女性の心は読めない
朝、目を覚ますと俺の隣に寝ているはずのミリアの姿がなかった、マップで探したがどこにもいない。
「すまんイリィス、ちょっとミリアを探してくる」
俺はそう言うと次元住居から出た。
しかし、外に出てもミリアの反応はない、どういう事だ?
そういえば、常闇ノ不死王のミリアに初めてあった時にも反応なかったな。
『気配を消す"隠者の聖域"を使用しているようです』
なるほどそれでマップに映らなかったのか。
でも、そうなると、どこに行ったか全く手がかりがないぞ。
俺はミリアが行きそうな場所を考える、とは言え、俺が知ってる場所なんて遺跡くらいだしな。
『女性は見つけてもらいたいので、分かりやすい場所にいるらしいですよ』
それどこ情報よ!
『神の記憶領域のナンパ師情報です』
まじか!
『マジです』
となると遺跡か。
俺は転移魔法"転移門"を出すと遺跡に瞬間移動した。
まあ、ここを離れて数日だから代わりばえしないよね。
そう考えていると、遺跡の方からすすり泣く声が聞こえる。
ビンゴだ、この遺跡に入れるのは現状、俺とミリアしかいない。
しかし、何て声かけようか、いや、考えて声をかけるなんてそんなのは嘘の言葉だ。
俺はなにも考えず、遺跡に入った。
すすり泣く方をみると、ミリアが体育座りをして膝に顔を埋めている。
「ミリア……」
彼女は一瞬肩をビクッとさせた。
「来ないで!」
俺の足が止まる。
「私は、私はヴィクトルのこと好きじゃない、利用しようとしてたんだ、だから来ないで」
利用か、利用ね……
「ミリア、隣に座らせてもらうよ」
「来たら……殺す」
ミリアが手に魔法を発動させる。
「本気で言ってるの?」
「本気……」
腕を俺の方に向ける。
「良いよ、大好きなミリアに殺されるんなら本望だよ」
俺はお構いなしにミリアに近づく。
それに呼応するように魔法が俺に放たれる。
俺のからだが明るく輝く。
うん、分かってた、攻撃魔法じゃなかったよね。そう、俺はミリアから魔法を教わったのだから、なんの魔法かみればわかる、そのくらいも分からないほどミリアは混乱しているんだろう。
俺はミリアの横に座る。
「眩しい……」
いや、これ君がかけた魔法だからね?
「なんでよ、私はあなたを利用したんだよ」
「利用って何が利用なんだよ」
ミリアはなに言ってるのこの人みたいな顔で俺をみる。
「あなたの力を解析したじゃない!」
「そんなのは知的好奇心だろ」
俺はにべもなく切って捨てる。
「それに、もしそれが利用したって言うなら、俺もミリアを利用したとになるよ?」
「なんでそうなるのよ」
「だって、俺強くなるためにミリアの技教わったでしょ?」
「それは、私が教えたかったからでしょ!」
「じゃあ、俺も俺のギフトを教えたかったから、許可したんだけど」
「それはッ……」
俺はミリアの手を握った。
「私はヴィクトルの何が好きなのかわからない、ヴィクトルは私の笑うところが好きっていってくれたのに……」
「ミリアは恋愛したことある?」
「無いわよ!ヴィクトルが、初めての好きな人よ!」
そう言うと顔を赤くした、と言うか、これを好きと言わずなんと言うんだろう。
「ミリアは天才だけど馬鹿だよね」
「なんでそうなるのよ……」
「今、自分で俺のこと好きって言ったじゃない」
「でも、私はヴィクトルのどこが好きなのかわからない」
「好きって感情は理屈じゃないんだよ、人によっては勘違いから始まるとか言う人もいるしね」
「なによそれ……」
「好きなところがないならこれから探せば良いし、なきゃないで良いじゃん、俺はその間にミリアの良いところたくさん見つけるから」
俺はそう言うと意地悪く、ニヤリと笑った。
「私だって見つけるから、ううん、無くても関係ない私はヴィクトルが好き 、それで良い」
俺はミリアを抱き寄せキスをした、それは長い、とても長いキスだった。
「俺はミリアに出会えて幸せだよ」
「私の方が幸せだよ」
二人して笑いあった。
「そう言えば、付き合ってた人ってどんな人でしょうか」
そう言うと俺の頬を引っ張り出した。
痛いからね? 戦闘力見えない人が引っ張ると本気で痛いからね?
「ぎょめん、きよくににゃいでしゅ」
付き合ってた記憶はあるのに、どんな人か思い出せない、俺の記憶喪失マジ有能。
「そうよね、30歳位で付き合ったことないほうが異常か」
やめたげて、世の中には30歳まで童貞で魔法使いになった諸先輩方もいるんですよ!
