六十四話 下山
しかし教師が言ったことはみんな聞こえているがそれ以前に研信達が遭難したことに混乱している。
だけど俺だけは動いた。
だって俺の立場はボッチだ。だからだ。
そもそも俺がボッチになっているのはこの能力のためだ。
なら助けたら勘付く危険が高まる。誰も自分にデメリットしかないことはしたくないだろう?
「助けよう」
気配を消して下山しようとしたら走が助けようだなんてことを言い出した。
俺は知らないふりをする。
「いえ、ダメよ、私達も遭難しては元も子もないわ、私だって助けたい気持ちはあるけど我慢して」
夜乃は確かに仲間思いだ。けれどもやってはいけないことに気づいている。
実は研信達が救助されるのは明日の朝だ。
これについてはシナリオ崩壊による影響は出ていないとみてもいい。
だって椎葉さんが関係しているとちゃんとゲーム通りになっているのだから。
「ちょ、影深君なにしているの?」
夜乃は下山をしようとしている俺に向かって言ってくる。
走はしゃがんで地を見ている。
「下山しようとしている」
そう淡々と返す。俺が動揺または混乱する理由がないから至っていつも通りである。
「一人で?」
「ああ、だってこういう濃霧には慣れているからな」
前世で霧の深いところに強制的に移動されて頑張って帰った際に耐性がついたのだ。
「そう、でももしも…「いや大丈夫だ」
俺は夜乃に近付いて小声で発する。
「夜乃、俺は遭難しないから」
そうして言うとすぐに離れる。
「わかったわ」
夜乃はそう言ってくれた。
これでやっと下山できる。
「ああ、もちろん気をつけて降りるよ」
そう言い、一人下山した。
これでいい。
俺がなぜ一人になったのか?
それは救助する時間を早めるためだ。
どうやってかはgiveを利用する。




