そこにある恐怖を作る
地下屋敷のラウンジにて、オール・グランと裏ギルドへの貢献について打ち合わせをする。
「西の血族には、もっと気軽に食せるような場所を提供するというのはどうでしょう?」
「エミリア様、人を食するのは、特別な行為であり非日常でなければなりません。品と価値がさがってしまいます」
「なるほど…。では、もっと会員を増やすというのは?」
「はい。イーガルヴィレド王の新体制のもと、多くの貴族たちが、4つの裏ギルドへ積極的に出資と加入していますので、会員を増やすのは難しいかと」
「う〜ん、では、平民を参加させるのは?」
「それも、貴族だから会員になれるという特別な優越感を壊してしまいます」
「ぐぬぬ…。で、では…。西の血族ではなく、闇の制裁のアイディアなんですが、殺害の仕方をもっとドラマティックに…」
「確かに素晴らしいと思いますが、現実的ではありません」
何もかも、否定される…。悔しい。
「そうですね…。裏ギルドを、もっと神格化させましょう」
「ほう? 神格化ですか…」
なんど、オール・グランが食いついてきた。
「そうです。例えば、裏ギルドのことを口に出しただけでも、翌朝殺されているような…。正体はわからない、でも確実に眼も耳も街中の至るところにある…。そんな恐怖を国中に広げたいのです」
「ふむ。なるほど、なるほど…。では、具体的には?」
「そうですね。まず、ノクターンとは、別の血盟を作ります。その血盟配下に、さらに複数の血盟を加入させて、その末端の構成員は、裏ギルドとは呼べないまでも、なんとなく繋がりがあり、街の眼や耳になってもらうのです」
「なぜ? ノクターンとは別なのですか?」
「うん? 簡単にノクターンにたどり着かせないため。そしてノクターンは質、つまり力を。新しい血盟は量、つまり情報を。と使い分けるのです」
「ほぉ…。で、その新しい血盟は、どのようにして?」
「そうだね…。裏ギルドと契約していない、街のギャングたちを使いましょう。デファーニア、マータンとキバス。話は聞いていましたね? 街のギャングたちのトップを恐怖で、支配してきてください」
犬亜人のマータン&兎亜人のキバスは、その依頼が楽しいものだと気が付き、尻尾をフリフリさせる。
「おっさん、くっさ。でも、恐怖に歪んだ顔好き」とマータンは大喜び。
「マータンとキバスとは、別行動でいいか?」と デファーニア。
「オール・グランは、上手く血盟ができるように、三人をサポートしてあげてくださいね。私は、七灑守護者候補を探しに行きますから…」
完全に丸投げしてしまう。




