帰省
1月の半ば、連休を利用して実家へ帰省した。
正月に休みが取れなかったのでせめて両親に顔を見せておきたかったのだ。
距離としてはそう離れて居ないのでいつでも帰省出来るのだが、そういうイベントでも無ければ億劫になるのは世の常。
ーーというか今回は俺としても久し振りに会いたくなったのだけれど。
実家では満面の笑みで母があれを食べろこれも食べろ他に食べたい物は無いかと聞いてくる。
しかし残念ながらここまでの道中で昼飯は済ませてしまっていた。
折角なのでお菓子を食べていると母がお雑煮を作ろうとしたのでそれは断っておいた。
一方の父はというと寝転がり黙ってTVのお守り。
昔やった怪我のせいで歳を取るにつれ腰の具合が悪くなり最近はなるべく動きたく無いのだそうだ。
家の中をぐるりと見回すと、あちこち古く汚れている気がする。
ここで暮らしていた時にはそんな事まるで感じなかったのに…。
少し寂しくなったので俺は逃げる様に自分の部屋に入った。
窓からの日差しが暖かくて気持ち良い。
今暮らしているマンションもそれなりに快適だが、やはりここは落ち着くな。
俺は外着のままベッドに倒れ込んだ。
ふうっと大きく息を吐いて天井を眺める。
このところ色々あって心身とも疲れてしまった。
…ここで一旦頭を整理してみよう。
仕事のトラブルについては俺にも責任が無い訳じゃない。
みんなが困るのだから俺にも出来る事をしよう。
そしてあの青年について。
不思議と見覚えがある様な…そんな気がするのだ。
せめて名前だけでも聞いておけば良かったのだが、この前会った時は俺の方から逃げてしまい…。
それにしてもあの格闘ゲームの真似だ。
どれも俺が昔やっていたゲームの技に間違い無い。
しかも何故か色々なキャラクターがごちゃ混ぜになっている。
そうだ、俺は以前よく連れ立ってゲームセンターで遊んでいたのだ。
連れ立って?ドクン…誰と?ドクンドクン…兄だ!ズキッ…。
不意な頭痛に襲われ目を閉じ、気が付いた時にはもう日が落ちかけている。
俺はよろよろと立ち上がると部屋を出て、目の前の別の部屋のドアを開け中に入った。
薄暗い部屋の床一面に本の山…大昔の週刊少年マンガが積み重ねられ、机の上には作りかけのモデルガンが無造作に置かれていた。
「…思い出したぞ」
俺は机の引き出しから一冊のノートを取り出した。
バサバサとページをめくる。
「あった!」
そこにはあの青年の姿の絵が描かれていた。




