ゲームタイトルは大袈裟めがいいの時間
本日2本投稿〜!
いやー休みとはいいものですな。
そして今回の話で新作ゲームが爆誕しちゃった…
これは大儲けの予感(╹◡╹)
目覚めがいい。
➖なんだかご機嫌だな。
ーおう、モモキか。
モモキは普段の生活には出来るだけ干渉しないようにしている。昨日のテストみたいな事が起きてしまうからだ。
ー昨日の夜クニヒコを懲らしめれたからな
➖なんて外道だ…そんな事より今日は1時間だけだ。気合い入れていくぞ。
ー分かってるって。
➖それじゃあ。。。
そう言い残してマストの頭の中の何かが薄らいでいく感じがした。そしてマストがご機嫌なのは他にもあった。
「女の子に起きてすぐお話ってなんか燃える」
モモキがいない事を確信してからマストは小さくガッツポーズを呟いた。童貞の男からすれば年頃の女の子に起きてすぐの会話はプレミアムだ。
「何してんの…」
「いや、その、あの、、、」
「一応ノックしたんだけど…ご飯できたから降りてこいよ」
1人しかいない部屋でガッツポーズを見られてしまった。この見られた時の恥ずかしさはとんでもない。まるで男がアレをナニしてたところを兄弟もしくは親に見られた時くらいだ。
今回はそんなことはしていなかったのが唯一の救いだ。
「今いく。」
そう言って階段を降り洗面所へ向かう。
現在、子川父の書斎だったところがマストの部屋になっている。そして子川父は仕事の都合で単身赴任している。
顔を洗いさっぱりしてリビングに入るとマストの顔を見るなりちょうど食事を終えたクニヒコが青ざめた顔をした。
「く、来るな!悪魔たちめ!」
昨日の一件でマストらに恐怖心を植え付けられていた。
ーまだ怖がってのか、、、
「昨日は悪かったよwもうそんな怖がんなよ」
「近寄るんじゃねぇ、、俺をあざ笑っているのか!やめてくれ!やめてくれぇぇぇえ!」
そう言ってクニヒコはくしゃくしゃな顔で慌ててリビングを出て行った。
「あの様子は懲りてくれたみたいね」
「でも、ひどすぎねぇか?」
ただ昨夜クニヒコの大好きなシュークリームにからしを大量に入れただけだが、かなり響いたようだ。
「まぁいっか」と、腰を掛け朝食をとった。
「あら、マストさんおはようございます。」
「おう、おはよ」
朝登校して挨拶をしてくれる透き通った美しい声。この学校のお嬢様、虎嶋カルク。文武両道、そして黒髪ロングで綺麗な顔立ちの生徒会長。芸術でも多岐にわたり書道、茶道、ピアノなどで数多くの賞を受賞するほどだ。
なぜそんな少女と毎朝挨拶を交わす仲になるほどに至ったと言うと、、、
「回想に入るのですか?マストさんとの懐かしい出会いですわね」
少し頬をぽっとさせてからだを揺らしながらメタ発言。
ーなんでこの世界のやつはメタい発言ばっかりなんだ…
➖メタメタの実の能力者だな、これは。
なかなか現実に干渉しないモモキがツッコミらしからぬツッコミに驚くが流石に慣れてきた。前のように叫んだりはしていない。
「はいはい、回想どうぞー。」
少し呆れ気味で前フリをこなす。
「はいはーい、こちら回想のマストですー」
カメラ目線で現場リポーターのごとくマイクを持って答えるフリをする。
ここは春風がほのかに残る高校一年の一学期。まだ高校に入って間もない頃の放課後の事だ。
「誰もいねぇなぁ、、、」
入学して2日目が提出だった書類に不備があったと言う事でマストは教室に呼び出された。
1年の頃マストが暮らした1組は靴箱が位置する東校舎の北側とは遠く東校舎のもっとも南側の4階にある。そこに向かうまでに誰もいない暗い教室が視界の横を過ぎ去っていくのが見える。そして教室に着こうと最後の誰もいない教室を見送ろうとした時。その教室には机の上に座り窓の外を見てたそがれる髪の長い少女。その長い黒髪が夕焼けに照らされ開いた窓から入り込む風でなびく。
ーなんだろう、この時間に…
そう不思議に思い無意識のうちに立ち止まってしまった。案の定、少女と目が合ってしまった。
ー綺麗だ。。。
