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GUARDIANS・IN・IRON   作者: 寺野深一
第二章 波乱到来編
21/51

第20話 「定例会議」

第20話、お届けします

今回は1話だったものを二分割しました

なので短めです

 




「それではこれより、第四支部定例会議を始める」


 場所は第四支部の会議室。

 幾つもの長机が置かれた部屋には、総勢50名ほどの基地の主要人物が集まっていた。

 支部では、定期的に総合的な報告会議室が行われる。

 月に一度こうして集まり、各部署での状況を報告して細かい予算などを決めるのだ。



 基地内のそれぞれの部署の代表たちが、質素な会議室にずらりとならんでいる。

 その中には、〔ヴァイツ〕整備班班長の日向さんや、他の小隊の隊長など、見知った顔も多い。

 だが、通信室要員や情報部の人達はほとんど判らなかった。

 というより初対面だ。

 彼らは俺と四ノ宮が配属された日の歓迎会にいなかったから。



「各部署、報告を」


 会議を取り仕切っているのは支部長の在原だ。

 さほど大きくないのに良く通る声だ。

 余計な前置きは一切無い。

 効率的で円滑な基地運営をするためには、余計な台詞など要らないのだろう。



 在原を頂点として、時計回りに報告がされていく。

 通信部、情報部、財務部……

 淡々と簡潔的な説明がされ、円滑に会議が進んでいく。

 報告だけならばすぐに終わるからだ。


「……というわけで、備品部からはIGの装備関連、主に〔ヴァイツ〕関連の武装を優先的に回してもらうように、本部への要求をお願いしたい。

 現在の在庫状況では、そのうち〔ヴァイツ〕の特性を活かせなくなるでしょう。

 以上です」

「了解した。

 本部の方には私から要求しておこう。

 では次、IG部隊の小隊各位からの報告を聞こう」


 主力実動部隊であるIG各小隊は、他とは少し異なる報告をする。


「第11陸戦機甲師団所属・第五十二小隊です。

 今月の戦果と損害は………」


 IG部隊では、月の実績を報告するのだ。

 毎回任務の後にはレポートを作成するのだが、これを総合して本部に提出される。

 この成績が良い者には昇級が待っているわけだ。

 これは給料に直結するため、皆とても真面目にやる。

 大抵いつもふざけている佐渡も、レポートの時だけは静かだ。


 各部隊の隊長が粛々と報告をしていき、次は俺達第六小隊の番となった。

 染谷が起立し、手にした端末を見ながら報告する。


「……我が小隊の、今月の出撃回数は11、撃破数合計は46です」


 染谷がそう言った途端、会議室にざわめきが広がった。

 それもそうだ。

 彼は()退()()では無く、()()()が46と言ったのだから。

 普通は大体撃退数が20前後、撃破数は二桁に行くか行かないかといったくらいだ。

 これは支部の中でも抜きん出た数値だ。

 この数値は、俺と四ノ宮が小隊に加名し、攻撃戦力が増強したからともいえる。



 ……だが、俺はこれを素直に喜べない。

 なぜなら……



「損害は、〔ヴァイツ〕の肩駆動部の完全破壊。

 現在本部技術室へ、修繕のために機体を移送しています」



 この戦績に泥を塗ったのも、また俺なのだから。



 会議室の温度が一気に冷える。

 染谷の後ろに控えていた俺は思わず俯いた。

 俺が今晒されているであろう、先程とは異なる皆の驚異の視線。

 俺は、目線をあげることがどうしても出来なかった。


「―報告は以上です」


 やがて、染谷の報告が終わる。

 彼が座るのに合わせて、俺も着席する。

 会議室は相変わらず静まり返っている。


 それはそうだろう。

 期待の新星が一転、調子に乗って大事な試作機を壊したクソ野郎になったのだから。

 いや、今じゃ期待されていたことすら疑わしい。

 悔しさを通り越して、俺は恥ずかしかった。



 そこから先は良く覚えていない。

 他の部署や部隊の報告が、右から左に抜けていった。

 俺は完全に、あの白けた空気に打ちのめされていた。


 気が付けば、定例会議は終わっていた。




 その間俺はずっと、俯いたままだった。




 ーーーーーー

 ーーー

 ー




「木崎、何見てるの?」


 会議の後、ブリーフィングルームでモニター端末に向かっていた俺に四ノ宮が尋ねてきた。


「あの黒い《エネミス》との戦闘記録を見てる」


