40.アレプトとあの世
丁京都フリーヶ丘。
住みたい街ランキング常連・スイーツの聖地として知られるこの街には──
今日も恐ろしい(?)悪の組織が存在していた。
そして、アレプトはあの世にいた。
出オチです。
アレプトが目を覚ますと、大きな川の前にいた。
「ここは一体……?私は確か……」
記憶を巡らせる。
『宇宙旅行ができるロケットを開発しました!さ、アレプト様、ぜひどうぞ』
『ねえ耐久性は大丈夫なの?』
『当たり前じゃないですか!僕の計算では九十九パーセントの確率で無事に帰って来れます!』
……そんな話だった、気がする。
あの一%を引く男を殴らなければ気が済まない。そんな思いがアレプトを支配する。
そう、ここは三途の川だ。
辺りには石を積んでは鬼に崩される子供たちがいる。
「ねえあんた」
子供の石を崩した鬼に話しかける。
「現世に戻りたいんだけど、入り口はどっち?」
「ああ?入り口なんて一方通行だよ、お前は死んだんだ、諦めて石を積め」
「……私は親は死んだものとして扱ってるの。一方通行でいいから案内しなさい、私は悪の組織のリーダーよ。逆走なんてモリオカートで死ぬほどやったわ」
「いやお前死んでるけど」
「死人ジョークよ、ほら案内なさい」
「はあ……期待すんなよ?」
そう言いながら移動する。
三途の川の入り口は、吸い込まれた魂たちが満員電車のように鮨詰めになっていて入る余地などなさそうだ。
「はあ、この人混み……魂混み?をかき分けるのは無理そうね」
「だから言っただろう」
鬼は言う。
「でも私は三途の川を渡るわけにはいかないのよ。……!」
入り口付近に落ちているものを見て気づく。
「ねえ、あの入り口付近に落ちているのは、死んだ時に持っていたもの?」
「ああそうだ、まあ大体ここで落としていくけどな」
「ならそうね……」
アレプトは周囲をくまなく探し始める。
そして長時間探すと──
「あった!」
アレプトが乗っていたロケットがあった。
「なんだそれは……」
「ロケットよ。これに乗って帰るわ」
「そんなこと──」
「簡単よ、点火式だから。マッチある?」
「……火打石なら」
「それでいいわ。火、底につけてちょうだい」
そう言いアレプトはロケットに乗り込む。
「さあ、現世へ戻るわよ!」
そう言い入口へと操縦する。
「……力場どうなってるんだ?」
残された鬼は呟いた。
「いやー、アレプト様いないと気楽でいい〜!お菓子食べ放題!」
「太るぞ」
「しかしどこまで宇宙旅行に行っているんでしょうか。僕の計算では月くらいまでしかいけないのでそろそろ戻ってきてもおかしくない頃合いですが……」
フリーヶ丘、超悪い子軍団のアジト。
居間兼作戦室では三人の男がくつろいでいた。
そして、窓から突然ロケットが突っ込んでくる。
崩壊!なし崩し的に一階のコンビニごとビルは崩壊する!
「ゲホッ、なに?!」
「敵襲……いや違う?」
「これは……アレプト様?!」
「帰ってきたわよ、馬鹿ども。まずは馬鹿眼鏡、あんた、ロケットに乗ってあの世に行きなさい」
「あの世ですか?そんな非科学的な──痛い!痛いです!」
「三途の川を見てきなさい!」
そう言い着火する。
グシオンを乗せたロケットは、再び三途の川へ向かった。
後日。
ケロリと帰ってきたグシオンは言う。
「あの世の非合理さについて論破してきました。あの世は解体されましたよ」
「そういう意図で送り出したんじゃないわよ!」
四行であの世は解体されました。
なんと不条理なんでしょう。
まあままならないということでここは一つ。
次回もお楽しみに!




