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紡ぎ話し 三匹が狩る 其ノ二(前編)

僕の名はナナシ

今日は辺境の六王家の一つベルノイル家に呼ばれて来ている。

もちろん呼ばれたのは、マクトルとウィンディの二人だけどね。


 偽造貨幣製造工場を潰して欲しい。

王城に呼ばれた二人に国王が願い事をする。

「そんなのは、自分の兵隊使いなよ」とウィンディは相手が国王だろうがお構いなしだ。


 この人達は王よりも権力が強い、なんなら王を殺しても(とが)められない。


 なんでもこの二人は300年前連合王国を潰して新国家連合を樹立した立役者らしい、いや、人間300年も生きられないから、たぶんその子孫なのだろう。


「ウルガスともめてるらしいから、兵を動かせないと言うところか」とマクトルは言う。

王が苦虫を踏み潰したような顔をしている。

「くだらない、あんたらの領土紛争に私たちを巻き込むな」

「いえ、私たちは防衛する側でして、帝国の……」

そう言いかけたところでウィンディが言葉を被せる。

「攻めてくるなら、くれてやれば良い、王など誰がやっても同じだろう」

「わかりました、では、私の首で貨幣製造工場を潰していただけないでしょうか」

「自分の首を賭けてまで、潰して欲しいのか」

国王は頷くと、その目には確固たる信念が伝わってくる。

「偽通貨は国民の暮らしを危ういものにします、それにあやつらは、ウルガスの連中に誘拐した人民を、売り渡しているのです」


しかし、国王が誘拐犯や貨幣製造工場を潰す報酬に自分の首を賭けやがった、どんだけやばい橋なんだ。

「面白い、自分の命を懸けるのならば、請け負ってやろう」

「おおお、有難うございます」

そう言うと二人はきびすを返し謁見の間を出る。

「ちゃんとした理由、聞かなくてよかったの? どう考えても、他に何かあるよね」僕はマクトルに訪ねた。

「男が自分の首を賭けるといったのだ、それ以上聞く必要はあるまい?」


 マクトルの言うこともわかるけど、信じて馬鹿を見る事に、なるかもしれないじゃないか。

信じて裏切られて傷つくのは自分なんだよ、ってマクトルに言ってやりたい、でも、そんなことで彼らに臆病者と(そし)られるのはもっと嫌だ。


「ナナシは宿屋で、まってていいよ」

 ウィンディがそう言う、俺は体から、なにかが抜けていくのを感じた、その瞬間、ウィンディに掴みかかった。

「弱いから、足手まといだから俺はいらないって言うのか!」

ウィンディは冷めた目で俺を見る。

「そうだよ? 足手まといは、いらないんだ、おとなしく宿屋でまってなよ」

 僕は無力だ、守られてないと生きていくこともできない、自分が無力なのを棚にあげてウィンディに八つ当たりをした。


「最低だな ……」


 自分自身に言った言葉なのに、ウィンディは自分が言われたと思ったのか、うつ向く。


何やってんだ僕は。


◆◇◆◇◆◇◆


「ウィンディ、もう少し優しくいってやれ」


「駄目だよ、ナナシは強く言わないとついてくる」


そう、彼は弱いのにいつも私たちを追いかけてくる。

「彼を失うわけにはいかないでしょ」

「そうだな、だが、だとしても、私は、一緒についてきたいなら、ついてきても良いと思ってる」


「私は…… 僕は。」


◆◇◆◇◆◇◆


「それで、なんで、あんたがいるのよ、ナナシ!」


「ついていくよ、仮になにかあったら見捨ててもらって良い」


「だから、邪魔だっていってるでしょ? 馬鹿なの? それとも自殺願望者?」


「二人と一緒にいたい、それじゃ、駄目なのか?」

「君は……」

 ウィンディが顔を赤くしている。

あんた呼びから君呼びになるときは本気で照れてるときだ。


「まあ、良いじゃないか私は心に決めた人がいるから無理だけど、ウィンディはナナシと付き合えば良い」

「何言ってるんだよ! 僕だっているだろ!」


 告白してないのに、なぜかふられた。

と言うか二人とも想い人(おもいびと)いるのか、こんなイケメンで強い男を断る女ってどんな女なんだ。

まあ、ウィンディは顔は可愛いけど狂暴女だし仕方ないね。


「何ニヤニヤしてるのよ!」


 そう言うと蹴りが飛んできた。

だから、その狂暴さが原因なんだと思いますよ、と、地面に崩れ伏しなが

ら、思うのであった。


「君たちとなら、いや、何でもない」


 これは僕の弱さだ、口に出したら壊れてしまうかもしれない友情、出来ればこのままでいたい。

とか思ってたのに、この狂暴女はバックブリーカーをきめて、話しを途中で止めるなって、全部言わされました。


「あんた、馬鹿じゃないの」


そうだよな、俺みたいな弱い奴と友達だなんて。


「友達じゃない奴の心配なんてすると思う?」


 その言葉を聞き、僕は泣いた。

動かない顔で、涙の出ない目で

僕はひたすら泣いた。


「君は、泣き虫さんなんだね……」


その言葉はどこか懐かしく、物悲しかった。


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