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最強エルフとスキルを失った冒険者  作者: 霧野夜星


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第七十七話 銀の竜殺し VS アイン将軍

「むっ、何だ?」


 アイン将軍は京也の雰囲気が変わったことに気付く。京也は作戦が決まり、目つきが変わっていた。


(何かやる気か? 面白い!)

「はああああ! 猛火紅蓮剣!」


 アイン将軍は京也の雰囲気が変わってもかまわず、剣に猛烈な勢いの火をまとわせて京也に斬撃を放つ。


「はっ!」


 それに対し京也は今までより少し強い力を込めて、アイン将軍の火の必殺の斬撃を打ち払う。


「ぐっ!」


 アイン将軍の右手はその衝撃によってしびれ、剣を手放してその剣が飛んでいく。それに合わせて京也もラグナヴァリスを同じ方向に投げて、二人は素手の状態になった。


「ちっ、何て力……むっ!」


 接近したままお互い素手になり、京也はアイン将軍の右手の手首あたりを左手でつかむ。


「はっ!」


 そして京也は全身から魔力を放出して、それを左手からアイン将軍に伝わらせる。するとアイン将軍が全身にまとっている防御魔法の防御力が強化された。


「お、おい。何を……」

(よし、強化できた)


 京也はアイン将軍の防御魔法が強化されたことを確認してから、右手でアイン将軍の左胸あたりを殴る。それと同時に京也はつかんでいたアイン将軍の右手を離す。


「ぐあっ!」


 殴られて防御魔法が破壊されたアイン将軍が後方に吹き飛び、舞台から落ちて地面を転がっていく。


「勝者! 銀の竜殺し!」


 審判はアイン将軍が場外に落ちたのを見て京也の勝利を宣言する。ちなみに審判は京也の名前を知らなかったので通り名で呼んでいた。


「うおおおお!」

「アイン将軍が吹っ飛んだ!」

「何だ? 奴のあのバカ力は!」

「これが銀の竜殺しか!」

「あの力でエンシェントドラゴンを討伐したのか!」


 観客達は京也の強さを見て騒いでいる。


「痛てて……お前、信じられないことするな」


 場外の地面を転がって背中を打ったアイン将軍が舞台の上に戻ってくる。彼は京也に殴られたダメージは受けなかったが、吹き飛んで場外の地面を転がった時、軽い打ち身程度の怪我をしていた。


「さっきのは、俺の防御魔法を強化したのか?」

「熱い試合にならなくてすみません。こうしないと命の危険があったので」

「そうか……俺は手を出してはいけない奴と戦おうとしてたのか」


 アイン将軍は京也がエンシェントドラゴン級の力を持ってることを理解した。彼は京也がエンシェントドラゴンを倒しているのでその可能性があると思っていたが、それを実際に戦って確かめたいと思ったのである。


「お前とはもう戦わん。大事な嫁と息子を残して死ねないんでな」

「アイン将軍は結婚してたんですか?」

「当然だろ。こんな色男、王都の女達が放っておくわけないからな。ハッハッハッ!」


 二人は舞台の中央で握手をし、観客達は拍手をする。その後、京也は投げたラグナヴァリスを拾ってから跳躍のスキルを使って、王族専用の観戦席に戻ってくる。


「やったニャ! 勝ったニャ!」

「さすがキョウヤね。楽勝だったでしょ」

「いや、色々大変だった」


 観戦席に戻ってきた京也にニャオウとアンナが声をかける。ハクレイはエトワール王子達には見えない状態なので黙っている。


「いい試合を見せてもらった。勝者のキョウヤ殿には何か褒美を考えよう」

「褒美! ニャオウは美味しいご飯がいいニャ!」

「いいわね。私も美味しいフルーツが食べたい!」

「なら今夜は食事会を開こう。アイン将軍とエリス将軍も呼ぼうか」

「ならキョウヤはエリス将軍の隣の席にしてね。王子様」

「なるほど、そこまでは考えてなかった。俺もまだまだだな」

「アンナ、また余計なことを……」


 こうして王都ヴェスタ武術大会は終了した。その日の夜、予定通り食事会がおこなわれ、京也達は豪華ディナーを堪能した。



 それから三日後、エンシェントドラゴンの解体が終わったという報告を受けて、京也達は王都の冒険者ギルドに来ていた。京也とアンナはギルドマスター室で、露出の多いセクシーな服を着たギルドマスターと話している。


「これがエンシェントドラゴンやほかのドラゴンの素材の代金だ」


 ギルドマスター室の来客用のテーブルの上に大量の白金貨が置かれている。


「それで骨と肉はうちのギルド、うろこは王家が買い取って、その代金が8000000ゴールド(約八億円)になった」

「八百万!」

「ああ、解体費用は引いてその値段だからな」


 京也は思っていた以上に今回の報酬が高額なのに驚く。彼の肩に乗っているアンナは目が輝いている。


「八百万を五人で割ったら……いくらかわからないけど、とてつもない金額なのは間違いないよ」

「計算は後でしよう」


 京也はテーブルの上に乗っている大量の白金貨をアイテム画面を開いて収納する。


「エンシェントドラゴンの爪と牙と魔石は解体所に用意してある。後で引き取りに行ってくれ」

「わかりました。そういえばエンシェントドラゴンの骨って何かの素材になるんですか?」

「いや、王都の博物館に展示されることになる予定だ。牙と爪はレプリカを使うことになるだろう。だが、いい観光名所になるはずだ」

「経済効果って奴ですね」

「ああ。王家は軍を強化できて、さらに経済効果で税収が潤うんだから、今回の報酬も痛くないだろう」

「なら遠慮なくもらっておきます。まあ、使い道はないんですけどね」

「ん? それなら私に全部預けてみないか? 一か月後には倍にして返そう」

「えっ……ええと」

「キョウヤ、ギルドマスターの冗談でしょ」

「ああ、そうか」

(冗談ではないんだが……まあ、いいか)


 ギルドマスターは王都のカジノで倍に増やそうと妄想していたが、それを話す雰囲気ではなくなっていた。

 その後、京也は解体所でエンシェントドラゴンの素材を回収して水の街セレスに帰っていった。



 場面は不死迷宮の四十一階に変わる。カーナはSランク冒険者パーティ神竜の牙の記録を塗り替え、未踏破階を進んでいた。


「マジックボム!」

「ギャアアアア!」


 カーナは無属性魔法でマンティコアゾンビを倒した。マンティコアゾンビはマンティコアの死体が闇の魔力により蘇り、生前よりさらに強くなったモンスターである。だがそれでもカーナの魔法で一撃で倒れた。


「しかし私、ここでマジックボムしか使ってないわ」


 カーナはここまですべて、無属性魔法マジックボムでアンデッドモンスターを倒していた。群れで現れたモンスターも複数同時展開のマジックボムで倒せたので、ほかの魔法を使う必要がなかった。


「うーん。ここまで来てもまだミミックが見つからないなー。もしかしてここにはいないのかも……」



 次回 カーナ捜索指名依頼 に続く

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