「ん? もしかしてミリアって30歳位から急激に魔力上がったりしなかった?」
ミリアは驚くような表情を見せる。
「なんでわかったの? 30歳の誕生日に急激に魔力量が100倍近く増えたわ」
どうやらこの法則は処女にも適用されるようです。
「そうと決まったら、あいつにガツンと言ってやらないと気がすまない」
そう言うとミリアは空中に魔方陣を書き出した、その魔方陣が付いた右手を俺の額の前に止めて呪文を唱えた。
「今度は負けない」
俺たちは意識のそこに沈んだ。
今回は意識を失うことはなかった。
ミリアの方を見ると、彼女は彼女のままだった、常闇ノ不死王ではなかった。
「やあ、よく来たね、アキトとミリアで良いのかな?」
今回、フィーネはミリアを常闇ノ不死王とは呼ばず名前で呼ぶ。
「では、もう一度聞こうか、君は本当にアキトの事が好きなのかい?」
「好き! 大好き! あなたになんと言われようと関係ない、私は私の意思でヴィクトルを愛してる!」
ミリアがそう言うと、フィーネは悲しそうに笑った。
「君の気持ちはわかったよ、アキトのことは君に任せるよ」
「なにも文句言わないの?」
「なぜだい? その姿でその愛の告白 なら君は本当にアキト、いやヴィクトルの事を好きなんだろ、だったら僕が否定することなんてできないよ」
そう言うとフィーネはお辞儀をする。
「どうかアキ……ヴィクトルを守ってやってほしい、彼は昔からトラブルメーカーだからね」
そう言って、にこりと俺に笑いかける。
「僕はヴィクトルに謝らなければいけないことがあるんだ」
フィーネが申し訳なさそうに言う。
「実は僕が君に取りついているせいで第七の祝福が発動してないんだ」
「祝福って精霊龍の魂じゃないの?」
フィーネは首をふる。
「今ある六つの能力よりはるかにすごいよ、たぶん解放されればヴィクトルは常闇ノ不死王よりも強くなる」
まじか! 女神様豪華得点の大盤振る舞いだな。
「だから、ヴィクトルを守ってくれる人がいるなら僕はもういらない、後はミリア君に任せるよ」
「いらないって、どういう事だよ」
フィーネが言うに彼女は2200年前に死んでる、肉体はすでになく、魂を守るシステムを持つ人間と違い、死ぬことを考慮されてない精霊龍は俺から離れたら消滅してしまうそうだ。
「だから、僕は君を守るために消えることにするよ」
消える? 消滅? 俺を今まで守ってくれたこの娘が?
「そんなのダメに決まってんだろ!」
「アキ……ヴィクトルでもそれじゃぁ」
「うるさい! 俺が決めた! 今決定した、ミリアとフィーネは俺の嫁! 異論は認めない」
そう言うと、ミリアの手を取りフィーネのところまで行き二人をぐっと抱きしめる。
「一緒にいても良いの?」
「うん」
「僕がいると、七つ目の祝福使えないよ?」
「使えなくても良い、側にいろ」
「でも僕、付いてるよ?」
「大丈夫、関係ない」
そう、俺を好きだと言って何年も守ってくれた人の身体的特徴が少し女性と違うからと言って拒絶するなんてあり得ない。
「君は記憶をなくしても変わらないんだね」
そう言うとフィーネは俺にキスをした。
「まあ、私は一夫一婦の国から来てるから少し思うところあるけどね」
そう言うとミリアは俺の腋をギュッとつねる。
「あなたがいなければヴィクトルにも会えなかったし、それに、この間の盗賊にも殺されていただろうしね」
フィーネはふふふと、笑うと僕はなん番目でも構わないと言い出した、俺の側にいられればそれで幸せなのだと。
なに、このかわいい娘、今日から俺の嫁です、精神体、つまり二次嫁。
「というか、あなたの体も作るから」
ミリアが当たり前にように言う。
「え、どういう事?」
フィーネが驚いた顔でミリアに問い詰める。
「ヴィクトルの体のなかで一心同体なんて許せるわけないでしょ、キッチリ切り離します」
今すぐできるけど、予備のホムンクルスはミリア顔なので双子になっちゃうそうなので、制作まで少しまってほしいそうだ。
待ちます!欲しがりません、勝つまでは。
「そしたら、いっぱいエッチしようね」
そう言うとフィーネは甘美な表情を浮かべる。
エロいよ、ヤバいフィーネさんエロすぎますよ。
「作らない方がいいかも……」
ポツリとミリアが言った。
仲良く暮らすには、まだまだ前途多難である。
ここまでが当時の作品ですガリウスの世界に風の精霊龍が居ないのはアキトに取り憑いている為です。削除した理由は「おさじょ」に併合するためです。
この他に完全版がありますがそちらは「おさじょ」でも予告したとおり「アキト」として再構成中なのでネタバレになるため再UPしません。




