ダンジョン エピローグ
エニの考えから一週間ほど経ったロスパーの施設。
そこには種族問わず、老若男女の人たちで賑わっていた。
『ようこそ、変幻自在のアトラクション』
『プロスジール・ダンジョンホテルへ』
山にある、大きな門の看板にはそう書かれてある。
入り口前にはベンチやテーブル、露店が設置され、食べ物やアクセサリー、そして媚薬成分を除いた色とりどりの花と花の種が売られていた。
入り口の中のロビーでは、多くの人がスタッフの案内の元、ダンジョンの中へと入って行く。
スタンダードコースから、自身が体験したい要素を加えた、オリジナルダンジョン探検ができるアトラクションとなっていた。
『ようこそいらっしゃいました。皆さまのご希望の仕掛けをお選び下さい。そして今日という日を心よりお楽しみください』
機械音声ではなく、感情が込められたロスパー自身の声でアナウンスが流れる。
そしてスタッフルームでは、レウル、ケイ、エニがモニターを眺めていた。
「大繁盛じゃねぇか」
モニターに映る大勢の客を見て、レウルが嬉しそうに頷く。
エニ紹介でロスパーの能力に目を付けた大手テーマパークの社長が身元引受人となり、新たにアトラクションホテルとして開業していた。
「リトさんのヒントのお陰ですわ。そもそもこの世界に強制的な子作りは必要ありませんし、媚薬成分さえな無ければ、何の問題もなかった」
「残るは一定範囲を自由自在に変化できる空間。アトラクションにはうってつけですね」
エニとケイもモニターを嬉しそうに見つめる。
問題はロスパーが稼働するエネルギーだったが、元から花から抽出する液体が燃料であり、自給自足で活動が可能だった。
媚薬成分も排除可能で、今も触手やスライム、ガスなどもあるが完全に無害となっている。
「皆様のお陰です。まさか私が……本当に誰かを喜ばせる日が来るなんて。それに、大人バージョンもありますしね」
「ええ、折角の媚薬も活用しませんとね」
エニが妖しい笑みを浮かべた。
ロスパーのアトラクションには二つの顔がある。
一つは全年齢バージョン。
もう一つは、大人限定のレウルたちが味わったモノ。
マンネリ化した恋人や夫婦に仕掛けと媚薬、雰囲気などで気分を高揚させる。
媚薬の成分も強い物ではなく、軽い興奮状態になる弱い物だった。
それ以外にも、単純に普段と違う雰囲気を味わいたいという人たちにも好評。
入り口は完全に別して運営をしていた。
「それに、製薬会社や花屋とも契約を結んだんですよね?」
ケイが部屋にある花を見ながら言う。
「はい。私が作る媚薬は調整すれば良い精力剤になるそうです。花はこちらの世界には無いようで、そちらからも注文の依頼が来ています」
話を聞きながらレウルが何度も頷く。
「ホント、丸く収まって良かったぜ。それでロスパー。俺にちょっと媚薬くんない? こう、かわい子ちゃんにちょちょっと使ってみたくて」
「それは犯罪ではないのですか?」
「バカ野郎! 俺は女性の乱れた普段見せない姿や、ラッキースケベが見たいんだ! 決して最後まで手を出したい訳じゃない!」
「……それはそれで問題かと。そもそもそんな事しなくて、貴方の周りには素敵な女性が居るではありませんか」
ロスパーの言葉に、エニと女性になったケイがレウルに近寄る。
「あー……それはそれ、これはこれ。という事じゃダメか?」
「最低ですね」
「そんな事を言う人には、お仕置きが必要ですわね」
「はい。レウル様には多少強引でないと」
エニとケイがレウルを両脇からガッシリと掴む。
するとロスパーが壁に一つの扉を作った。
「お楽しみは、どうぞあちらで」
ケイとエニに問答無用でレウルは引きずられ、
「あ、そうだロスパー! 例の件の目途が立ったから、また連絡する」
「本当ですか? ありがとうございます」
「まぁ……どうするか最後は、自分で決めてくれればいい」
最後はどこか真面目な口調で言うと、扉の中へ姿を消して行った。
「……もし叶うなら、これほど嬉しい事はありませんね」
「ロスパーは多くの人を喜ばせているから、きっと大丈夫だよ」
いつの間にかロスパーの前にはリトの姿がった。
「これはリトさん。お気遣いありがとうございます」
「ねぇ、ロスパー。新しい仕掛けに関して話があるんだけど良いかな?」
「いつも、アイデアをありがとうございます」
客が増えるにつれて、新しい仕掛けを考えるのはロスパーだけでは大変で、多くの人から面白いアイデアを常に募っていた。
特にリトは何かを思いついては、ロスパーと話し合っている。
「良いんだよ。楽しい事は、みんなで分け合わないとね」
リトはそう言うと、レウルたちが消えた扉を見て微笑んだ。
~ 第2話 エロトラップダンジョンの意義 完 ~
※『後日談・ロスパー』に続きます※




