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役立たずの【翻訳】スキルと追放された俺、実は世界の理を書き換える最強の【賢者】だった~聖女様と悠々自適の建国ライフ~  作者: 早坂 拓也


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第15話:世界の理の再定義(デプロイ)と、聖女との誓い

第15話:世界の理の再定義デプロイと、聖女との誓い


「……来。賢者アレンよ。いや、この『壊れかけた世界』における、唯一の正規デバッガーと言うべきか」


 魔王領の最奥、天を突く漆黒の玉座。


 三そこには、恐ろしい魔物の王ではなく。

 どこか気品を漂わせた、無限の絶望を孕んだ瞳を持つ男――魔王が座していた。


 彼は、黄金の光をまとい、セシリアを伴って舞い降りた俺を前に。

 重みのある溜息をついた。


「貴様の都市が我が城の真上に現れた時、確信したよ。……もはや、この盤面で小細工を弄する理由などないことをな」


「アレン、貴様は一体、どこまで『見えて』いる?」


「すべてだよ、魔王。……君の抱えているその強大な『滅びの魔力』。それは君の意思じゃない」


「世界のシステム維持(均衡)のために、不具合を押し付けられた『負の属性エラー・ログ』の掃き溜めにすぎないんだ」


 俺は一歩、また一歩と、魔王が持つ漆黒の『滅びの魔剣』へと歩み寄る。


 周辺の魔族たちが殺気を放つが、俺の周囲に展開された絶対防御障壁プロテクションの前では無力だ。

 その殺気すらも無害なデータへと変換され、霧散していく。


「君という存在は、勇者という『正のプログラム』を輝かせるためだけに用意された、使い捨てのオブジェクトだ」


「だが、そんな不自由なジョブは、俺が今ここで、世界のソースコードごと書き換えて終了させてやる」


 俺は魔王の剣に、そっと指先を触れた。


 その瞬間、数千年の間、世界全土に鳴り響いていた不協和音が。

 心地よく透き通った旋律メロディへと上書きされていく。


 視界を埋め尽くす、圧倒的なまでのソースコードの奔流。


――[全世界環境設定:平和(PEACE) = 有効(ENABLE)]

――[対立・抗争ロジック:永久削除(DELETE)]

――[全権管理者権限:最終統合(FINAL_MERGE)実行(RUN)!]


「……さらばだ、不条理が支配した旧世界」


「これからは、俺がもっと自由で快適な新しい世界のルールを記述デプロイする」


 眩いばかりの純白の光が、魔王城から爆発的に広がった。

 大陸の隅々までを一瞬で包み込んでいく。


 歪んでいた地脈は正常化され。

 凶暴だった魔物たちは、人々と共生できる『知的データ』へと書き換えられた。


 死んでいた土地は呼吸を始めるように、鮮やかな緑へと変貌を遂げる。


 そして。

 王都の地下牢。


 絶望の中で己の死を待っていた元勇者レオンの前に。

 空から一枚の、冷徹な『エラー通知』が舞い降りた。


【警告:貴方の存在データは、新世界(Version 2.0)において『不要なノイズ』と判断されました。

 ――ただし、最高管理者アレンの温情により、存在の全消去は免除します。

 ――代替案:辺境の初期村における『村人A』として再構成(初期化)。二度と勇者を自称せぬよう】


「……あ……あ、ああああああ……っ!?」


 レオンの記憶が、奪い取ってきた力が。

 そして肥大化した醜い矜持が、すべて音を立てて『初期化フォーマット』された。


 かつて「役立たず」と切り捨てた男の手によって、文字通り役立たずな一般人へと書き換えられる。


 それが、俺から彼への、最大のデバッグであり……皮肉なまでの慈悲だった。


     *


 光が収まった後の、新生した世界。


 俺は、深緑に包まれた天空都市のテラスで。

 セシリアと二人、どこまでも続く黄金色の夕陽を眺めていた。


「 Allen様……。世界が、本当に……本当に優しくなりましたね。空気が、とても美味しいです」


「ああ。……無駄な争い(バグ)や、不条理な差別エラーはすべて取り除いた」


「これからは、誰もが自分の好きな未来をプログラミングできる時代だ」


 セシリアが、俺の肩にそっとその温かい頭を預ける。


「……私も…… Allen様の隣で、新しく生まれ変わったこの世界を、ずっと見守っていきたいです」


「ああ。……付き合ってくれ、セシリア。君は今や、俺の人生というシステムの、最優先権限保持者パートナーなんだからな」


 俺たちは、どちらからともなく手を握りしめた。


 一人の翻訳家アナリストから始まり、都市を築き、神をも管理下に置き。

 ついには世界そのものを再定義アップデートした。


 俺の『建国戦記・第1章』は。

 今ここに、最高の結果を持って完了コミットされた。


 だが。……俺の物語は、まだ終わらない。


 不完全な神を退けた今、世界の全ソースコードは俺の手元にある。

 この広大な砂箱サンドボックスを、次はどのように改善していくか。


「……さて。セシリア。……これから、さらに『快適な世界』へ向けた、システムの定期メンテナンスを始めようか」


「ふふ、はい! どこまでも、地の果て……いえ、空の果てまでついていきます、 Allen様!」


 二人の幸福な笑い声が、平和を取り戻した果てしない青空に、静かに溶けていった。


最後までお読みいただきありがとうございます。

これにて「第一章:バニシュメント・デバッグ編」完結です!


次回の第16話からは「第二章:ワールド・リファクタリング編」がスタートします。

舞台はいよいよ世界規模、そして「神」との直接対決へ……!


「続きが気になる!」「第二章も楽しみ!」という方は、

ぜひブックマーク、評価(☆☆☆☆☆)でアレンを応援してください!

明日19:00、第二章開幕です! お楽しみに!

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