第10話 異変
五日後フランツ達討伐隊は帰ってきた。
幸い死者は出なかったが重軽傷者が多数出たらしい。
「森の奥が魔物で溢れていただって?」
リュカは驚きおもわず声をあげた。
「ああ、しかもオーガなどの平時におけるボスクラスが沢山いた」
「統制も取れていてあれはまるで軍のようでしたね」
フランツとエミリアは真剣な面持ちでそう答えた。
「お師匠様。どう思いますか?」
「そうだね。実はここに来るまで結構な数の魔物と遭遇したんだ。だから魔物が活発化してるのは分かっていたんだけど想像以上だね。それに噂によると世界各地でこういう事が起こっているからしい」
「世界各地でですか……一体何が起こっているんでしょうね」
リュカとルーネはあれこれ考えてみたが推測する出なかった。
ここ何百年を遡ってもこのような事態は起こっていなかったはずであると二入は考えていた。
「あのう、あれこれ考えても仕方ないので私たちに出来ることを・・・依頼や修行などをしませんか?」
「そうだな!答えが出ない事を考えても仕方ないぞ」
頭を使うのがあまり得意でない二人は異変について悩むよりは今出来る精一杯のことをしておこうと考えた。
「まぁ……そうだね。僕はしばらく修行させてもらいたんけど。宿代とか生活費がちょっと怪しいから全く依頼を受けないわけにもいかないけど」
リュカはこの間から貯蓄の減りが気になって仕方がなかった。
「そのことなら大丈夫ですよリュカさん。リュカさんがオーガの進行を遅らせたことによって町の危機を防げたことによる報酬と、私たちが討伐隊に参加したことにより銀貨10枚分の報酬をいただいています」
「オーガの進行?」
「リュカ君が戦っていた位置はもうほぼ町の近くだったんだよ。あのまま行けば町の方向に進行していてもおかしくなかった。まぁ、ギルドによる先行投資の部分もあるだろうね」
「まあくれるって言うんだから貰っときゃいいんだよ」
「あまり腑に落ちないんだがそういうことにしておくよ」
まじめなリュカはルーネの功績を掠め取ったようで気に入らなかった。
「俺とエミリアは討伐隊でお世話になったAランクの冒険者に戦い方を教えてもらってくるよ。そのついでにクエストもいくつか教えてもらってくる」
「そうか。だったら大体1ヶ月くらいにパーティの活動を再開しよう」
リュカは自分の実力についても不安に思っていたのでフランツ達と別れしばらくルーネの元で修行することになった。
「さてリュカくんと二人きりになった所で例の魔法の続きとしよう。今回は実践だ。一応私が着いているとは言え基本的に私は何もしない。いいね?」
「分かりました」
「じゃあ行こうかタイレンの森に。ついでにギルドで依頼も受けて行こうか」
前回の討伐によりギルドでは常時魔物の討伐依頼が掲載されていた。
どうやら国から補助金も出されているらしい。
タイレンの森に着くと前回来た時より濃密な魔力が発生していた。
「さて入って早々だが、ゴブリンに囲まれているね。後は任せたよ」
ゴブリン十匹が森に入ってすぐリュカたちを取り囲んだ。
手際の良さからどうやら森に入ってくる冒険者達を狩るために待ち伏せしていたようだった。
「ファイア!ウインド!」
リュカは二つの魔法を混ぜ合わせて、それをゴブリン達に向けて放った。
ゴブリン5匹が魔法に当たった瞬間、風と炎によって燃えながら切り刻まれて絶命した。
ゴブリン五匹は二匹がリュカに斬りかかり二匹が弓を放ち、さらに一匹が棍棒で殴りかかるというゴブリンらしからぬ知的な波状攻撃を仕掛けてきた。
リュカは二匹にそれぞれファイアとウインドを放ち殺したが、二匹に弓を射られた。
その内の一つが肩に刺さりながらも前の棍棒を持ったゴブリンを杖で殴り殺した。
流石にルーネもやばいと思ったのか弓を持った2匹をファイアで焼き殺した。
「大丈夫かいリュカくん?あぁ!?嫁入り前のリュカくんの柔肌に傷が……しかし大丈夫だよ!私が傷など消し去ってあげるよ!ヒール!」
ルーネはリュカの肩に刺さった矢を抜きヒールをかけた。
「ありがとうございます。後、僕は嫁になんて行きません。それとお師匠さま。今のゴブリン達は統制が取れすぎていません?ゴブリンが波状攻撃をするなんて始めて聞いたんですが……そういえばフランツ達が統制が取れた魔物がいたと言っていましたが」
「そうだね。これはちょっと厄介な事になっているのかもしれない」
ルーネはめんどくさそうな顔をして答えた。
「厄介な事とは?」
「ハイゴブリンが生まれたのかもしれない。ハイゴブリン自体はCランクでそれほど危険度が高い訳じゃなくて普段なら群れても五、六匹のゴブリン達がハイゴブリンが生まれることによって集落を作り、ゴブリン達が軍隊のように行動するようになる。だからゴブリン達の危険度が一気に上がるんだ」
「そんなことが……だったら危険度の低そうな内に集落の場所を調査して場合によっては壊滅させますか?」
「そうだね。申し訳ないけど一旦修行を中止して討伐しよう」
「分かりました」
こうしてリュカとルーネはゴブリンの集落を探るため森の奥へと入っていった。
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