 俺は今、ヴァイツや第六小隊の九十二式のバトルレコーダーに記録されていた、あの《エネミス》の映像を見ていた。

 小隊のためにも、俺はもう奴に負けるわけにはいかない。

 たとえ俺が九十一式に乗っていたとしても、奴を倒せるようになる。


 意識が覚醒した後、俺はそう決めた。

 なによりも、俺は心に刻んだあの四ノ宮の言葉を、二度と無下にしないと固く誓ったのだ。


「対策を考えてるのね、私もいい?」

「いいよ」


 そういって隣を勧めると、四ノ宮はそこに座り、備え付けのモニター端末を操作し始める。


 さりげなく近くを勧めたのには、別に他意は無い。

 話し合うのに近い方が良いからだ。

 あの任務の前であれば、内心大はしゃぎするところだが、生憎今はそんな気分になれなかった。


 ……だが、世の中には不可抗力というものがある。


 まぁ、その時に漂ってくるわけだ。

 その……女子特有の甘い香りというやつが。

 こればかりはしょうが無い。

 元気だろうが萎えていようが、俺は健全な男子高校生なのだ。

 身体が勝手に反応してしまう。

 これは仕方がないので、遠慮無く堪能させてもらおう。


 ……ん?

 さっきまであんな負のオーラを出してたのに、あっさりし過ぎじゃないかって?

 バカ言うな。

 いつまでもウジウジなんてしていられるかよ。

 悔しさも恥ずかしさも後悔も、全部乗り越えてこそ人は強くなれる。

 落ち込んでいる時間なんて、ただの人生の浪費だ。

 そんなことをしている暇なんて俺には無い。



 それよりも……

 それよりも、もっと俺に美少女とのふれ合いを!!


「……ど、どうしたの木崎?」


 すると、こちらの視線に気が付いたのか、四ノ宮がこちらを向いた。

 少し訝しげな表情だ。

 どうやら俺に変な疑いを持っているようだ。

 彼女の疑いを解くためにもここは一つ、爽やかな笑顔でもプレゼントしてあげよう。


「いや、なんでもないよ四ノ宮」

「……」


 より警戒した目線になった。


 そんな怪しんだ目で見ないで欲しい。

 身体が悦んでしまう。



 ……グリッ


「あの……四ノ宮さん?」

「何かしら?」

「その……足が」

「あら、ごめんなさい」


 四ノ宮が俺の足をグリグリと踏みつけてきた。

 変なこと考えていたのが顔に出ていたようだ。

 心なしか、彼女の口調が戦闘時のようになっている。

 いや、これはこれでまたそそるものが……


「もう一度踏むわよ」

「ごめんなさい」


 怒られた。

 流石にこれ以上は軽蔑されてしまいそうだ。

 もう手遅れかもしれないが。


「それで、どこまで進んだの?」

「あ、うん。これを見てくれ」


 おふざけはもうお終いといった感じで、四ノ宮が俺の分析について訊いてきた。

 ここからは真面目モードだ。


「まず奴のパターンから考えてみたんだ。

 この状況でなら奴は……」

「なるほど、ならそこは私単独で対応したほうがいいね」

「ああ。

 それでな、すると奴は………」


 モニターを見ながら、解析を進める。

 どんどん意見を出していき、再び奴と相まみえた時のための作戦を組み立てていく。

 三人寄れば文殊の知恵と言うが、二人でも十分に知恵は搾れるものだ。


 互いの意見を聞いて、指摘し、改良していく。

 その繰り返しだ。


 話しているうちにどんどん発想が湧き出てくる。

 こうしていると、絶望的に思えたあの《エネミス》の存在が、倒すことができるような気がしてくるから不思議だ。

 なんだが手が届くように思えてくる。

 自信が、希望が生まれてくる。


 やがて、自然と俺は小隊の皆が常に言っている台詞を思い出していた。



 そうだ……俺達ならば大丈夫。

 大丈夫なんだ。

 だって俺達は―――チームなんだから。




 ーーー




 時間は飛ぶように過ぎていった。

 そして日が傾き始めた頃。

 俺達のモニターには、希望の芽が描かれていた。




というわけで、シリアスなのかコメディなのかよくわからない間話でした

そしてお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、木崎はバカです


前書きの通り、今回は短めです

なので次話も早く投稿できると思います

ご意見ご感想等お待ちしております

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