(閑話)恋に恋するルーシー・マルポータ
閑話は読まなくても繋がります。
今回はふざけてるだけです。
前話と照らし合わせないと意味不明な内容になってます。
きゃぁぁぁああああああ
あら、喜びのあまりつい叫んでしまいました。脳内で。
眼前に広がる絵物語のような光景に、興奮を抑えられません!!
皇女殿下を抱きながら騎士様がこちらに駆けてくるのですから!!なんて麗しい光景なの!!
見惚れていたので、婆やに咳払いされてしまいました。分かっておりますとも。私の外面は完璧です!完全無欠の令嬢モードでお迎えしますわ!
あぁ!そんな!騎士様ったら!ご不安なミア様から離れたくないからと腰をかき抱いて!もう!人前ですよ!
足を挫かれたとはお可哀想に。すぐお医者様を……って、騎士様が皇女殿下を……横抱きに?
きゃぁぁぁああああ
なんて理想的なリアルお姫様抱っこなの!!こんな素晴らしい方々をこの目で見られる日が来るなんて!!
応接間なんて不要!すっ飛ばしてどうぞ!寝室ですわ!そして邪魔者は即退散です!
ほほほほほ。昨日は大変良いことをしました。お二人はいかが過ごされたでしょうか。野暮とは分かっておりますが、気になって眠れませんでした。
こうなったら突撃インタビューしかありませんね!
皇女殿下は恥ずかしがるでしょうから、騎士のカイン様です。男なのでビシッと答えていただきましょう!
標的発見!作戦実行!
「カイン様、ごきげんよう。少しお伺いしたいのですが」
「………」
沈黙は了承!
「単刀直入に申し上げますわ。ミア皇女殿下とのお付き合いは長いんでしょうか?」
「………」
沈黙は肯定!行動は言葉よりも雄弁ですわ!
「昨日は皇女殿下を甘く慰めたのかしら」
「………」
これはキスの雨を降らせたに違いないわ!
「まさか一線を越えるような事は……」
「………」
喉元にかじり付くくらいしてますわね!
「ときに伯爵家とはいえ三男のカイン様と皇女殿下とでは、些か身分に差がおありですよね」
「………」
苦悶されていらっしゃる!
「諦めるおつもりですか?」
「………」
必ず乗り越えるのですね!場合によっては駆け落ちですね!分かります!
「私、お二人を応援いたしますわ!!」
「………」
そんな、お礼なんて!もうお腹いっぱい……いえ、やはりおかわりで!!!
あらミア様。泣き腫らした目元がまた可愛らしいですわ。って、あらあら?まぁ!まぁ!私ったら図らずも当て馬役を?!
ほほほほほほ 退散!退散!
ミア様ったら車内からそんな熱くカイン様を見つめて!隠せてませんわよ!
末永くお幸せに!
ルーシー・マルポータ14歳。
既に所作も完璧で頭も切れる、よく出来た令嬢です。