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元ゲーマーのじいじ、気ままなスローライフを始めました〜じいじはもふもふ達の世話係です〜  作者: k-ing☆書籍発売中


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20.孫、お母さんへの報告 ※ハルキ視点

「ただいまー!」

「おかえりー!」


 僕がゲームをログアウトすると、ちょうどお母さんが帰ってきた。

 今日も玄関まで迎えに行く。


「お疲れ様!」

「んー、陽希もお疲れ様!」


 疲れた顔のお母さんをギュッと抱きしめると、嬉しそうな顔をしていた。

 毎日お仕事で大変なんだろう。

 今日も朝から忙しそうに出かけて行ったからね。


「陽希、ちゃんとお昼ご飯は食べた?」

「うん! レンジでチンしたよ!」


 いつもお昼ご飯はお母さんが作って、冷蔵庫に入れてくれている。


「えっ!? 食器も洗ってくれたの?」

「お母さん、大変そう――」

「あー、本当に助かるわ」


 お母さんは優しく僕の頭を撫でる。

 お昼ご飯を食べた時に出た食器も洗っておいた。

 少しでも自分でできることはやっておかないとね。

 お父さんが単身赴任ってやつで、中々帰ってこれないから、お母さんを助けるのは僕の役目だ。


「今ご飯の準備を……あっ、おじいちゃんとゲームしてどうだった?」

「楽しかったよ! ネコのポンと仲良くなったんだ!」


 僕は昔からネコかイヌを飼いたかった。

 でも、お父さんは別のところに住んでるし、お母さんは仕事で忙しいからダメって言われていたの。

 だから、ポンが一緒にいてくれて嬉しかった。


「それならよかったわね」


 お母さんも嬉しそうに笑っていた。


「でも、じいじがね……」

「なにかあったの?」


 心配になったのか包丁を置いて、僕の方に駆け寄ってくれた。

 お母さんにとってじいじは大事な人だもんね。

 じいじが病気になった時、お母さんが毎日泣いていたのをなんとなく覚えている。

 悲しませたくはないけど、じいじのことはちゃんと報告しないとね。


「じいじね……認知症になっちゃったの」


 お母さんも初めは驚いていたが、何か考えているようだ。


「陽希はなぜそう思ったの?」

「んーっとね、じいじはすぐに人の家に入ろうとするし、ツボとタルを投げようとするんだよ!」

「ははは、おじいちゃんらしいね」


 いつもぼーっとしているじいじが、元気に走り回っているのは嬉しかった。

 でも、勝手に家に入ろうとしたり、ツボやタルを壊そうとするんだ。

 だから認知症になったのかと思ったのに、お母さんは楽しそうに笑っていた。


「おじいちゃんも久々にゲームをやって戸惑っているんだよ」

「そうなの?」

「うん! だから、陽希がおじいちゃんと一緒にゲームをして変なことをしないか見ていてね」


 じいじは急におかしなことをするから気をつけないとね。

 ポンに装具を投げたり、井戸を覗き込んだり、次は何をするかわからない。

 ここは僕の出番だろう。


「じゃあ、ご飯ができるまで待っててね」


 そう言って、お母さんはキッチンに戻って行った。


「僕の出番……ううん。僕がやったらまたみんなに怒られちゃう……」


 僕が手伝ったらお母さんもじいじも褒めてくれる。

 でも、学校では違った。

 先生の手伝いをしただけなのに、みんなには「いい子ちゃん」って笑われる。

 ゴミ捨てに行ってないから声をかけただけなのに、「命令するな」って言われるし……。


「家では褒めてもらえるのに、学校では変な顔をする。お手伝いがどうして悪いことになるのかな……」


 僕は何か間違ったことをしたのかな。

 話しかけても誰も教えてくれない。

 みんなと仲良くなりたいって思うのは違うのかな?

 ずっと一緒にいない僕は友達ではないって言われるし、よくわからないや。


「はぁー、ポンに早く会いたいな」


 考えると胸の奥がギューっと痛くなって、息をするのも疲れちゃう。

 こういう時は楽しいことを思い出すといいって、お母さんが言っていた。


「僕にはポンがいるから、友達はいらないや。……うん、いらないもん」


 明日もじいじとポンとたくさん遊びたいな……。


お読み頂き、ありがとうございます。

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