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神璽の魔法使いたち  作者: トータカロク
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序章

 メールを整理していたら発掘した数年前に書いた所謂黒歴史小説

 



 町の中を二人の子どもが、ひたすら走っていた。

 中学生ぐらいの少年と少女だ。

 手を繋いで走る二人は片手に何か紅い石を一個ずつ持っていた。手を離した方が走りやすいはずだが、二人は決して離そうとしないで力一杯握っていた。

 人目が付かない路地裏を走っていると少女が何かに躓きこけて、ふいをつかれて少年もこけてしまう。

 少年はすぐに立ち上がり、少女は一瞬泣き顔になったが我慢するように立ち上がった。

 すぐに二人は走り始めるが、少女は左足を挫いたのか動きがぎこちなかった。

 少年は仕方なく少女を背負おうと動きを止めて腰を落とした時、少女が体当たりをしてその位置から一緒に飛び退いた。

 何事かと少女を見た時、少女は悲鳴を上げた。

 少女の左足首から下が無くなっていたのだ。

 思わぬ事態と少女の左足首から出る大量の血に思考が停止した少年は動けないでいると、来た道から足音が聞こえた。

 少年は少女を護るように前に出る。

 足音の主は二人の前に現れて何かを言った。

 少年は拒むように首横に何度も振ると、足音の主は溜息を吐いて手に持っている物を何かに押し付ける動作をすると、手に持っていたものを二人に向けた。

 少年は少女の足を奪った原因がこれだと察するが、何か分からずどう対処すればいいかわからないことに唇を強く噛んだ。

 足音の主がまた何かを言ったが、少年が首を横に振った瞬間、自分に向かって何か飛んでくるのを感じた。

 少年は目を瞑ってその瞬間を待ったが何も起きた様子が無く、恐る恐る眼を開けると、眼前には紅蓮の炎を纏った巨大な鳥が羽を広げていた。

 少年は炎のあまりの眩しさに手でをかざして見ると、鳥のすぐ傍に新たな人物が立っていた。

 鳥が一声鳴いて纏った炎を猛らせると、足音の主は逃げて行った。

 逃げていく足音の主を見て助かったと少年が安堵した時、少女から再び悲鳴が響いた。




 天も地もない漆黒の空間。

 立っているのか横になっているのか漂っているのか、それすら分からない場所に絶え間なく動く人が二人いた。

 いや、人が二人というのは適切ではないかもしれない、一人は百六十センチ程度の身長だがもう一人は三メートルある。現在確認されている世界最長は二メートル七十二センチだとしても、三メートルというのはもう人の範疇内には見えないからだ。

 この二人から激しくぶつかり合う金属音が聞こえる。

 二人は剣をぶつけ合っていた。

 小さい方が大きい方に向かって行き、弾き返される。

 この繰り返しから生まれる金属音の中に別の音が聞こえる、重く力強い低い男の声だ。

 連続で鳴り響く金属音に埋もれず聞こえる声で大男は言う。


「覚悟を見せてみろ」

 

 試すように、願うように、望むように。

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