのを知った後だった。原理としては相手に届けという強い想いにより発信できるのだが、他の人には出来なかったのだ。


「私も今知ったの」


「と言うと?」


「多分憶測だけど妄想の戦いに参加しているプレイヤーにしか届かないと思うんです。」


➖あながち間違いじゃないかもな


するとヴァルの声も脳に当たり前かのように語りかけてきた。


➖でも聞いた事がないぞ?


ーモモキ達も知らないのか?


➖私たちだって全てを知ってるわけじゃない


モモキ達守護者ガーディアンもどうやら知らされていない、もしくは前例がないからか初の発見かもしれない。

それにしても守護者ガーディアンでも知らない事はあるのだ。もしかするとまだ知られていないすごい能力もあるかもしれない。


ーでも、これはこれで使えるな。これで連携が取りやすくなった。ゲーム中にはあまり使いどころがないけど…


ー将来的に使えますね


この静かな教室で音もなく交わされる会話はとても歪だ。2人とも作業を続けながら作業に対してではなく脳内の処理に難しい顔をしている。


「…しかし、まだまだ今起きてる事は分かりきれていない、という事ですね」


「そういう事になるな…」


こうしていざ声に出して話すのも2人だけという重い空間では言葉の重さも増す。


「ねぇマストさん?いいこと思いつきました。」


「げっ…」


マストは感じた。嫌な予感がする。いつもそうだ。一緒にゲームをする時だってカルクの急な思いつきはろくな事がない。マストの頭には今までその思いつきに付き合わされ苦労した思い出がよぎるが腹をくくった。


「で、いい事って?」


カルクはふふっと不気味に微笑んで言った。


「部活を作りましょ?」


やや予想通りの答えに出る言葉もなかった。

読んでくださりありがとうございます!

感想などいただけると嬉しいです(╹◡╹)


次の投稿は明後日辺りになると思います…



P.S.

一日一作アニメを見るのが習慣と化した。感想コメントじゃなくてもなにか見てほしいアニメを送ってもらっても構いません。てか、送って…

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