八十二話 決心
「おかえり」
「ああ」
すると夜乃は俺の顔を見るや否や驚いた顔する。
「どうしたの?泣いているけど」
「え」
俺は自分で目元を触ると液体があった。
すぐに腕で目を隠す。
そうか俺は悲しいのだ。
エンドロールが来れば終わる。
それならここから、このゲーム内から抜け出せばいい、手段だってわかっているけれども夜乃を置いていくことになる。
俺だって…愛している夜乃を置いていくことは辛い。だって俺はここに来る前から大好きで夜乃の新商品が出るごとに布教用、鑑賞用、保存用、飾る用、俺の家であった拠点に置いておく用の分を毎回買って他のメンバーからは、
「ちょっとやばいぞ」
と苦笑いで言われて。
あの頃が楽しかった。でももう戻すことはない。
一人一人それぞれの道を進んでいく、メンバー同士の干渉はしてはいけない。
そして俺はこのゲーム内に来て、夜乃と付き合えて一緒に楽しんで、あーんをしてくれたり、手を繋いで寝たりしている。
俺にとって幸せなのだ。そんな幸せをまた捨ててしまうのか?そんなのは嫌だ。
でも、でも、わかっている。
俺が主人公である研信は殺してしまえば俺は生き残れる、でもそれでは失われるものがある。それを俺が維持できるわけがない。
俺は研信ではない、ただのモブキャラの影深鉄冶なのだから。
「鉄冶、なにがあったのか分からないけど、一つ、私はなにがあっても鉄冶の味方で、鉄冶が大好きだからね」
俺の腕から溢れてくる。
きっと悲しいだけではこの思いは終わらせない。
俺は腕で目元を強く抑えて離す。
「ああ、俺はなにがあって夜乃の味方であり、夜乃が大好きだ!」
「うん」
夜乃も涙する。
最初からこうするべきだと決まっていたかもしれない。
だって俺には俺であるのだから。
俺はモブキャラの影深鉄冶、そしてウミウシのメンバーの巻き込まれ役巻貝鉄冶なのだから。
だから俺はなにがあっても俺である。
例え、巻き込まれから自分から突っ込んで物事に進んでも。
今回のタイトルは本編から書き抜きではないです。
「これでいいのね?怪物?」
「怪物とは心外だな、実際そうだけど」
「なぜあなたが鉄冶に話しけないで私に頼んだの?」
そうエミルは白い部屋に不気味というか気持ち悪い形をした怪物に話しかけていた。
怪物は後ろの壁にはたくさんのドアがあるところの椅子を座っていた。
「それは鉄冶には俺が行っては意味がない、だってエミルなら絶対話がわかってくれるからな、そして鉄冶にはまだ死んでほしくない」
「なんで?」
「だって会える可能性があるから、では」
バァバァン!!
怪物は透明のガラスのような膜を目だけにまとい、形を変えていつの間にか水があり、そこに飛び込んだ。
「私も帰りますか、仕事が終わってないし」




