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昼は冒険者/真夜中は暗殺者  作者: きっと小春
剣と魔法の時代
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簡単な依頼

裏ギルドの客の素性は、考えなくとも想像がついた。ほぼ金と時間を持て余している貴族の連中だ。


貴族たちの多くは、裏ギルドの西の血族、魔導の母、死の教団、闇の制裁の4ギルドのどれか、または複数に所属している。


裏ギルドでの裏切りは死に直結するため、その繋がりはどんな言葉よりも信頼に値する。


国の根幹まで浸透している裏ギルドが脳だとすれば、国のため命を賭けて働く表ギルドが体と言える。


要は、表ギルドでは裏ギルドに太刀打ちできないということだ。


この国の一般市民は、常に死というものを身近に感じながら、その正体も知らず、直向きに貴族たちのために働いているのだ。


貴族たちのために働き、貴族たちの娯楽のために死ぬ…。なんとも馬鹿らしい。


「現在、ノクターンに依頼されている案件はございますか?」


「柔らかい幼女の肉が3つ必要じゃ。条件は傷なし、報酬…お前の取り分は金貨3枚じゃ」


「期限は?」


「明日の昼まで」


夜になるのを待って、アイテムボックスから黒い外套と白く赤い線が十字に入った面を取り出し身につけると、西部の一角にある平民街へ移動する。


今回のターゲットは肉だ。貧民街では栄養が少なすぎて肉の付いた幼女は手に入らない。本来ならば富裕層の幼女が一番なのだが貴族間での暗殺行為と勘違いされ争いに発展する恐れがある。消去法で行くと平民街しかないのだ。


また平民街になると子供部屋が用意されているため、誘拐など比較的楽に完遂できるのだ。


天候は曇り、月明かりも少ない。用心して教会の屋根に上がる。


今回の報酬、金貨3枚では魔法が使えない。触媒代だけでも赤字になるだろう。


魔法が使えないとなると、より慎重になるざるおえない。


侵入経路を確認する。他の家から見られていないか、人通りは少ないか、見つかった場合の逃走経路に問題はないかなど、項目が増えるほど成功率が上がるのだ。


後は侵入経路に問題がない家に、幼女がいるかどうかなのだが…。


目を付けた家の屋根に飛び移ると、寝ている対象が幼女なのか確認する。


間違いなく幼女だ。窓の隙間から短剣を差し込み止め金を跳ね上げ外す。


ゆっくりと音がしないように窓を開け、足音がしないようにベッドの脇まで移動する。


布に染み込ませたしびれ薬で鼻と口を塞ぎ、用意したずた袋に四肢を畳んで収める。


ずた袋を金具で体に固定すると、逃走経路を使い屋敷まで戻る。


気付かれた時点で続行が難しくなるため、家族が気付く前に短時間で3件繰り返す。


報告に行くと「坊主でも、この程度の依頼ならば、問題なくこなせるか…」などと言われた。


これは…嫌な予感しかしない。

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