貴族の時代
時代は一新されたように見えるが、演じる役者が代わっただけだと、人々が気付くのにそれほど時間はかからなかった。
裏ギルドである西の血族、魔導の母、死の教団、闇の制裁の4ギルドは、より凶暴に凶悪に恐怖を引き連れ、この国の底から浸透し始めていた。それは台頭した貴族たちが、多くの資金を投入し、自分の地位と権力を守る手段として、4ギルドを盾として利用したからであり、その結果、今まで以上に貴族が平民を家畜以下として扱うようになるのであった。
冒険者の街フィレオでは、貴族街と平民街が整備される。アーチ型の石橋の東側が貴族街として利用されることが発表されると、問答無用で平民の家は取り壊され追い出された。高く立派な壁が貴族街の周囲を囲んだ。
「よかったね。ライナスの家が西側で」引っ越したばかりなのに家が無くなるのは困るのです。
「あぁ…。しかし、これから先、貴族との軋轢が増すばかりだな」
「一方的な暴力支配の時代が来るかもな」
銃を持つ貴族になんて対抗できるはずもないのです。そんなことになりませんように!
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冒険者として砦の攻略も順調です。現在、第五層でゴブリンソルジャーをソロで倒せるようになりました。フェイントに気を付けてないと、矢を無駄打ちした瞬間に、突撃してくるので、生きた心地はしませんけどね。
「おら、どけっ! ブレンフォール家のご子息、ヨレフ様がお通りだ。壁際に寄れ! ヨレフ様が通り過ぎるまで、壁側に向き立っていろ! 命令に従わなければ反逆罪として、その場で撃ち殺す」
フルプレートアーマーを着た騎士数人から、道を開けるよに命令される。
壁にぺたりとくっつき、目を閉じる。壁が冷たい…。早く行けよ…と心の中で念じる。
背後をかなりの人数が通り過ぎる。全員が銃持ちなのかと思うと、ちょっと怖い。
全員が通り過ぎると、騎士が道を塞ぐ。
「お前らは、別の道を進め。貴族様の後ろを歩けると思うな。馬鹿者目っ!!」
うわっ…。なぜか、怒られたし…。
プンスカと別の道を進んでいると、ライナスに脇道へと押し込まれた。
「ちょっ」と言う前に、シリスに口を塞がれる。
「なんだ? 平民共? お前らも、女冒険者を犯したいのか? いいぞ? いいぞ? 今日は機嫌がよい。このデリマリート家のお下がりがもらえるのだ。自慢してもよいぞ!!」
騎士たちに両手両足を抑えられた数人の女冒険者が、ライナスに助けを求めているが、ライナスはジッと直立不動で動かないでいる。
「エミリア、逃げるよ」とシリスに手を引っ張られて脇道を進む。
「な、何があったのよ?」という問にもシリスは答えないで、私を通路の窪みに押し込み覆いかぶさる。
「じっとしていて…」とだけシリスは呟く。




