お茶会の暗殺劇
俺達はお茶会が行われる北地区の商業銀行記念館の中庭に潜入していた。
タイミング的に幼女の試食会なのかと思ったが、表舞台の由緒正しいお茶会で助かった。
「確認ですが、触媒代はウィルボーさん持ちでしょうか?」
「うん、いいよ、ガンガン魔法使っちゃって」
ガンガンって言われても…。暗殺に気付かれたら逃げるに逃げれない。
「状況を確認しても、俺が呼ばれた理由がわからないのですが?」
ここまで潜入できたのだ。後はターゲットを始末するだけだろう? なぜ俺が必要なのか?
「うん、実はね、ターゲットは…。スラブレス家のダスマン男爵の…あの護衛の傭兵さ」
中庭から見るに、護衛は全て廊下側の壁に沿って並んでいる。
無防備な貴族ならまだしも、全身プレートメイルで固められた傭兵を暗殺するとなると…。
これは貴族間の争いなのは間違いない。そんなものに手を貸して良いのだろうか?
恐らく直接貴族を狙わないのは、ターゲットは公の場に姿を表さない人物なのだろう。
または殺すことによって依頼者側に不利益が発生するのかもしれない。
だからターゲットの周囲の人間を殺すことでプレッシャーを与える作戦ではないのか?
まぁ、実のところ依頼者の動機などに興味はなかった。問題はあの傭兵の攻略だ。
「ウィルボーさん、何か作戦とか無いのですか? 暗殺はこの場所限定ですか?」
「うーん。考えてなかったね。そうそうここだね」
「では、現在有効な魔法とか何かありますか?」
「ないない。僕の魔法はどちらかと言えば直球系だろ? だから変化球系の君を呼んだんだよ」
完全な丸投げですよね? そう言われても…。
「ウィルボーさん、ターゲットに殺意を持つような人物がいるかわかりますか?」
「うん? まぁ、わかるけど…」
ウィボーさんは魔法を使って、俺が欲しい情報を渡してくれた。
「あの巡回しているでかいのが、殺意ムンムンだね」
巡回している兵士…。ルート的にも、この中庭に来る…。
その前に準備をしなければ…。
鎧の腰部分に隠してあるアイテムボックスから乾燥した月見草を挟んだ羊皮紙を取り出すと詠唱する。
「旋律の神よ、今宵、非力な我が身に、不穏な音を、不要なまま、集めん」
この吸音は近くの音を集音するのだ。自分には聞こえるが敵には聞こえなくなる。