目があった少女は宝石のような目を持ち日本人形のように白く細く美しかった。それは誰が見ても言えるであろう。マストは瞬時に察した。これが「高嶺の花」だと。
「あら、新人かしら」
「はぇ??」
「さぁ、行きますよ」
淡々と事を進める少女にマストは思考が停止する。
「何しているのですか?早く行きますよ?」
「あ、はい。」
止まるマストを気にかけ歩き出す少女が足を止め振り返る。そして、マストの返事を聞くなりゆっくりとマストに近寄る。
「あなた、言葉遣いがなってないのね」
マストはしっかりと返事したつもりだったが少女はご不満だ。
「それに、、」とマストをいろんな角度から舐め回すように見る。
「どう見ても学ランよね。。。」
「そうですけども…」
ー確かに新人は同じくらいの歳の子だとは聞いていたけれど、、同じ高校の学生なのね。
マストの服装が学ランであることを問われ出来る限り言葉遣いに気をつけて答えた。
「まぁいいわ、それよりも行くわよ」
「いや、そう言われても…」
そう言えばと先生に呼び出されたことを思い出し足が進まない。その様子を見るなり少女は呆れた顔で「はぁ」とため息に続いて言った。
「はいはい。わかったわ。まだ迎えが来てないのね。」
「え、あ、はい。」
マストがさっきから飛び交う気になるワードがある。「新人」「迎え」だ。
ーそれにしても話があわねぇな…いや、俺はあまり話してないか、、、
「じゃあ私とここで待ってましょう」
考えている間に少女は勝手に納得してまた机に座る。
「あのー質問してもいいですか?」
「やはり言葉がなってないのね、、、許可するわ。どうぞ?」
「んじゃあ、あなたは何者なんですか??」
マストの思い切った質問に少し驚きその後「なるほど」とゆっくりと首を縦に振る。
ーお父様、ちゃんと説明していなかったのね。それなら仕方ない…
「失礼しました。自己紹介がまだでしたね。でも、知りたければ自分から名乗れと言いますしそちらからどうぞ?」
少女の姿勢は崩れない。しかし、なぜか立場はずっと相手が上だ。まるで貴族と召使いのような関係のようだ。しかしながらマストは少しばかり嬉しい。昔から少し執事に憧れはあった。
「申し遅れました。わたくしは1年1組の神崎マストと申します」
マストは急にかしこまって執事っぽく振る舞うと「よくできました」と、パチパチと少女が手を鳴らす。そして続いて「では、、」とマストの前に立つ。
「私は虎嶋コーポレーション設立者かつ現社長の一人娘、虎嶋カルクと申します。」
「虎嶋コーポレーション?!」
マストは超有名ゲーム会社の名前を聞いた瞬間心臓のリズムが早くなる。その会社はマストはいつも遊戯な時間にてお世話になっているお気に入りゲームシリーズ『きのこ胞子の大冒険』を製作している。
そして何よりも驚くべきは目の前の少女が大企業の娘だという事だ。
「って事は、お嬢様?!」
「そんなに驚くことでもないでしょ?あなたって本当に変なのね。」
マストの頭の中で今までの時間での違和感のパーツが全て組み合わさる。マストは新人の召使いだと勘違いされている。そしてカルクは送迎の車を待っている。
ーこれはまずいなぁ、、、ここで正直に言ったら気まずすぎるし、嘘ついてても後々バレるだろうし、最悪俺のゲーム人生が終わる…ここは正直に言うしかないな。。。
「実は…」とマストが口を震えながら動かそうとした時。同時にカルクが「それよりも…」とマストの声を遮る。
「時間潰しに何かしましょ?」
そう笑顔で誘いかけるカルクにマストは開いた口を塞ぎ黒板の方へと歩く彼女にゆっくりとついていく。
「あなた『きのこ胞子の大冒険』って知ってる?」
その大好きなフレーズを聞くとすぐさま大きく首を縦に振る。
「話が早くて助かるわ。ルールを少しばかり変えて対決しましょ?」
