第20話 迫りくる魔の手
カイル、ユーリ、アイリをアンダンテに加えてから数ヶ月がたった。
はじめこそ加入を渋ったリュカだったが今では三人をすっかり頼りにしていた。
三人を加入してからリュカの仕事は確実に楽になったのである。
カイルが参加したことによって帳簿などの経理の部分を担当してチェックだけになった。
ユーリはどこで仕入れてくるのか分からないが魔物の出現情報やその魔物の特徴、武器の安売り、果ては食材の特売まで情報を集めてくるので必要な経費を抑えることもできた。
なにより一番リュカの負担がなくなったのはアイリとユーリが家事をしてくれるようになったことだった。
今までは誰も家事が出来なかったためリュカが一人で家事をしていたのである。
「他のメンバーの誰よりも三人が使える。」
リュカはしみじみ呟いた。
「そんなことないですよ。リュカさん。」
「いやカイルよ。君たちが入るまでは事務から家事まで全部僕が一人でやってきたんだよ。随分楽をさせてもらってるよ。ありがとう。」
「いえ。そんな。」
カイルは頬を赤らめて照れていた。
「最近うち指定の依頼がだんだんと増えてきたね。」
「そうですね。魔王軍がまた討伐軍を撃ち破ったそうですからその余波でしょうか。魔物の数が増えてきている気がしますね。」
「うーん。さすがにこっちを攻めてはこないだろうけどね。」
「おーい!リュカー!」
「ごめんね。フランツが呼んでいるようだからちょっと行ってくるよ。」
「はい。」
リュカはカイルと別れてフランツの元に向かった。
「森にコボルトの集団が湧いたらしい。」
「コボルトが?」
「ソウケンさん率いる騎士団がコボルト討伐に向かったらいしいんだがもう三日間行方が知れないらしい。そこで兄貴と俺で様子を見に行こうと思う。」
「危険じゃないのか?」
「危なかったらすぐに引き返してくる。心配するな。それに兄貴も仮にもSランクだ。」
ここ数ヶ月の間にアースは今までの功績が認められSランクに昇格していた。
「二人で大丈夫か?エミリアは連れて行かないのか?」
「エミリアは新人教育の依頼を受けていて無理だ。」
「分かった。気をつけろよ。」
「あぁ。じゃあ行ってくる。」
その言葉を最後にフランツとアースはこの日戻ってこなかった。
フランツとアースが消息を絶ってから三日が過ぎた。
「お師匠さま!もう待てません。こちらから様子を見に行きましょう!」
「落ち着きたまえリュカくん。私たちが行くとこの町の防衛が手薄になるんだ。いつ強力な魔物が接近してくるか分からないのだよ?」
「しかし!」
現在多くの冒険者がタイレンの町を離れている。
さらに悪いことに高ランク冒険者が土龍により死んでいた。
そのため現在高ランク冒険者はルーネとリュカ、エマと後は十名程度しか町に居なかった。
リュカはいてもたってもいられなかった。
長年を共にしてきた友の消息が分からないとなって冷静さを欠いているのである。
その時エミリアが飛び込んできた。
「フランツ様と師匠が戻ってきました!今はギルドに報告をしています。」
「本当か!?良かった。心配したよ。ソウケンさんは?」
「ソウケンさんも騎士団の皆さんも無事です。」
「よかった。でも一体何があったんだい?」
ルーネがエミリアに尋ねた。
「それが・・・恐ろしい情報を持って帰って来たんです!」
「恐ろしい情報?」
「魔王軍の一部隊がここを攻めてくるらしいです!三百匹ほどの魔物を引き連れて!」
「え・・・?」
「三百だと!?」
リュカとルーネはあまりの事態に呆然とした。
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