第四十七話 出会った邪神と英雄
「確かにパーティ全員が魔法剣士ってバランス悪いな」
「でも俺達の強さなら問題ない。どんな敵でもゴリ押しでいけるだろ」
(凄い自信ね……ん? 彼等の剣は……)
受付嬢は、三人の剣が京也と同じラグナヴァリスだと気付く。
「確かに貴方達は只者じゃないようですね」
「わかりますか。俺達の強さが」
「はい。まずその剣と鎧が凄そうですね」
「そうなんですよ。これを手に入れるために苦労しました」
「確かにな。あの竜は強かった」
「でもあいつは火無効の装備を持ってれば楽勝でしょ」
「いやいや、あの竜の雄たけびは厄介だっただろ」
三人はレジェンドワールドの話で盛り上がっている。
(この人たちは、何か普通じゃない気がする……)
「では冒険者ギルドの説明をします」
受付嬢は冒険者ギルドのランクアップシステムなどを説明をする。
「……なので、みなさんはEランクから始めてもらいます」
「Eランクか」
「ちょっと質問なんですが」
「はい、どうぞ」
「ランクアップ試験みたいなものはないんですか? それに合格すればいきなりAランクから始められるとか」
「試験ですか……確かに昔はあったみたいですが、最近は誰も挑戦しませんよ。ギルドマスターが厳しくて誰も合格しないので」
「ギルドマスターに認められるほど強ければいいんですよね」
「まあ、そうですが」
「話は聞こえたぞ」
冒険者ギルドのカウンターの奥からギルドマスターが現れた。彼は三人が持つ豪華な剣や鎧に目が行く。
(ほう、キョウヤと同じ剣みたいだな。確かにこいつらは只者じゃない)
「いいだろう。ランクアップ試験をしてやろう。このギルドの裏側に訓練場があるから、そこでの模擬戦でお前達の実力を見せてもらう」
「やった!」
「これで面倒なランクアップのポイント稼ぎなんてしなくて済むぜ」
「そうね。逆にやりすぎないように気を付けましょ」
三人はもう模擬戦に勝った気でいる。
「それじゃあ、先に訓練場に行っててくれ。俺は準備してから行く」
「では私が案内します」
受付嬢が三人を訓練場へ案内する。
「おい、ランクアップ試験やるみたいだぞ」
「面白そうだな。俺達も行くぞ」
「おお!」
周りにいた冒険者達も訓練場に向かう。豪華な剣と鎧を身に着けていた三人は冒険者ギルド内で目立っていたので、ほかの冒険者達は三人の様子をうかがっていたのである。
「さて、俺の鎧を取りに行……」
ギルドマスターは自分で三人の相手をしようと思い、戦いの準備をしようと思っていた。その時、ちょうど京也が冒険者ギルドに入ってきた。彼の肩にはアンナが乗っている。
「おっ、キョウヤか。そうだ。おーい! キョウヤー!」
ギルドマスターは京也を見て考えが変わり、彼を呼ぶ。
「なんか、あのおっさんが呼んでるよ」
「また緊急クエストか? あんまり面倒な依頼は困るんだが」
「キョウヤは早く強くなりたいから、強い敵と戦って経験値を稼ぎたいんだよね」
「ま、まあな」
京也とアンナはそんな会話をしながらギルドマスターの所へ歩いていく。
「何か用か?」
「いやー、いい時に来てくれた。お前にひとつ依頼を頼みたいんだ」
「時間がかかる面倒なのは今はやりたくないんだが」
「なに。すぐ終わる依頼だ。三十分もかからんだろ。場所もこのギルドの裏の訓練場だからな」
「それならいいが、どんな依頼だ?」
「新人の冒険者と模擬戦をしてもらいたい」
「模擬戦?」
「ああ、奴等の実力を知りたいんだ。お前と同じ剣を持つあの三人のな」
「俺の剣と同じ!?」
京也はギルドマスターの言葉に驚く。
「ああ、確かにそいつと同じ剣だった。しかも三人が同じ剣を持ってたからな。奴等は只者じゃないはずだ」
「その剣……ラグナヴァリスだっけか。それって簡単には手に入らないんでしょ」
「そりゃそうだ。俺が知る限り最強の剣だからな。それが三本あるということは……」
京也はその三人が自分と同じくレジェンドワールドのプレイヤーなのではないかと推測する。京也の事情を知ってるアンナも同じことを考えていた。
「ああ、模擬戦だから戦う時は木剣で戦ってくれ。相手の実力がわかればいいんだ」
「わかった」
そんな会話をしながら、ギルドマスターと京也とアンナは訓練場に向かって歩いていく。
場面はその冒険者ギルドの裏の訓練場に変わる。シンヤ、ゴウ、エリの三人は、訓練場の真ん中でギルドマスターが来るのを待っている。その訓練場の周りには、たくさんの冒険者が模擬戦を見物するため集まっていた。
「大丈夫よね。私達、初めての実戦だけど」
「心配ないよ。俺達にはゲームクリア時のステータスと装備とスキルがあるんだから」
「魔法発動の練習は街の外でしただろ。いざとなったらレジェンドワールド最強の攻撃魔法を使えばいい」
「ラストジャッジメントのことか」
「それはやりすぎよ。相手が死んでしまうかもしれないわ」
「そうかもな。強すぎるというのも難しいな」
三人は戦う前からもう勝った気でいた。そこへギルドマスターと京也とアンナがやってきた。
「こいつがお前達の相手をする、うちのギルドのナンバー2の銀の竜殺しだ」
「おお! 妖精だ!」
「カワイイ!」
「ほんとにここは異世界なんだな」
ギルドマスターが京也を紹介するが、三人は京也のそばに浮いているアンナを見て盛り上がっている。
(ほう、ほんとにラグナヴァリスを持ってる。鎧は光の鎧だな)
京也は三人の言葉を聞き、装備品を見て、彼等が異世界転移者だと確信した。
「あっ、あの剣はラグナヴァリスじゃない?」
「ああ、確かにそうだ」
「あの女神は、レジェンドワールドはこの世界を模して造られたゲームと言っていた。俺達が持っている装備品やアイテムは、こっちの世界にもあるんだろう」
三人は京也に聞こえないように小声で話している。だが京也は聴覚強化を持っているので、その会話もはっきりと聞いていた。
「でもあの銀の鎧は見たことがないな」
「こちらの世界のすべての装備品が、レジェンドワールドで再現されてるわけじゃないんだろ。俺達の知らない装備品やアイテムも存在してるわけだ」
(霧の鎧を知らないのか。まあ、こいつはレジェンドワールドのレアモンスターが1/255の確率でドロップするレア装備品だからな。攻略サイトで名前は知っていても実物は見たことがないんだろう)
京也は三人が自分のようにレジェンドワールドをやり込んでないと推察する。
「作戦会議は終わったか? なら一人づつ、こいつと戦ってもらおう。最初は誰が戦う?」
ギルドマスターが戦いの催促するが、三人はまだ小声で話し合っている。
「おかしい。能力鑑定であの人の能力が見えない」
「俺もだ。どうなってるんだ」
京也は鑑定阻害のスキルを持っているので、京也よりレベルの低い彼等には京也の能力を見ることができなかった。
「俺達のスキルも万能ではないということか。まあいい。最初は俺が戦おう」
次回 銀の竜殺し VS 三英雄に続く




