第2話 冒険者ギルド
道中これといって何事もなく無事港町タイレンに到着した。
一緒に乗せてきてもらった行商人に礼を言ってリュカとフランツは行商人と別れた。
「着いたぞリュカ」
「ああ」
ふてくされながらもリュカはうなづいた。
「さてまずどうすればいいのかね?」
「まさかお前なにも考えてなかったのか?」
リュカはフランツの計画性の無さに驚いたかよくよく考えればフランツの性格上いつものことだと納得した。
「まぁなんとかなるかと思ってな。ハハハ」
「ならないよ!何を考えてるんだよ!というか僕は無一文なんだが」
「親父から金は預かっているぜ」
「よかった。それは僕が預かるよ。君がお金を持っているとろくなことにならなさそうだし。とりあえずこれからについては一旦冒険者ギルドで登録してから決めよう」
「おお、そうだな。ん?なんかひっかかる言い方だな。まあいいか。そんなことよりいよいよ冒険者になれるのか!楽しみだぜ!」
「そんな単純なものじゃないのだと思うんだけどなあ」
冒険者ギルドにたどり着き中に入った。
「 冒険者ギルドにようこそ!私はエマと申します。本日のご用件は何でしょうか?」
「ああ、二人分の登録をしたいのですが」
「かしこまりました。少々お待ちください」
「しかしあれだなリュカ」
フランツは不思議な顔をしてギルド内を見渡していた。
「あれってなんだよ?」
「思ったより人が少ないんだが」
「そりゃあ時間的に依頼を受けてるんじゃないかい?」
現在の時間は昼前であり冒険者達は依頼を受けて町の内外を活動しているのだろうとリュカは考えた。
「なるほどな」
フランツはそれを聞いて特に考えるそぶりを見せずに納得した。
「おまたせしました。こちらの用紙にお名前の記入と能力を測りますのでこちらの水晶に手を当ててください」
名前を書き終えてリュカは水晶に手をかざすと空中に能力が浮かび上がった。
「すごいなこれ……」
リュカは空中に文字が浮かびあがっているのを見て思わず感嘆の声をあげた。
名前 リュカ
性別 男
種族 ハーフエルフ
職業 魔法使い
加護 なし
身体能力 F
魔力ランク E
使用可能魔法 バインド、ファイア、サンダー
「え?男!?あ、申し訳ございません。」
受付嬢は驚きの声をあげた。
「男だよ!なんでみんな女と間違えるんだよ!」
リュカは自分がいちいち女扱いされるのに苛立ちを覚えた。
「そりゃあお前その見た目だからな。間違えるのも無理はないだろう」
「チッ!良いからお前も早く能力を測れ!」
リュカに急かされえてフランツも水晶に手をかざした。
名前 フランツ
性別 男
種族 人間
職業 剣士
加護 剣神の加護
身体能力 D
魔力 F
「へえ。加護を持ってるんですか、将来有望ですね。」
加護とは文字通りこの世界に存在する神による加護であり、加護を受けるとその神の得意とする能力の補正を受けることが出来る。
世界全体を見回しても加護を持つ人は稀でその多くがその国において何らかの地位を得ている。
「ありがとう。なんせSランク目指してるからね。ハハハ。」
「なれるわけないだろ。はあ。それにしても加護かどおりで昔から剣を持たせたら大人顔負けの戦いをするわけだ。単に才能があるだけではなかったんだな」
リュカは長年疑問思っていたことが分かって少しすっきりした。
「以上で登録を終わりとしますが、明日にギルドカードが出来上がりますのでご依頼の受注については明日からとなっております。ギルドの使用についての説明が必要でしょうか?」
「そうですね一応お願いします」
「では簡単にご説明させていただきます。ギルドにはギルドランクというのがありましてギルドランクはFからSSSランクとなっています。Bランクまではご依頼の達成数または魔物討伐の数によってランクを上げさせていただきます。Aランクからはそれに加え昇格試験がございます。大抵は討伐ですね。依頼については依頼者から頂いた依頼をあちらの板にランクごとに貼り付けておりますので受ける依頼書をはがしてこちらの受付で受注してください。モンスターの素材などは依頼板の横にあるカウンターで買い取りを行なっております。また、犯罪を犯した場合ギルドカードの使用を停止する場合がございますのでご了承ください。犯罪をされたという判断はギルドカードが赤く輝きますので分かると思います。それでは以上で必要最低限の説明は終わります。なにか質問はございますか?」
ギルドカードは初代ギルドマスターが審判の神と契約した時にもたらされたとされており犯罪をおかした場合カードの色が何もしなくても変わるといったものであった。
「冒険者の質問に関しては大丈夫です。というか分からないことがあればまた聞きに来ます。一つ聞きたいことがあるのですが僕たちはこの町に来たばかりでして安くてそこそこ信頼できる宿を紹介してもらえませんか?」
「でしたらこのギルドの向かいにあるゆりかご亭がオススメです」
「そうですか。ありがとうございます」
「いえいえ、またのお越しを」
「グエッ!」
リュカはいつの間にかギルドのソファで横になって寝ていたフランツをぶん殴って起こしリュカはギルドを後にした。