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昼は冒険者/真夜中は暗殺者  作者: きっと小春
火薬と銃の時代
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勝手な護衛

王都リゼンから商業都市オハロまで5日。領地内に入ってからだと3日間。その間にエルダリスが暗殺されれば、政治的な問題に発展するのだが、なぜ? 誰も出迎えないかという疑問は解消された。あくまでも婚約は、イブレオ男爵側からの申し出であることを強調するためであり、出迎えなど以ての外らしい。


ならば? エルダリスが領内で暗殺されようとも関係ないと?


それはソレ。これはコレ。であり、やはり領内での暗殺は問題になるそうだ。しかし、ノクターンの力を持ってすれば、領内であろうと、領外であろうと、裏ギルドを通しての暗殺計画など、筒抜けなのである。


「裏ギルドを使わないということは…」


ノクターンが復活し、神格化計画が進んでいる。その中で、また新たなる試みである。闇の制裁の厳格化だ。


復讐などの暗殺において、ある程度の資金や立場がある人物、個人に戦闘力がない人物は、間違いなく闇の制裁を利用するのだが、金のない一般人や、身分など気にしない人物は、個人で復讐を遂げるケースが多いのだ。ノクターンは、この勝手な殺害について、裏社会のルールを厳格化したのだ。そのルールは単純で、”どのような理由があろうとも闇の制裁を通さずに殺害するべからず”というものだ。


この成果は徐々に上がり、犯罪率は低下し、一般人の間でも闇の制裁の存在が、まことしやかに囁かれるようになった。まぁ、例え貴族同士や王族内での争いだろうと、闇の制裁が入り込むのだ。だからと言って、エルダリスが殺害されないという補償はない。年老いた頭の硬い貴族はギュレン派に多いからね、新しいルールに従うことには慣れていないのだ。


現在、私は森の屋敷の騎士ニーズを連れ、こっそりとエルダリスの護衛をするために、王都リゼンにいる。他には、犬亜人のマータン&兎亜人のキバスを連れてきているのだが、二人にはエルダリスを襲う可能性のある人物を調査してもらっている。


正直、エルダリスを探すのには苦労した。勝手な思い込みで、専用の馬車で移動しているのかと思いきや、護衛騎士も冒険者も侍女も誰も連れていない完全な一人旅の少女であった。しかし、そのように見えて、周りに一般人に溶け込んだ護衛がいるのだろうと、ハーフプレイトアーマーに細工されたアイテムボックスから、触媒の処女の髪を手にして、”感糸”をLv4で詠唱する。


「矮小な男爵、宴、領地の中、味方を、集へ、小銭の限り」


魔法を発動すると、人と人が着色された線で結ばれる。赤は怒り。白は無関心。青は信頼。ピンクは恋。紫は裏切り。黄色は警戒。緑は優しさ。灰色は恐怖。黒は殺意という具合だ。注目するべきは、線の太さだ。ある人物から出る複数の線に一本だけ太い線が必ずある。つまりそれが一番強い思いの感情なのだ。


しかし…エルダリスに向けられている感情は、ほぼ白の無関心か、ピンクの恋であった。


エルダリスを尾行すると、一般向け馬車チケット売り場にて、商業都市オハロ行のチケットを購入していた。その光景は着ている服装も貴族向けの装飾された服ではなく、一般人のシンプルなもので、特に不自然な様子もない。目立つと言えば、唯一トランクケースが花柄の可愛いものだった。


「困りましてね。ニーズ、私達も、一般人の服装に着替えて、同じ馬車に乗りましょうか」


ニーズと私は、古着屋でちょっと臭いの着いた古着を購入すると、その場で着替えさせてもらった。鎧などは、取り外し可能なハーフプレイトアーマーに細工されたアイテムボックスに入れる。


「万が一の場合があります。ニーズの剣は、布に包んで持っていてください」


私は、魔導の母の指輪に、魔法の弓矢を召喚できる”弓矢”をストックしてある。背が高く威圧的なニーズとは、目だってしまうため他人として、行動することにした。


そこに、「馬車、くっさ!」とマータンが現れた。


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