14.超悪い子軍団とバレンタイン
丁京都フリーヶ丘。
住みたい街ランキング常連・スイーツの聖地として知られるこの街には──
今日も恐ろしい(?)悪の組織が存在していた。
そして街は、いつもと違いバレンタイン気分だった。
そんなこんなで、今回はバレンタイン回です。
第一部も残り二話。
お楽しみください。
「ただいまー」
学生服のブエルが玄関を開ける。
「なんだ、そのカバンは」
オティスの言う通り、ブエルの鞄ははち切れんばかりに膨らんでいた。
「いや……クラスのやつらとか委員会の先輩とかがさ、バレンタインだからって小さいチョコたくさんくれたんだよ。積もりに積もってこの量」
鞄を床に置くとドンッ!と大きな音がする。
「おや、バレンタインですか。この時期はいいですよね、質の良いチョコが大量に安く買えますから!」
グシオンは大量のブランドチョコを抱えながら言う。
「グシオン、もしかしてそれ全部自分で買ったの?」
「もちろんです!天才と甘いものは切っても切れないものですからね!」
チョコを頬張りながらグシオンは言う。
ブエルは味わえばいいのに……と思いながらオティスを見る。
オティスの手元に菓子類はなかった。
「あれ、オティス、大学で貰わなかったの?」
「施しなど無用」
「なるほど……?」
流石に食べきれないのでいくつか適当なチョコをオティスの前に置く。
「施しは無用と……」
「いや、この量普通に食べきれないから手伝って」
「むう……ならば致し方ないか」
オティスはいそいそとチョコを集める。こんなに顔がいいのにモテないっていうことはやはり態度が全てなんだな、とブエルは思う。
「ひ、等館くんにチョコ渡せなかった……圧がすごかったよぉ……」
一方でハマリエルは友達に慰められながら渡せなかったチョコを食べていた。
「あれ、アレプト様は?まだ帰ってきてないの?」
「……ブエル、命が惜しいなら逃げるべきですよ」
「その通りだ」
「……?一体どういう……?」
瞬間。キッチンから凄まじい爆発音がする。
煙を立てるキッチンから現れたのは、黒色の固形物をトレーに乗せたアレプトだった。
「揃ってるようね!運がいいわね、あんたたち!」
「……なに、あれ……」
「とうとうこの時が来てしまいましたか……」
「そのようだな……」
グシオンとオティスは覚悟を決めた顔をしている。ブエルは状況がわからず聞く。
「アレプト様、なんで炭持ってるの?バーベキュー?」
「はあ?何言ってるのよ、どう見てもカヌレじゃない」
どう見てもカヌレの形をしていない。炭だ。
「カヌレってこう、なんかもっとふわふわ〜って感じのものじゃない?」
「そうね、型がなかったから代わりのものを使ったわ。でも正真正銘、味はカヌレよ!」
「えーっと、食べたの?」
「食べてないわよ?だってあんたたちにあげるものだもの」
ブエルは無言でグシオンとオティスを見る。二人は顔を背けていた。
「……大丈夫です、去年は三日寝込むだけで済みましたから」
「え?」
「ブエル、お前の犠牲は忘れない」
「え?え?」
「さあブエル、食べなさい!」
塊を差し出される。逃げ道はない。
意を決してその塊を食べる。
地獄で出される料理は、このような味がするのだろう。意識を手放しながらブエルは思った。
「……ル?ブエル!」
どのくらい気絶していたのだろう。アレプトの声で目覚める。
「ヒィッ!!!」
「なによ、そんな鬼でも見たような顔して……それよりこれ、聞きたいの」
アレプトはテーブルから小さい端末のような何かを取り出す。
「あんたの鞄から転がり落ちたんだけど……なにかやらかした?」
「ええ?そんなことは……」
何かを受け取りいじくり回す。
瞬間。ホログラムが映った。
『こんばんは、天使セラです』
天使セラのホログラムが、そこにあった。
平和だったバレンタインは一転、地獄へ。
そして、セラからの直接のコンタクト。
フリーヶ丘の日常はどうなるのか。
超悪い子軍団は世界を征服できるのか。
第一部も、いよいよ終盤です。
続きも更新していますので、気になった方はぜひご覧ください。




