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4:運命的な出会いⅡ

 いつの間に僕の後ろに回り込んだんだッ?

 というか、腕がない状態で何をする気なんだ!


『これより魔晶石(コア)を暴走させ、本機は自爆します。爆発まで残り一分――』

「じ、自爆だって!!?」


 マ、マズい!

 このままじゃブラッディゴーレムの自爆に巻き込まれちゃう!


 えっと、えっと……そうだ、ラディッシュだっ。

 ラディッシュにブラッディゴーレムを食べてもらえればどうにかなるかもしれない!


『逃げるぞ、契約者ッ』

「って、え? 食べないの!?」

『激辛魔力でお腹の調子がちょっと悪いんだよッ。とにかく逃げるぞ!』


 くそー!

 ラディッシュの調子が悪くて食べることは無理なのか。

 こうなったらできる限り遠くへ逃げるしかない。


『カウントダウンを開始します。10、9、8――』

「もう爆発するじゃん!」


 逃げ切れないッ。

 せっかくラディッシュと出会って、契約ができたのに。

 ここで、こんな終わり方を、僕はするのか?


 そんなの嫌だ。

 どうにか、どうにかしなきゃ。

 なんでもいい、どうにかしてブラッディゴーレムの爆発を止めなきゃ!


 そう僕が決死の覚悟を持ってブラッディゴーレムに飛びかかろうとしたその時だった。


「ホムン、ゴーレムを浮かせて!」

『了解だキューッ』


 唐突に誰かの声が耳に飛び込んできた。

 赤く燃えたぎったキツネがブラッディゴーレムに飛び込んでいく姿が目の端に入った。

 燃えるキツネはブラッディゴーレムの足元を叩くと、途端に地面が破裂して大きな身体が浮いた。


「シーズ、道を作って!」

『オッケーよプルンっ』

「モンドは防壁!」

『まかせろモモンド!』


 声の指示を受け、青と黄のキツネが飛び込んでくる。

 青いキツネは一瞬にして地面を凍らせ、黄色のキツネは一瞬にして僕の目の前に壁を生み出した。


 そんな精霊達を見て、僕はあまりの早技に驚き動きを止めてしまう。


『ボクもやるミュー!』


 そんな中、遅れて緑色のキツネが飛び込んできた。

 そのキツネはフゥー、と息を吹きかけると浮いたブラッディゴーレムに一瞬にして後ろへ飛んだ。

 大きな身体はそのまま凍りついた地面を滑り、奥へ転がっていく。


『3、2、1――』


 ブラッディゴーレムはどんどんダンジョンの奥へ転がり、そして姿が見えなくなった瞬間にキラリと光が弾けた。

 遅れてものすごい風が襲いかかり、防壁にぶつかったのかとんでもない音が響く。

 まるでドラゴンが咆哮でも上げているかのような、そんなものすごい音だった。


「助かった……?」


 助かった、助かったんだ。

 なんで助かったんだろうか。

 よくわからないけど、助かってよかった。


 そんなことを思っていると、四色のキツネが一斉に僕へ飛び込んできた。


『すごかったキュー。あんな大爆発、見たことがないキュー!』

『巻き込まれたらひとたまりもなかったわプルン!』

『オレの防壁のおかげで助かったなモモンド!』

『何言ってるんだミュー! ボクがぶっ飛ばさなかったらみんな死んでたぞミュー!』


「そ、そうだね。みんなのおかげで助かったよ……」


 なんだかわからないけど、このキツネの姿をした精霊達の押しがすごい。

 えっと、これはどう反応してあげればいいんだろう?


