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割肘

 月曜日の朝は憂鬱だ。

世間は正月気分も抜け、会社的にはすっかり通常営業に戻っている。

だが俺の部署は相変わらずバタバタと忙しい。

つい今しがた判明した事だが年末に確認ミスがあり出来ている筈のデータがまるで足りないのだ。

それを本日の仕事と並行して行わなくてはならない。正直逃げ出したい。



 早くAI技術が発展してこんな業務もやってくれれば良いのにな…。

ぼんやり夢想している俺の肩に軽く衝撃が走った。


「おい元気出せ、何とかなるよ」


とんとんと俺の肩を叩きながら励ましてくれたのは同期入社の関だった。

今日は半休でもうすぐ帰宅する予定なのにデータ製作も助けてくれている。


「ありがとう…ごめんな手伝って貰って」


大丈夫と手を振りながらデスクに戻っていく関。今時珍しい黒縁メガネの奥から優しげな瞳が覗いていた。

…俺も頑張ろう。


 気が付けばもう昼過ぎ。関も退勤し俺は昼飯も取れずにデータ製作に追われていた。

俯きーーため息が漏れーーそして天井を見上げるとそこに顔があった。

チームリーダーの谷口だ。茶髪をぼりぼり掻きながらジトッとした眼差しでこちらを見ている。


「なにため息なんかついてるんですか?ちゃんと仕事してください」


多忙での苛立ちを抑えきれず八つ当たり同然に話しかけてきたらしい。

だがこいつが確認を怠ったせいで今の状況があるのだ。

ふざけんな!という感情が顔に出そうになるのを抑えるが頭の血管がピクピクしている感じが止まらない。


ダンッ!!


視線の先で谷口の手がデスクを強く叩くのが見えた。

知らず知らずまた俯いていたらしい。一瞬ビクッとして俺の視線は強制的に谷口へ向けさせられた。


「話聴く時は人の顔見なさい!」


 俺の心の中に何かのイメージが現れると、みるみる内に形作られていく。

それは筋骨隆々とした男性キャラクターの光るシルエットだった。


その男性キャラがガードの姿勢を取ると両腕に衝撃波が走る。

ー俺を守ってくれているのか!?


谷口から有ること無いことの罵声が飛ぶ度にガードをしているのだ。

だがそれも限界があるらしく、次第に腕の守りが甘くなっていく。

このままではいけない。

罵声に合わせて割り込む様に口を開いた。


「頑張ってやりますからさっさと終わらせましょう」

俺の言葉と同時にあのキャラが谷口へ肘打ちを繰り出すイメージ。割り込み攻撃だ!(注:相手の連撃等の合間に無理矢理割り込んで行動を潰す技のことで、一方的に押されている状況を改善するためにやる)


きょとんとした顔の谷口。実際に肘打ちをしている訳では無いのだが、何故か効いている様に見える。

いやそんな馬鹿な。きっといつも言われ放題だった俺から言葉が出たのが意外だったのだろう。


「このままでは先方にご迷惑をかけますし、普段の仕事もあります。」

俺の言葉と共にイメージ中で連撃が畳み掛ける。


「俺も残業はしたく無いので。」


最後に強烈な足払いのイメージに合わせてぐらついた谷口は、ふらふらと自分のデスクに戻って行った。


 どうやら勝利したらしい?

頭の中に“YOU WIN”の文字が輝くとあのキャラも合掌して唱えた。

「南無ぅ〜」


気持ちが楽になった俺は何とか定時までに全ての業務を終わらせて帰宅出来た。

これも手伝ってくれた関とあのキャラのお陰だろう。


ただこの後色々と思い知る事になるのだが…。

面白いものを描きたいのになかなか難しいですね。

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