第46話 「模擬戦の後……」
本日二回目の投稿になります
―――思い出した。
俺はあの時大和の一撃によって気を失ったんだった。
いいようにあしらわれて……いや、あしらわれてすらいないな。
開始五分にも満たなかった。こちらがはっきりと大和機の姿を捉えたのは最後の一度きりだった。
しかし、あれは一体何だったのだろう。
立ち上がろうとした瞬間にグワンときて……。
「いっつ……」
ひどい頭痛がする。
攻撃の正体はわからないが、強力なのは確かなようだ。
「とりあえず機体を再起動しないと……」
ぼやきつつ真っ黒に染まった画面を見やる。
恐らく衝撃によるシステム保護のために一時シャットダウンしたのだろう。
「えーっと、外部操作モジュールは……」
非常用電源を点け、天井付近の計器類をかちゃかちゃといじる。
薄暗い照明では、細かい表示が読みにくい。
記憶を頼りにしばらく天板をいじり、
「お、あったあった」
ようやく電源ボタンを見つけ出す。
誤操作がないようにカバーがついてるせいで手間取ってしまった。
操作を終え、機体のシステムが復旧する。
と同時にいきなりスピーカーから大音声が響いてきた。
『木崎、大丈夫か?返事しろ!』
「は、はい。大丈夫です」
大和の声だ。外部カメラ越しにコクピット前に立つ彼の姿が見えた。
『おお、よかった。いま医療班を呼んでるからな、少しそこで待機していろ』
「わかりました、ありがとうございます」
その言葉に安心して体の力を抜き目を閉じる。
やがて医療班が到着した。
俺はコクピットから引っ張り出され、そのまま医療室へと運ばれた。
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「……それで、どうだったのかね」
「はい。まだまだ未熟ですが十分に見込みがあります。
鍛え上げればトップクラスのパイロットになるでしょうな」
第四支部支部長室。
そこには在原雅喜支部長と大和聡一特務一佐の姿があった。
議題はもちろん、第六小隊の新星、木崎優真についてだ。
「ということは、彼の強化任務は君が担当するのかね」
「ええ、四ノ宮同様私が彼を鍛えます」
「そうか……。彼の戦闘の感想は?」
「だいぶ荒削りですな。やはり数か月で実戦に順応するために自己流の戦闘スタイルを編み出しているようです。それも単独戦闘用の」
普通、新兵が実戦に参加するのは大抵二年ほど、早くとも一年半程度の期間を要する。
しかし木崎の場合たった二ヵ月ほどでもう実戦投入されてしまっている。
乗機がヴァイツであることも相まって、彼の戦闘は相当特殊だ。
単独戦闘が前提条件であるため、まず装備は火力第一。前衛を必要としないために防御手段をなくして運動量を増やしている。また、一定の間合いを取り続け近接戦闘はなるべく避けようとする。
これまでの戦闘データから、また今回の模擬戦からも大和はしっかりとそれを把握していた。
一方的なボコリングに見えて、彼はしっかりと木崎の動きを観察していたのだ。
「では、そこは矯正していくのかね?」
「いえ、そのつもりはありません」
在原の問いに対し、大和は迷わずにそう答えていた。
「彼のあのスタイルはむしろ伸ばしていくべきです。
集団戦にはたしかに向きませんが、だからといって彼が自力で築いたものを壊してまで変えさせるほど欠点だらけのものでもありませんから。私の仕事はあの荒っぽい戦い方をより洗練されたものに磨くことです」
「ふむ、いいだろう。期間はどれほどかな?」
「半年ほどあれば。実戦に慣らす期間も含めれば一年後にはこの組織の筆頭に名を連ねるほどのパイロットに成長するでしょう」
「それはまた大きく出たな」
「それだけの潜在能力が彼にはありますから」
大和はニヤリと笑いながら断言する。
その返事に在原も満足そうな表情を見せた。
「そういえばフリューレシステムについても訓練しなければいけませんね」
「おお、そうだったな。あのシステムに関しては未だに不明な部分が多すぎる」
在原の言う通り、フリューレシステムはなんとも不透明な存在だ。
効果、回数、発動条件など、まだまだ謎にあふれている。
なまじその威力が強大なだけに、その解明の優先度は高い。
大和の役割のうちには、フリューレシステムのことも当然含まれていた。
「力場干渉能力、でしたか。信じがたいものですな」
「うむ。義和もそれにはだいぶ頭を抱えていたよ」
「今は検証あるのみでしょう。なんいせよサンプルが少なすぎる」
「頼んだぞ」
「善処します」
では、そろそろ……といいつつ、在原に向かって大和は一礼した。
「最後に一つ聞いておこう」
扉へ向かおうとした大和に在原が呼び止める。
口端を釣りあげて、小さく笑いながら。
「彼のことは、気に入ったかね?」
その問いかけに、大和は、
「ええ、とても」
そういって彼は支部長室を後にした。
―――そして、あらたなる日々が始まったのだ。
次話からはいよいよ修行の日々が……!
10月中にもう一回投稿したいなぁ




