実力差
イレーゼが大男の眉間に矢を射るが、大男は寸前で避ける。
「おい、お前ら、”裏”だろ? 先輩に対して…そりゃねーだろう。躾が必要か?」
大男はパーティーメンバーに待ての合図を送ると、自分は両手剣の大剣を構える。
同じ大剣だとばかりにグレッドが大男に斬りかかるが、軽く大剣でいなされた。
イレーゼとグレッドの同時攻撃にも大剣を片手で持ち余裕で対応するこの男の実力は…。
待機中の大男のパーティーから「お前は行かないのか?」と聞かれた。
「勝てもしないのに行くだけ無駄だ」と答えておく。
立ち上がろうとするイレーゼとグレッドを、その度に大剣や蹴りで地面に叩きつけていく。
第一層を通り過ぎる他のパーティーも血まみれの二人に「もう立つな」とアドバイスを送ってくる。
流石に人の目が多くなってくるとやりづらいのか、大男はとどめだとばかりに地面に倒れている二人の腹を蹴り上げた。
「お前はやらねーのか? ホモンクルス」と勝ち誇る大男は聞いてきた。
「あぁ、無駄だからな」
「けっ、あいつらにも自分の力量ってやつを教えとけ」
結局、その日は行動不能となったイレーゼとグレッドを担いで帰ることとなった。
宿に帰ると嗚咽する二人を置いて、テレナと外に出る。
「あいつらはプライドが高い。しばらく外に出ていよう」
「あなたにも、そういう優しい所がまだ残っているのね。ただの殺人鬼だと思っていたわ」
一応、ブレッドとイレーゼが全力でないこと、勿論相手も…。あれ? フォローになってないか…。を伝えておいた。
そして二人きりだとすることがないと気付き、個人練習場で剣の修行をすることにした。
ギルドの無料練習場だと俺が見だってしまう可能性があるためだ。
「今日はレベル差という物を知ってもらう」
最速の7連撃を繰り出すが、1撃目でテレナの剣が折れ、2撃目で盾が真っ二つになった。
「見えない…というか、何が起こったか…わからない」
「そうだ。これが実力差というものだ」
最速の攻撃には欠点が幾つか存在する。例えばホモンクルスの肉体に異常なまでの負荷がかかるということだ。筋肉がところどころ切断されてしまい。修復するまで7連撃は繰り出せない。
そのあとはテレナの攻撃に合わせて受けるだけにする。
「どうした? 攻撃はフェイントなどを織り交ぜ、最終的に相手の急所を狙うシナリオを作り上げなければ勝つことなどできないぞ?」