『ん? なんだか妙に辛いぞキュー!』

『かっら! 何この辛さ! とんでもない辛さよプルンッ!』

『アリゼと真逆だぞモモンド! めちゃくちゃ辛いモモンド!』

『辛いー! 辛いミュー!』


『ハッハッハッ! すごい辛いだろ、そいつの魔力。でも癖になる辛さだぞぉっ』


 みんなが僕の魔力に触れて悶えている。

 ラディッシュはそんなみんなを見て笑っているよ。


「こらこら、みんな。そんなに一斉に迫っちゃダメよ」


 僕が戸惑っていると、ある声が耳に入ってきた。

 振り返るとそこにはひとまとめにした綺麗な長い銀髪を揺らし、青い瞳を持った細身の女性がいた。

 そんな身体を包み込む白いアーマーは動きやすさを重視したもので、胴体を覆うぐらいのもの。

 その下にある簡易的なシャツとスボンは機能性を重視していて、まさに冒険者らしい服装だ。


 そんな綺麗な女性は一斉に僕へ迫ってきた精霊達をなだめた。


『あ、アリゼ! 指示通りにゴーレムを浮かせたキュー!』

『氷の道、上手く作ったわプルンっ!』

『防壁でみんなを守ったぞモモンド!』

『大爆発から守ったのはボクだぞミュー!』


 精霊達がかわいくケンカし始める。なんだか微笑ましい。


 というか精霊が四体もいる。もしかして、この精霊達をみんな契約しているのか?

 もしそうなら、とんでもなくすごいことなんだけど!


 僕がそう感じていると銀髪の女性が声をかけてきた。


「無事で良かった。まさか大爆発寸前のゴーレムに鉢合わせるなんて思いもしなかったわ」

「僕もまさか、あんなことになるなんて思いもしなかったですよ」

「何にしても、どうにかなってよかったわ」


 話してみて僕はすぐにこの女性はいい人だって感じた。

 いくら危なかったとはいえ、危険を冒してまで助けるなんて普通しないよ。


 そう思いながら胸を撫で下ろしていると、女性はこんな言葉を僕にかけてきた。


「ところで君、どうしてこんな所に一人でいるの? ここは一人で攻略できる所じゃないわよ?」


 とても答えにくい質問だった。

 どう答えたらいいものか。

 ありのまま起きたことを話すしかないんだけど、信じてもらえるのかな?


 そう思っていると、様子を見ていたラディッシュが口を開く。


『そいつはオイラの封印を解いてくれたんだ。それで封印を守ってたゴーレムに狙われちゃったんだよ』

「封印? ああ、そういうことなの。じゃあ、ゴーレムに驚いてみんな逃げちゃったのかしら?」

『かもしれないな。でも、ひどい奴らだよな。仲間を置いて逃げ出しちゃうなんてさ。オイラだったら許さない行動だよ』

「私も怒っちゃうわね。あ、でも私、みんながいるからパーティーを組んだことないんだった!」


 この人、サラリとすごいことを言ったぞ。

 世の中にはすごい人がいるっていう話があるけど、アリゼさんはその一人なのかもしれない。


 そう思っているとラディッシュが僕にウィンクをしてきた。

 あ、もしかして僕が困っていることを察して助けてくれたのかな?


 もしそうなら、後でラディッシュにお礼を言わなきゃ。


「あ、そうだ。名乗っていなかったわね。私はアリゼ――とあるものを探してダンジョンに潜っている冒険者よ」

「僕はレオス。助けてくれてありがとうございます、アリゼさん」


 ペコリっ、と僕は頭を下げる。

 アリゼさんはそんな僕を見て、「頭を下げないでよ」と慌てながら言葉をかけてくれる。


 あ、いい人だ。

 彼女に促されて僕は頭を上げる。

 すると彼女は優しい笑顔を浮かべながら、ちょっと真剣な面持ちで僕にあることを提案してきた。


「ま、このまま放っておくのもなんだし、一旦ダンジョンの外に出よっか」

「もしかして、転移の羽を持っているんですか?」

「もちろんっ」


「あ、ありがとうございます! あ、でもいいんですか? アイテムを探してるって――」

「いいのいいの。欲しいアイテムはもっと奥にいかないとないし、それに私も自分の都合で帰らないといけなくなっちゃったしね。だから気にしないで」


 ああ、本当に本当にいい人だ。

 僕はアリゼさんの言葉に甘え、一緒にダンジョンを脱出した。

 こうしてパーティー追放された僕は、精霊ラディッシュと契約した上に生きてダンジョン脱出することに成功したのだった。

★★★★★


お読みいただきありがとうございます


ここまで読んで「レオス頑張れ!」「ラディッシュいいぞもっと食べろ」となりましたら応援、ブクマ、評価をお願いします!

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