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第9話 最初の授業からいきなりセクハラ!?

 結局、事態収拾がつかないままホームルームが終わり、ダグラスと舘林が教室を出て行くと生徒たちは大騒ぎになる。


「なに! あの態度! あれが教師なんて、ありえないわ!」


 憤慨する亜紀に、琴子とサナエも言い寄る。


「それで、どうするの? 授業をボイコットする?」

「ボイコット? そんなことをしたらアイツの思い通りになるだけじゃない? こうなったら、アイツの授業をメチャクチャにしてやるわ」


 亜紀がそんなことを言っても、誰もそれを止めようとはしない。下手に口を出して、自分まで目を付けられては――と思うのである。

 もちろん、それはメグミも一緒で、(また、面倒なことになったなあ……)とため息をつく。


「ネエネエ、やっぱりマグナマル先生、カッコイイよね?」


 メグミにそう言い寄るマナミに、「ちょっと、この状況で良くそんなことを思えるわね?」と小声で伝える。いつもポジティブなのがマナミのいいところでもあるのだが、ここは空気を読みなさいとマナミをたしなめた。



 その日の午後――

 魔法科は午後の授業が毎日、専門教科――つまり、魔法の授業となる。と、いうことは、ダグラス最初の授業ということになるのだが……

 ダグラスが教室に入ってきても、琴子、サナエは亜紀の席に集まって、三人でお喋りを続けている。そんな異様な雰囲気のため、号令係も授業開始の挨拶を始められないでいた。

 しかし、ダグラスはそんな中でも笑みを見せている。


「よーし! 全員立て!」


 いきなり、ダグラスがそんなことを言うので、最前列の席にいるメグミは面食らう。辺りを見回すと同じような表情でどうすれば良いか悩んでいるクラスメイトたちが目に入った。


「どうした? ほら、全員立ち上がれ!」


 すると、マナミがスーっと立ち上がる。バラバラと立ち上がる様子を見て、メグミも仕方なく立ち上がった。だが、中央にいる亜紀達は相変わらず無視して、席から立とうとしない。

 ダグラスは教壇から降りると、いきなりメグミの前に立った。


(――えっ?)


 何事かとダグラスの目を見るが、今度は自分の上腕部をいきなり触り始めた。


「なっ!?」


 慌てて、カラダを捻じって抵抗するメグミ。頭の中が混乱する。すると、今度は腹部にダグラスの手が伸びる。


「な! 何をするんですか!?」


 さすがに、そんなことをされたら文句を言いたくなる。だが、ダグラスはバカにしたような笑みをこぼすと、今度は隣の女子生徒に同じことを繰り返した。


「なあに! 最初の授業からいきなりセクハラ!? ちょっと、誰かこの異世界人に常識を教えてやってよ!」


 亜紀が大笑いすると、琴子とサナエも机を叩いて笑った。


「せくはら? そうだな、あとで教えてくれ」

「――はあ?」

「それにしても、よくそんなカラダで魔法の勉強をするなんて言えたな!」

「――えっ?」


 それって、どういう意味――?

 メグミがそう声にしようとした時――


「オマエら、運動できる服装に着替えて、校庭に出ろ!」

「えっ? ええぇぇぇぇ!」


 体育の授業でもないのに校庭へ? しかも、服を着替える?

 いったい、何をするのかと仲の良いクラスメイト同士で顔を見合わせた。


「ちょ、ちょっと、外に出ろって、魔法の授業なのになぜ!?」

 メグミは納得がいかないという顔で言うと――


「その質問には答えない。先に行っているから、五分で着替えて、外に来い!」

「なっ!」


 ダグラスはさっさと教室を出て行くではないか! そんな横暴な態度に、メグミもさすがにハラが立つ。


「な、なんなのよ!」

「あーあ。授業に出てやったというのに、なにあれ? やってらんない。琴子、サナエ、もういいから、どっか遊びに行こ?」

「えっ? 亜紀、いいの?」

「だって、アイツ言っていたじゃん。別に授業に出なくていいって――だったら、望み通りにしてやるわ」

「それもそうね!」


 そう言って、三人は教室を出て行く。それを見たメグミはため息を吐いた。


「ねえメグちゃん、外で何をやるのかしら? なんか楽しみじゃない?」


 そんなマナミが羨ましいなんて思ってしまう。


「リナはどうするの?」

「授業に出ない理由はないから、出る――」

 相変わらずぶっきらぼうに応えられる。


「仕方ないわね、私も出るわよ」


 なんか腑に落ちないが、そのまま更衣室で着替えを済ませて、外に出る。結局、ボイコットしたのは亜紀たち三人だけだった。

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