嫌な予感しかしない
報酬を受け取った俺は、屋敷内の自室に戻る途中だった。
二階から玄関ホールを見下ろすと、七灑守護者の両手剣の剣士デファーニアが見えた。
デファーニアは七灑守護者の中でもっとも屈強な女傭兵だ。表では両手剣を使い、裏では魔法により刀という武器を召喚して戦うのだという。容姿は肉体とは裏腹に整った顔立ちをしている。噂ではどこか貴族の令嬢だったらしい。
どうもあの件以来、デファーニアに苦手意識を持っている。
その後に盾と剣の騎士チェバリコが見えた。チェバリコは裏表どちらでも同じスタイルを貫く。剣と盾を防御に使い魔法による攻撃で相手を討ち取るという非常に稀なスタイルの騎士だ。黒髪のオールバックでダンディなおっさん冒険者なのだ。
「ノクターン様の護衛に行くそうよ」
いつの間にか背後を取るこの少女は、俺と同じ二刀流の短剣使いだが、戦闘よりも潜伏や罠などを得意としていた。また狩人としても弓使いに負けていないと巷でも有名人なのだ。
「脅かさないでくれよ、ライゼーナ」
「あら? この程度で? まだまだ甘いわね。新入りさん」
ライゼーナは笑いながら、デファーニアの元へ駆け寄っていった。
自室に戻ると、また厄介な相手が待っていた。
「勝手に入るなよ、ウィルボー」
こいつは闘士なのだがセンスが全くない。なぜ七灑守護者なのかと言えば、使用できる桁違いの魔法回数と33種類の魔法を記憶し、また俺と同じLv4まで扱える魔法のプロフェッショナルだからだ。
ウィルボーは22歳の好青年で、歌好きのため街の酒場でも人気がある。表ギルドには参加していないため、街の人たちは吟遊詩人と勘違いしているだろう。
「ウィルボーさんだろ? まだ躾が足りないのか?」
「勘弁してください。それで要件はなんでしょうか?」
「冷たいな。要件がないと、来ては駄目なのかい?」
「いや、そんなことは…ないです」
いつものように簡単に言いくるめられる。黙っていると、ウィルバーから話しかけてきた。
「今度、闇の制裁の案件でね。手伝って欲しいのさ。君の取り分は金貨12枚だ。割と良いだろ?」
「また、俺を全身火だるまにして、特攻させるとかは勘弁してくださいよ?」
「あぁ、あれは笑えたね。うん、大丈夫だよ。今回は静かに…がモットーだから」
「で、いつどこに行くんですか?」
「今からだけど、そうだなぁ、場所は…ノクターン様が出席する…貴族同士のお茶会が舞台だね。ワクワクするだろ?」
「いえ、しません。悪いイメージしか浮かびませんよ…本当に…」




