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彗星のお仕事  作者: 田舎娘


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8/8

8 火星の嬢ちゃん、居るんだったら返事して~な。

地球はん(姉)と火星の嬢ちゃん(妹)は姉妹関係です。

「火星の嬢ちゃん、居るんだったら返事して~な。」


「ハ…ー……さ…。…てく…て……が…う。」


「ほんまに聞こえまんな。もうちょい近こうよるか。」


     *  *  *  *  *


「ハレー彗星さん。来てくれてありがとう。」

「ほんまに火星の嬢ちゃんや!」

「誰だと思ったの?」

「実はな、嬢ちゃんの幽霊が出よると噂をきいてな。」

「きゃはは、おかしい~。でも、半分合ってるかも。」

「そうやな。一部では火星は死んだ言うよるぞ。

 声も近う寄らんと聞こへんかったで。」

「知ってる~。反論するのも面倒だからほっといてる。声も最低出力だから。

 それより力をたくわえたいからね~。」


「そんな嬢ちゃんが、ワテを呼んだのはどないしてや?」

「あのね。地球のお姉ちゃんに伝えて欲しいの。」

「地球はんにか。」

「うん。私ね、しばらく休眠するの。そしたら、

 ますます『死の惑星』って言われるから、心配しないでね。ってね。」


「今より出力を落とすんかいな。」

「そうで~す。」

「なんでや。そないなこしたらワテらとも話ができんようになるやんか。」

「それは、覚悟してます。」

「理由を聞いても。」


「このままだと、私が行動を起こしても火星は応えてくれないと思うの。

 今の私の力が弱いこともあるけど、火星と一緒に突っ走っちゃったからね。

 互いの信頼関係が無いうちにあれこれいじくりすぎて、このざまよ。」

「火星は、地球ほど大きくないよって簡単やったろな。」

「最初は、『早熟の火星』とか言われて天狗になってたんだけど……。」

「火星の暴走を止められへんかったか。」

「そう。星の思いをうまく調整とか誘導して星を発展させていくことが

 私の役目だったのに。私は。出来ませんでした。」

「そうやな~。」


「じっと、火星が目覚めるのを待つのもありだし、その間、

 私も力を貯めようと思って、最低出力で火星を誘導してたんだけど・・・。

 ハレーさん、ここからがすっごく大事なの。いい。」

「おう、どんとこいやー。」


「ある時、フォボスがね。言うの。」

「待て待て、話ができたんかいな。」

「出来ないわよ。当たり前でしょ。」

「ほな、なんで?」

「う~ん。感じたと言うか、フォボスの思いが伝わってきたの。」

「ほないなことが?」

「とりあえず、続き。いい。」

「ああ。」


「フォボスってこっちに近づいてるでしょ。」

「いずれ衝突しまんな。」

「そうなの。だから、衝突のエネルギーを利用したら・・・。どうなる?」

「なるほど。どうなるかわからんが、結構なエネルギーが発生しますな。」

「そうなの。火星本体や宇宙には大した影響はないけど、

 ぶつかった衝撃は相当でしょ。」

「それを利用しよるのか。」

「うん。どんな変化があるかわかんないけど、

 ただ待つよりその時に備えようと考えたわけよ。フォボスが。」

「フォボスはん、なかなかのもんですな。」

「そうでしょう。すごいわよね。うちの衛星。」


「けんど、ダイモスはんは?」

「ダイモスも、優しいのよ。フォボスが衝突する時に自分が側にいたら、

 どんな影響があるか分からないからって、

 あえて、私から遠ざかってるの。」

「ダイモスもフォボスも、えろう男前でっしゃな。」

「うん。ダイモスとフォボスが居たから、私は今まで頑張れたの。」

「そうみたいやな。」


「だからね。その時に備えて少しでも力を蓄えたいから、休眠するの。」

「なるほど。」


「ダイモスとフォボスの為にも、衝突のエネルギーを上手く利用します。

 フォボスは衝突で消滅しますが、火星の一部ではなく、

 火星のエネルギーになって復活するんです。」 

「復活宣言やな。」

「そうです。私や火星の復活だけでなく、フォボスの復活です。」

「楽しみやな。」


「それでですね。」

「地球はんに伝言か」

「はい。『お姉ちゃん。火星の復活をちゃんと見ててね。私、頑張るよ。

     だから、お姉ちゃんも、頑張ってね。』

 ハレーさん、よろしくお願いします。」

「まかせろ。一語一句、間違いなく伝えてやるわ。」

「来てくれたのが、ハレーさんでよかったわー。」

「しっかり休めや。」

「うん。おやすみなさい。」



読んで頂いてありがとうございます。

ダイモスとフォボスは火星の衛星です。

ダイモスは火星から遠ざかり、フォボスは近づき、いずれ衝突するそうです。

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