四十五話 とある屋敷の一室にて
とある屋敷の一室にて……
「どうもお義父様」
「よく来てくれたね、鉄冶」
そう言われるが前に来てからまだ二ヶ月ぐらいしか経っていない。
今日の朝、夜乃から唐突に「連いてきて」と言われ、なにも話さずにここに来ている。
「夜乃からなにも伺っていませんがなんでしょう?」
もしかして婚約の解消?それなら死んでもやだ。
「そう険しい顔をするな、ただ聞きたいことがあるだけだよ」
「はい」
お義父様は俺が考えたことを読みとったかのように言ってくれるが俺はいまだに緊張をしている。屋敷への違和感がすごい。
「では少しの間出て行ってくれ」
そうお義父様は言うと、夜乃やお義母様など部屋に居ていた俺とお義父様以外は出て行った。
夜乃ー、残ってよー。
言おうとするが心の中にしまうことにする。
「で、お聞きしたいことは?」
「それは……」
ゴクン、俺は唾を飲む。
「夜乃の普段の学校での様子を教えてくれ」
え?そんなことにこのピリピリした感じがあるん?
あ、でも親バカなら、そうなら俺を婚約者にはしないはず。うーん。でも今は質問に返さねば、
「夜乃は普段学校ではそこまで感情を表には出していません、だからと言って嫌われているわけでもありません」
「そうか、良かった」
お義父様は安心している。
「この前、夜乃に鉄冶の学校での様子は聞いたが、自分のことは語らなかったから心配した」
そんなことを言っている。自分の学校の様子を言うのは躊躇いがあるだろう。
「私からもいいですか?」
「いいぞ、なんだね?」
「私が婚約者であることは知られずに夜乃に婚約者が居るということになっていますがいつかは俺だとバレます、そこについてどうお考えですか?」
俺が気になることだ、もし高校生活中にバレてしまったらどうしようもない。
「特には考えていない、だって鉄冶は力を隠しているから、夜乃は鉄冶にベタ惚れだからバレたとしてもなにも問題はない、あと鉄冶が髪を下ろしていることをやめればいいだろう」
「そうですね」
その通りだ。でも俺が力を隠しているとよくわかったな普通にすごい。俺も夜乃にベタ惚れだから。
「ではありがとうございます」
俺は立ち上がり、部屋から出ようとする。
「夜乃とどこまで進んだ?」
ブフォ
俺は吹き出してしまう、完全に油断したわ。
「ご想像におまかせします」
俺はそう言い残して屋敷の玄関に向かう。
「夜ー乃ー」
夜乃に抱きつく。
「もう、鉄冶、人前だよ、家政婦さんが見ているよ」
夜乃は耳まで真っ赤にして言ってくる。でも離す気はなく受け入れている。
「問題ない、だってここにいる人達は夜乃と婚約していることは知っているはずだ」
「そうだけど、でも!」
「それじゃ、離れるけど?」
「うーん」
夜乃は考える。
「イチャイチャするのは帰ってからで早く帰りますよ」
家政婦さんが横から言ってくる。
「はい、そうですね、愛の巣に帰りましょう」
俺はそう言い、夜乃から離れる。
「愛の巣!まだでしょう?、あ」
夜乃は失言をしたことに気付いた。
「では行きますよ!」
家政婦さんはさすがに強く言い、夜乃の気を戻す。
夜乃と俺は車に乗り帰るのだった。