『きのこ胞子の大冒険』とは、RPGを連想させる大冒険というワードとはかけ離れた対人パズルアクションゲームである。さらに言うと「きのこ胞子」も完全に無関係である。ざっくり説明すると「オセロ」と「五目並べ」が合わさったゲームだ。基本的に勝ちは自分の駒を5個を縦・斜めに揃えることで勝利だ。もしも、5個並ばずに盤面を埋め尽くした場合は自分の駒が多い方の勝利となる。そしてオセロ要素は少し違い斜めに挟んだときひっくり返す事はできず縦横にしか挟んでひっくり返すことができない。
「本来なら駒それぞれに役職があるのだけど今回は役職なしのルールでいいわね?」
「構わないですよ。ただし手加減はいりませんよね?」
マストは大好きなゲームを目の前に口が達者になる。
そして、黒板に9×9の白い線が並ぶ。マストとカルクは青、赤のチョークを互いに持ちバトルが静かに始まる。
バトルが始まり両者真剣に考え、教室はチョークの音だけがカタカタと響いていた。
なかなか互いに5列揃えることが出来ず残り1マス後攻のカルクが赤い色をつけた時、
「マスト!お前教室はこっちだぞ!」
長く鳴り響くチョークの音に誘われずっと隣の教室で待っていた先生が扉から顔を出す。
ーあ、やべぇ、、、
「すみません!今行きます!!」
先生はマストの言葉を聞いて教室へと戻っていった。そしてカルクは戸惑っていた。
「すまん、俺今から執事やめて先生のとこ行ってくるわ」
さっきまでの丁寧な言葉遣いと違いいつものマストの口調で「ゴメンッ」と手を合わせる。
「え?ちょっとどういう事?!」
「あ、そうだ」と、マストは黒板に青い文字で数字と英語をツラツラと書く。
「これ俺の連絡先、んじゃ急いでるからまた!」
「待って!、、、」
マストはその声に応じて立ち止まりたかったが先生を待たせているのもあるが、何よりもカルクに今、真実を明かす勇気がなかった。
そして、背を向けたまま先生の待つ隣の教室に向かった。
ーあの人。神崎マストくんは何者なのかしら、、、
そう思ったカルクは黒板に記された連絡先をメモし隣の教室を覗こうと教室を出た時、カルクよりも少し背の小さい男、の子?が立っていた。
「お嬢様。お迎えに参りました。遅くなりまして申し訳ございません。」
「あなたが新人なの??」
「恐縮ながら」
「さぁ」とマストのいる教室の隣の階段へと導く新人の執事。情報がうまく処理しれきれないカルクだが階段へ向かう途中、書類を持つ先生と話すマストが見えた。
ーまたいつか、、、
誰もいない窓の間教室には雑に消されて色が残った連絡先の後と青と赤の印が同じ数白い線の交わった所に輝く。
「あの後、偶然街中でお会いしましたね。」
「偶然じゃないだろ!」
マストとカルクが別れた後カルクは執事達にマストの捜索を依頼したのだ。その規模は市一つを覆うほどだった。
「とんでもなく怖かったんだぞ!黒ずくめの人達に囲まれて死ぬかと思ったぞ!」
「でもマストさんも紛らわしい事をしたのも原因かと…」
揚げ足を取られたマストは緩んだ口をつむぐ。
「ま、まぁお陰でマストさんと仲良くなれたのですし、、、」
カルクがマストの機嫌を取ろうと顔色を伺っている。
「そ、そうだな。そんで未だに『きのこ胞子の大冒険』では引き分け続きだが、、、」
あれから、定期的にカルクの豪邸にお呼ばれして対決をしている。『きのこ胞子の大冒険』ファンのマストの身からするととんでもなく幸せである。
そして大好きなゲームで勝てないのはいささか不満に感じている。
「そうですわね。しかし、、、」
カルクからしても小さな頃から接してきたゲームで勝てないのはプライドが許さない。
《次は(私・俺)が勝つ!》
そう熱い誓いを平凡な高校の靴箱で立てていた。
次の対決は妄想の中だという事も知らずに…
読んでくださりありがとうございます!
ゲーム内容わかりましたか?
囲碁とオセロを組み合わせた新しいゲーム。これから暇があればそっちの方の研究もしていこうかなと、、、
P.S.
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』舐めてた。前から友達に泣けるって聞かされてたけど3話から大泣きしてしまった。私も歳か…




