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婚約者に婚約破棄され見捨てられた魔術師と「役立たず」と嘲笑った元パーティに追放された魔道士、最強となり異世界無双。  作者: 限界まで足掻いた人生
第2章

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第81話:空白の数日と、国境を越えた牙

監獄塔医務室 ―― 歪んだ時間軸

重厚な扉が開く音が、清潔な沈黙を破った。金のヤードが、本を置いて姿勢を正そうとする。その動作の鋭さに、俺の肌が本能的に警戒を強めた。


入ってきたのは、数人のヤードを従えた、一際豪奢な法衣を纏う男だった。ヤードを指揮する立場にある、帝都アルビオンの最高幹部。男は俺のベッドの前に立つと、深々と頭を下げた。


「……此度の不手際、帝都を代表して直々に謝罪する。不当な拘禁、そして貴殿の協力を見誤ったこと、弁解の余地もない」


「……謝罪、だと?」


俺は掠れた声で応じる。だが、男の言葉の中に混じった「先日の戦い」という響きに、俺の脳内の時計が不協和音を奏でた。


「待て……先日? 今は何日だ。俺が倒れてから、どれだけの時間が経った?」


「……丸三日だ、演算者。お前の肉体と魔力回路の損傷は、それほどまでに深かった」


三日。 俺の計算では、数時間の空白のはずだった。その三日の間に、世界はどれほど俺の知らない数式に書き換えられたのか。焦燥が、思考を白濁させる。


「三日もあれば、あの一座ならどこへでも行ける……! サラとシエルは、あの『二番煎じの一座』に誘拐されたのか!? 早く情報を出せ!」


報告:境界を越えた誘拐

俺の叫びに呼応するように、幹部の背後に控えていた一人のヤードが歩み出た。情報収集を専門とする、蒼の外套を纏った隠密型のヤードだ。


「……報告します。監視塔の記録、および地脈の残光を再解析しました」


蒼のヤードは、無機質な声で淡々と事実を積み上げていく。


「当初、我々も『二番煎じの一座』による単独犯行を疑いましたが、事態はより深刻です。……シエル殿、およびサラ殿を連れ去ったのは、一座と繋がりのある**エルフの国(大英エルフ帝国)**の正規工作員である可能性が極めて高い」


「……なんだと?」


その言葉に、隣のベッドで療養中だった金のヤードが、包帯に血を滲ませながらも、上官に対して反射的に姿勢を正した。だが、その顔には隠しきれない驚愕が張り付いている。


「エルフの国……帝国が直接動いたというのか!? あの『虚無』の裏切りは、一座への荷担ではなく、母国による回収だったと……?」


「その通りです。彼らは一座のナンバー1.5が引き起こした混乱を隠れ蓑にし、帝都の防衛網が空白になった一瞬を突いて、国境を越える次元回廊を強行突破しました。現在、二人の行方は帝国の聖域内にあると推測されます」


結末:交差する陰謀

金のヤードは、震える手でシーツを握り締めた。


「一座という不確定要素に、大英エルフ帝国という国家の意思が重なったか……。これはもはや、一介の犯罪組織の誘拐ではない。国家間の均衡を揺るがす、宣戦布告に等しい事態だぞ」


蒼の報告を聞きながら、俺は沸騰しそうな頭を強引に冷却し、新たな算式を組み立てる。


一座。帝国。そして、消えた二人。 エルフの国が、かつての「王室総務長官ロード・ハイ・ステュワード」であるシエルを、そしてサラを必要とした理由。それは、帝都アルビオンすらも巻き込む、さらに巨大な「書き換え」の序曲に過ぎない。


「……アルビオンの謝罪など、どうでもいい。俺がそこへ行くための、最短のルートを用意しろ」


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