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悪の組織はままならない!【第三部開始】  作者: 白洲晶
フリーヶ丘はままならない編
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7.超悪い子軍団と年末

丁京都フリーヶ丘。

住みたい街ランキング常連・スイーツの聖地として知られるこの街には──

今日も恐ろしい(?)悪の組織が存在していた。

しかしそんな悪の組織にも年末という概念は存在し……。

年末のドタバタをご体験ください。

年末。誰も彼もが忙しなく過ごすこの季節。

超悪い子軍団も例外ではなく、アジトは一層騒がしくなっていた。

リビングを掃除するアレプト、掃除道具を片付けているブエル。キッチンではオティスがおせちを作っている。グシオンの部屋からは何をしているのか爆発音が定期的に鳴り響く。

「はー、やっぱりこういうのって一気にやるもんじゃないね」

自室の掃除を終えたブエルが掃除道具を片付けながら言う。

「そもそも年末に一気に片さないといけないくらい部屋を汚しているのが問題なのよ。日頃から整理整頓を心がけるべきだわ」

窓を拭きながらアレプトは答える。時刻は午後四時。もうすぐ日が暮れる。

「それはそうなんだけどさー、実際できるかって言われるとできない人の方が多いよ」

「まあグシオンとかがいい例ね。あいつ発明品を部屋に溜め込んでるから……」

そう言いながらグシオンの部屋へと視線を移す。中からは「おかしい!僕の計算ではちゃんと終わるはずなのに!」と悲鳴が漏れ出ている。

「……まあオティスみたいな殺風景な部屋よりはマシだけど」

「煩悩は刃を鈍らす。故に不要」

「え?そんなにシンプルなの?見てもいい?」

「いいぞ」

許可を得たブエルはオティスの部屋を開ける。そこには綺麗に畳まれた布団と、教材が入った本棚、その上に飾られた刀とクリスマスブーツと机の上に手入れ道具が置いてあるだけのシンプルな部屋があった。

「なんでこれだけで暮らしていけるの?」

「この世界は欲に溢れすぎている。雑念を捨てるためだ」

ブエルはそれ以上突っ込まず、静かに部屋のドアを閉じる。内心、エロ本があったら面白かったのに、と思っていたのは内緒だ。

「それでアレプト様、俺は何を手伝えばいい?」

「そうね……リビングも水回りも掃除は大体終わっちゃったからゴミまとめておいてくれない?」

「わかった」

そう言い各部屋にまとめて置かれているゴミをまとめていく。

「グシオン、ゴミまとめているんだけど今出てるだけでもいいから渡してくれない?」

ドア越しにグシオンに声をかける。すると中からボロボロになったグシオンが出てくる。背中越しに見える部屋は何をどうしたらそこまで汚くなるのか突っ込みたくなるほど汚かった。

「はい、こっちが燃えるゴミ、これが燃えないゴミです」

そう言いながら袋と巨大な機械を差し出してくる。

「……いやこれ粗大ゴミだよ⁉︎燃えないゴミじゃ手に負えないって!」

「おかしい、僕の計算では燃えないゴミで回収されるはず……!」

「とにかく、そっちは粗大ゴミで出せるようアレプト様に言っておくから。こっちのゴミだけ受け取っておくね」

そう言い燃えるゴミを受け取る。グシオンの生活力の無さは普段から実感していたが、正直ここまでとは思っておらず、内心ブエルはドン引きしている。

まとめたゴミを一箇所にまとめ、最後にキッチンへと入る。

「オティス、なんかゴミある?」

「あることにはあるが……どうせ夜中に年越しそばを茹でる。その時にゴミが出るからそこでまとめた方が早い」

そう言いながら蒲鉾を飾り切りしていくオティス。その見事な包丁さばきに思わず感嘆の声がでる。

「やっぱ刃物使うのはオティスが一番うまいね、俺にはこんなの無理だわ」

「刀に比べれば容易いものだ。お前も小刀を使うだろう。精進するといい」

「まだ加入して一年もたってないからね、がんばるよ。……それでさ、ちょっと味見してもいい?」

「ダメだ」

「ケチ!」

キッチンを出る。すると窓を拭き終えたアレプトがブエルに言う。

「とりあえずリビングも掃除終わったからあとは夜まで自由に過ごしていいわよ」

「夜からはなにかあるの?」

「ええ、超悪い子軍団の年末は藍白歌合戦を見ながら団欒、23時くらいに年越しそばを食べて除夜の鐘を聞いたら熊手神社に初詣、って感じかしら」

本当に自分は悪の組織にいるのだろうか。時折ブエルは不安になる。まあ超悪い子軍団に入ったのも昼間は学生、夜は悪の組織、という厨二心をくすぐる生活に憧れたからではあるが。

「まだスーパーも開いてるでしょうし、私たちは年越しそばにつける天ぷらの具材でも追加で買ってきましょうか。オティスが揚げてくれるわよ」

「オッケー、荷物持ちは任せて!」


深夜。除夜の鐘を流すテレビを見ながら四人はくつろぐ。

「結局片付きませんでした!来年の僕に任せます!」

「あんたそれ去年も言ってたわよ」

「神社に持っていく破魔矢と御守りは持ったぞ」

各々くつろぎながら好き勝手言う。

(こんな賑やかな年末は初めてかもしれないな)

内心、ブエルは思う。このように楽しく年末を過ごしたのは初めてかもしれない。

(……最初会った時ははちゃめちゃな人たちだと思ったけど、なんだかんだで一緒にいて楽しいな)

ふ、と自然に笑みが出る。

「ほら、年が明けるわよ!」

アレプトが言う。

3、2、1。

「「「あけましておめでとう!」」」

「あけましておめでとう」

アレプト、グシオン、ブエルはテンションを高めながら、オティスはいつも通り静かに言う。

「さ、初詣行くわよ!準備しなさい!」

「僕の計算ではまだ空いているはずですね」

「去年も同じこと言ってとても混んでいたぞ」

「コート取ってくるね!」

今年もままならない理不尽に襲われるんだろうな。でもなんとかなる気がする。

心の中で思いながら準備をする。

今年もいい年でありますように。


そんなこんなで平和な年末でした。約一名平和じゃないけど……。

アレプトの「そもそも年末に一気に片さないといけないくらい部屋を汚しているのが問題なのよ」という発言は部屋を片付けられない身としては書いてて刺さりました(笑)

みなさま、良いお年をお過ごしください。

来年も「悪の組織はままならない!」をよろしくお願いします。

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