刺客だらけの街
「ギュレン様。オーゼスフェスタ派のデリマリート家フィルン侯爵の子息が、冒険の街フィレオに到着しました」
領主に相応しく品の良い彩る調度品に飾られた部屋で、ギュレン伯爵は諜報部員から報告を受ける。
窓の外、現体制になる前に治めていた領地の都市である商業都市オハロと、似ても似つかない田舎町の風景に苛立ちを覚えながら命令を下す。
「ふんっ。また砦の風紀を乱しに来たか。ご自慢の火薬と銃では、謀略と計略の前には意味を成さないと知る通い」
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薄暗い安宿の一室。歴戦の冒険者でも正体を看破できないほど卓越した暗殺者たちがいた。
「ノクターン、裏ギルドを支える、この国で最強と言われた血盟。その主が冒険の街フィレオに?」
「はい。ノクターンの膝元である南の領地から、多数の貴族が入り込んでいると噂になっています」
「ふむ。だが情報としては弱いな。いや、しかし…。いずれ当たるのだ、そのときのために、目標の数を減らすのも、間違いではないか…」
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冒険の街フィレオ。東側の貴族街からアーチ型の石橋がある中央通りへ出る。
この感じは、久しぶりだ。今から冒険へ出るぞという高揚感。せめて武器は貴族らしい物を所持してくれと、アースファクト兄様は私に新しい装備一式を贈ってくれた。銃と同じ産地の固く軽い金属で作られたハーフプレイトアーマーは、弓の動作を邪魔せずに、急所の守りを高めている優秀な鎧であり、白く輝いていた。また弓も同様の金属で作りられており、通常のロングソード程度の攻撃ならば盾として受けられる強度も持っていた。
魔導の母の指輪の隠れた能力かもしれないが、ウィルボーから渡された魔法書から、覚えられるスピードが上がったのだ。多くの魔法を習得している。魔法も使える弓士として、立派に活躍してみせるわ!
ハーフプレイトアーマーに細工されたアイテムボックスから、触媒の処女の髪を手にして、”感糸”をLv4で詠唱する。
「矮小な男爵、宴、領地の中、味方を、集へ、小銭の限り」
魔法を発動すると、人と人が着色された線で結ばれる。赤は怒り。白は無関心。青は信頼。ピンクは恋。紫は裏切り。黄色は警戒。緑は優しさ。灰色は恐怖。黒は殺意という具合だ。注目するべきは、線の太さだ。ある人物から出る複数の線に一本だけ太い線が必ずある。つまりそれが一番強い思いの感情なのだ。
私のパーティでは私に対して、STの騎士ニーズは青で信頼、銃のストラネスは黄色の警戒、MTの騎士ネルは灰色の恐怖を感じている。
大通りに構える風格のある建物が、冒険者ギルド。そこに貴族である私達が入ると、場は静まり返り、平民の冒険者たちは、カウンターから離れ壁際に避難する。私が冒険者の時から、アースファクト兄様の悪評は高く、今も現在進行形で、悪評を拡散しているのだ。
”感糸”の魔法を継続したままなので、その場に居合わせた人物たちの、アースファクト兄様に向ける感情が手に取るようにわかる。冒険者たちの感情は、大凡、赤の怒りか、黄色の警戒だ。ギルド内のテーブルには、冒険には見えない傭兵風の男たちが、黒い殺意を向けていた。
う〜ん、いきなり狙撃したら、駄目なのかな? アースファクト兄様ならば、ありえない、いちゃもんで、先頭を始めるのだろうけど…。




