41 王太子視点
よろしくお願い致します。
(ネオ〜!良かったね!ローザがネオに相談に来てくれて)
『そうだな』
ローザが困ったことを俺に相談に来てくれた。アクセサリーに関しての相談ということもあるが、正直、そこまで打ち解けた仲だと思っていなかったのでとても嬉しかった。
(ネオって嬉しいと無口になるよね〜)
『そうかな?』
(うん、いつもそうだからわかるよ〜)
『自分ではそうは思っていないけど』
(でも気をつけてね〜ローザの前で嬉しくて無口になっちゃうと、変に誤解されちゃうといけないからね)
『気をつけるよ』
(もし、無口になってたら声かけるからね!)
『わかった、よろしく』
(それにしても、今日も私の番のヤラは全然出てこなかったね)
イングがまた番のことを持ち出してきた。当分難しいことはこの前、納得してくれていたと思っていたが…。
『イング、前も話したが、ローザの気持ちがまだ俺に向いてないからいくら一緒にいてもヤラはコンタクトしてこない』
(うん、わかっているんだけどね。近くにいると思うとどうしてもね)
『ローザが俺の工房にいる1週間の間にもっと仲良くなれるように努力するよ』
(ネオ、期待してるからね!頑張ってよ!)
とはいうものの、どのようにしていけばいいのかはさっぱりわかっていない。普通に接していればそれでいいのだろうか。
(ネオ、どうしたの?考え込んじゃって)
『ああ、具体的にどうしたらいいのかと思っていた』
(私が見てる感じだと、ローザはネオのこと、いいと思っていると思う)
『そうなのか?』
(見た感じだけどね。でもさ、番だからね。ローザがどう思おうが、最終的には一緒にいるようになっちゃうんだけどね。人間ってまどろっこしいね)
イングは典型的な守護精霊なので人間の気持ちを理解できないところがある。以前はもっと酷かった。俺と会話していくうちに俺の気持ちを知り、人間はこういう時には、こう思うものだとやっと少し理解できるようになってきた。
『まあね、守護精霊のようにはいかないよ』
(そんなことないよ。みんながみんな私のようだったら、ヤラだってもうコンタクト取れてるよ)
『守護精霊も人間のように個性はあるか』
(そうだよ。みんな一緒じゃないよ。ところで、ネオ、明日は午後から工房に行くんだよね?)
『ああ。そのつもりだ』
(明日はローザに何を教えてあげるの?)
『そうだな、いきなり作成するわけにはいかないけど、1週間しか時間がないからね。まず俺が彫金しているところを見せようかと思ってる』
彫金とは貴金属や金属の材料に彫刻をする金属工芸技法の一つだ。
(初心者だもんね。まずはどんなのか見せるんだね)
『ああ、早くできるようになって欲しいけど、順序があるからね。まず見せて、それから一緒に作成かな』
(ネオが今つけているペンダントはローザ作なんだよね?)
『そうだ、上手に作ってあるだろう?』
(うん、丁寧だし、すごく上手。こんなに上手に作れるなら、すぐにできるようになるんじゃない?)
『だといいけどな』
(それはネオの教え方にかかってるよ〜)
『俺も頑張るよ』
そんな話をイングとしながら俺は王城に帰って行った。
しかし、王城に帰っているのがローザに知られてしまうのも時間の問題になってきたのかもしれない。
いつかは俺の身分を明かさないといけない。運命の魔術師であるだけではなく、この国の王太子であることを。
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