1:ダンジョンからの生還と報酬
「外だー!」
アリゼさんに助けられ、一緒にダンジョンから脱出してきた僕は無事に生還を果たした。
いやー、一時期はどうなるかと思ったよ。
死んでもおかしくなかったし、生きて帰ってこれてよかったよ。
ひどい目に合ったし、みんなからは見捨てられたし、ホントよく生還できたよね。
でも、悪いことばかりじゃなかった。
ラディッシュと出会うことができたし、初めて自分の力でモンスターを倒すことができたし、アリゼさんと出会うこともできた。
特に初めて精霊と契約できたのはとても大きい!
心の中でガッツポーズしちゃうよ!
ああ、抱きしめてもいいかな? いいよね?
だってこんな僕が精霊と契約できたんだからいいよね!
『おい、契約者。いきなり抱きしめるなよ』
「僕の精霊ぃー。ラディッシュ最高ぉー」
『はいはい、わかったからほどほどにしてくれ』
一人になったからこそ、こんないい経験ができた。
完全によかったとは言えないけど、それでもこの経験のおかげでラディッシュと契約ができたし、最高だよ。
『お、外はこんな感じになってるのか。へぇー、建物とか結構変わってるな』
生還できたことに僕が感動していると、ラディッシュが町を見渡し始めた。
景色が変わってるってことは、ラディッシュが封印される前からここに町があったのかな?
そういえばどうしてラディッシュは封印されていたんだろう?
ちょっと気になるなぁー。
「さて、無事に帰ってこれたし私はギルドへ行くわ。君はこれからどうする?」
アリゼさんに声をかけられ、僕は考え始める。
早かれ遅かれギルドに行かないといけないし、それにラディッシュのことを報告しないといけないしね。
僕はみんなが契約している精霊がいなかったからその変更手続きもしないといけないし。
だけど、ギルドにはゼルコバ達がいる可能性があるんだよね。
あいつらにひどいことされたし、正直会いたくない。
なけなしのアイテムを取られたし、気が済むまで殴る蹴るをされたし。
というか思い返せば、ゼルコバ達にいいように使われていた気がするよ。
荷物運びだったとはいえ、約束よりも取り分が少なかったし。
僕がそんなことを思い出していると、アリゼさんが声をかけてきた。
「どうしたの? なんだか顔色が悪いわよ?」
「あ、いや。ちょっと忘れ物があったなぁーって」
「忘れ物? あ、そういえばゴーレムの素材を回収してなかったわね」
「そ、そうです! すっかりゴーレムのこと忘れてましたよ」
適当に誤魔化して、僕は話をすり替えるとアリゼさんが「いっけなーいっ」と叫んでいた。
「ゴーレムの素材って結構貴重じゃない。もぉー、いいお金になったのにー!」
「そ、そうですね。でも戻る訳にはいきませんし、戻ったとしても他の冒険者に回収されているかもしれませんしね」
「やっちゃったわ。もぉー、私のバカぁー!」
アリゼさんがとても残念そうに叫んでいる。
なんだか賑やかな人だ。もっと落ち着いていておしとやかな人なのかなって思ったけど、そうでもないかも。
『ふっふっふー、そう思ってホムンがいいものを回収しておいたキュー!』
アリゼさんがガックリと肩を落としていると、精霊ホムンがそんな言葉を言った。
「いいもの? 何を回収したのよ?」
『あ、ならワタシも回収してるわプルンッ』
『ボクも回収してるミュー』
『オレは回収してるモモンド』
『ならみんなで見せ合おうキュー!』
そういって精霊達が『せーの』と回収したアイテムを見せ始める。
出されたのは、何かのカケラ。見た限り、キラキラと輝いているガラス片みたいなものだった。
そんな回収アイテムを見て、アリゼさんが目を大きくした。
「こ、これ、魔晶石のカケラじゃない! 一体どうやって手に入れたの?」
『ゴーレムを殴ったら出てきたキュー』
『近くに転がってたプルンッ』
『ぶっ飛ばしたら落ちてきたミュー』
『足元にあったモモンド』
「最高! さすがみんなね!」
思いもしない出来事にアリゼさんは喜んでいた。
それにしても、魔晶石のカケラか。
もしかしてあのブラッディゴーレム、元々は魔晶石でできていたゴーレムだったのかな?
それで冒険者を返り討ちにしていたら、ブラッディゴーレムになっちゃったとか。
だとしたらもっと強かったかも。
そんなことを考えていると、様子を見ていたラディッシュが僕に妙なことを訊ねてきた。
『なあ、あのキラキラそんなにいいものなのか?』
「そうだね。魔晶石はとても貴重なアイテムだから、売ったらいいお金になるんだ」
『そうなんだ。それならたっぷりあるな』
「え? もしかしてラディッシュもいつの間にか回収してたの?」
ラディッシュの言ったことに僕が聞き返す。
するとラディッシュは大きく口を広げ、うげぇーっと嫌な声と共に何かを吐き出した。
こんな所で吐いた!?
そんな風に思いつつ目を向けると、キラキラと輝く大きな塊があった。
それはとても大きな魔晶石だ。
「えっ? ラディッシュ、これもしかして食べてたの!?」
『食べてたのって、お前見ていただろ? これはあいつの腕の一部だよ。といってもほとんど土だったけどな』
「そ、そうなんだ。何にしてもすごいよラディッシュ! お手柄だよ!」
ラディッシュのお手柄に僕は大喜びする。
そんな姿を見て、ラディッシュは笑っていた。
『おいおい、踊るなよ。ったく、ホントにお前は踊るのが好きだなぁー』
こうして僕のギルド行きは決定するのだった。




