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よろしくお願い致します。
露店街から戻ってきたら、もうお昼だったので、買ってきたサンドイッチを食べることにした。パンは今時流行りの米粉でできているらしくて、モチモチして美味しかった。
「こんにちは、ローザ嬢…いるかな?」
丁度サンドイッチを食べ終わって、ネオ様お手製のハーブティを飲んでいたらネオ様が工房についたようだった。
「はーい!います!どうぞ」
ここはネオ様の工房なんだけど、今は私が借りて住んでいるから、私がドアを開けて、ネオ様はちょっとお客さんのような態度で工房の中に入ってきた。
「ありがとう」
「ネオ様、今お茶を淹れますね。座っててください」
私はネオ様にもハーブティを入れた。
「ありがとう」
「いえいえ、はい。どうぞ。それからこれ…」
私は、ネオ様と食べようと思ってさっき露店で買ったフルーツタンフルも一緒に持ってきてネオ様に渡した。お茶請けになるかな。
「さっき露店街のお店で見つけたんです。可愛くて美味しそうだからネオ様と一緒に食べたいなって思って」
「……」
(ネオ、早速無口になってるよ)
「……ローザ嬢、ありがとう」
ネオ様、なんか変な間があった?どうしたんだろう?
「いただきます」
「私も早速食べようっと。いただきます」
ハーブティを飲み終えていた私はフルーツタンフルを食べた。外のコーティングの飴は薄くてパリッと割れてすぐに果物が楽しめた。
「これ初めて食べたけど美味しい〜」
「俺も早速頂こうかな」
ネオ様も食べてくださった。
「美味しいな」
「ネオ様の口にも合ってよかったです!それと、このネオ様ブレンドのハーブティ、本当に美味しいですね。私は昨日から何杯もいただいちゃっています」
「そうか、喜んでたくさん飲んでもらえて嬉しいよ」
そう言いながら、ネオ様はにっこり微笑んでいた。わー!!笑顔ってあんまり見かけたことなかったからめちゃくちゃ素敵だよ〜
「ローザ嬢?」
しまった!ポーッと見惚れていた。
「あっ、なんでもないし、大丈夫です…」
咄嗟に答えてしまったけど、変に思わなかったかな?
「そうか」
「ところで、ネオ様、今日はどんなことを教えてくださるんですか?」
「今日は彫金を見せようと思っている」
「彫金?ごめんなさい、私、粘土細工は自己流で全然ジュエリー作成のことをわからないんです」
「気にしなくて、大丈夫だよ。彫金は金属の表面に彫刻を施していくことだ」
「そうなんですね!」
「ローザ嬢は粘土細工で植物をモチーフにしていて、葉をデザインしていただろう?」
「はい、粘土の表面に葉っぱ彫ったり、木の実を彫ったりしていました」
「それを金属の表面にしていくんだ」
「金属の表面に…なんか難しそうですね」
「ローザ嬢は粘土にすごく上手に彫れているから金属にも同じようにできるよ」
「大丈夫かな…」
「まずは俺が見せるから。見ててくれればいいから」
「はい」
金属の表面に彫る彫金なんて緊張しちゃうな。粘土は失敗したらもう一度捏ねてやり直せばいいけど、彫金はどうなんだろう…。
「ローザ嬢、お茶ごちそうさま」
「いえいえ」
本来ネオ様のハーブティで、私はただ入れただけなんだけどね。
「じゃあ、早速見せるから、奥の作業場に移動しようか」
「はい、よろしくお願いします」
私はネオ様と奥の作業場に行った。作業場の奥にも部屋があるんだけど…。
私はネオ様の後をついて作業場に入ったけど、目線は奥の部屋を向いていた。
実は昨日も気になって、ネオ様が帰った後にこっそりドアを開けてみようとしたら鍵がかかって開かなかった。だからすごく気になってる。
「ローザ嬢?どうしたんだ?」
私が奥の部屋の方をみているのをネオ様が気づいた。
「あ、奥の部屋が気になって…」
「ああ、あの奥の部屋か」
「はい」
「あそこの部屋は運命の魔術師の部屋として使っているんだ。俺以外、入れないように普段は鍵をかけている」
「そうなんですね」
運命の魔術師の部屋でネオ様以外は入れないのか〜。入れないって言われると部屋の中が一体どんな風になっているのか、私はますます興味が湧いてしまった。
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