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最強エルフとスキルを失った冒険者  作者: 霧野夜星


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第三十三話 魔獣軍団戦

「ヘイムダル様! フルーレ国軍に向かった軍が、壊滅しました!」

「何っ!」


 デルタ砦を包囲しているゼウス共和国軍の副官ヘイムダルに、慌てながら走ってきた伝令兵がそう伝える。


「オーディン将軍はどうした?」

「ゆ、行方不明です!」

「そ、そんな馬鹿な!」


 ヘイムダル副官は、ゼウス共和国軍の中で最強のオーディン将軍が負けるとは思っていなかったので、その報告を聞いて動揺している。


「また銀の竜殺しか? それとも業火のエルフか?」

「おそらく銀の竜殺しです。奴は一騎でオーディン将軍率いる我等の軍に向かってきて、奴の魔法でやられました」

「は? 一騎で向かって来た?」


 オーディン将軍、ゼウス騎士団、それに万を超える兵士に一騎で向かっていった京也の行動が、ヘイムダル副官には信じられなかった。


(うわさで聞いていた業火のエルフなら、オーディン将軍でも苦戦するかもしれないと思っていたが……銀の竜殺しは、業火のエルフと同等の力を持っているということか)


 ヘイムダル副官が京也の強さに恐怖してる時、別の伝令兵が走ってくる。


「ヘイムダル様! フ、フルーレ国軍が来ました!」

「なっ、もう来たのか!」


 森の中で戦っていたフルーレ国軍は被害が軽微だったので、少しの休憩の後、すぐに進軍を再開しこの場に現れたのである。


「ま、まずい! フルーレ国軍とデルタ砦の兵と同時に戦っては、我々は不利だ」


 ゼウス共和国軍はデルタ砦を包囲していて、一万五千の兵が離れて布陣しているので、このままで戦うのは不利だった。


「こうなってはデルタ砦の包囲をあきらめるしかない。全軍にこの場に集結するように伝えよ。それと魔獣軍団長を呼べ!」

「はっ」


 ヘイムダル副官が魔獣軍団長を呼んで作戦を伝える。


「ヘイムダル。フルーレ国軍とどう戦う気だ?」

「お前達にフルーレ国軍の足止めを頼みたい。我等は砦から出てくるハイン王国軍と戦う。援軍が来れば、奴等は必ず砦から出てくるだろう」

「俺達、魔獣軍団の兵力は三千だぞ。敵は八千と聞いてるが」

「お前達は敵とまともに戦う必要はない。我等がデルタ砦から出てきた兵を倒す時間を稼ぐだけでいい。その後、我等がお前達と合流してフルーレ国軍を倒すのだ」

「うーむ。そうは言っても、やはり我々だけで戦うのは……」


 魔獣軍団長は、自分達より多いフルーレ国軍と戦うのに乗り気ではなかった。


「ならオーガキングの使用を許可する。それなら戦力は十分だろ」

「オーガキングを! あいつを使うのは危険だぞ!」


 魔獣軍団は、魔物使い達が使役している魔獣達が主力の部隊である。だがオーガキングは魔獣軍団の魔物使い達よりはるかに強く、とても彼等に使役できるモンスターではなかった。


「敵軍の中に奴を放てば、勝手に暴れるだろう。あいつは戦いに貪欲だからな。お前達はオーガキングから離れていればいい」

「なるほど、それなら、なんとかなりそうだ」


 ヘイムダル副官の命令通り、魔獣軍団長はモンスター達をフルーレ国軍に向かわせる準備を始める。


「オーガキングなら銀の竜殺し相手でもなんとかなるかもしれない。それまでに我等がハイン王国軍を倒せば、この戦いに勝利できる」


 ヘイムダル副官は、デルタ砦から出陣してくる敵に備えて、包囲を止めて集まった兵士達で隊列を組み、戦いの準備を始めた。



 場面はフルーレ国軍側に変わる。


「あれがデルタ砦ですか」

「まだ敵の手に落ちてないようですね。さすが堅牢で有名なデルタ砦です」


 フルーレ国軍はついにデルタ砦が見える場所まで到着した。エリス将軍と京也達は、部隊の最前列に移動してデルタ砦とその周辺を確認する。するとデルタ砦の近くにゼウス共和国軍の姿を確認できた。


「ゼウス共和国軍もいるようですね」

「エリス将軍、奴等とどう戦いますか?」

「ここはキョウヤさんにエナジードレインで先制攻撃してもらって、その後、全軍で突撃しましょう。私達が戦いを開始すれば、デルタ砦内の兵士達も出陣して、相手を二方向から攻撃する手はずになってます」

「わかりました。……ん?」


 京也はさきほど入手した新スキル、望遠眼を使って、遠くにいる敵軍の様子を見る。


「どうしました?」

「敵にモンスターの大軍がいるみたいです」

「それは魔獣軍団でしょう。複数の魔物使いが指揮するモンスターの軍団です」

「そいつらがこっちに向かってきます」

「えっ?」


 京也は望遠眼でその様子がはっきりと見えた。エリス将軍も持っていた望遠鏡を使ってそれを確認する。


「確か、京也さんのエナジードレインは……」

「はい。人間にしか使えません。敵の魔物使い達は後方にいるみたいなので、エナジードレインは届かないですね」


 魔獣軍団が京也達の相手になったのは偶然である。ヘイムダル副官がエナジードレインの仕様を理解して、作戦を立てたわけではなかった。


「むっ、敵の後方に、でかいモンスターがいます」


 フルーレ国軍に向かってくるモンスターはバンデットウルフ、デススネーク、バトルボアなどが大半だったが、その後方に一体の巨大な人型のモンスターがいた。


「ああ、私にも見えます。あれは……まさか、オーガキング!」


 オーガキングとは、オーガという頭に二本の角を持つ人型のモンスターの最上位種である。その身長は五メートル以上あり、皮膚は緑色で筋肉質の体で、両手で巨大な鋼鉄の棍棒を持っている。オーガキングのモンスターランクはAだが、Sに限りなく近いAと言われている。


「全軍、隊列を組んでください」


 エリス将軍の指示によりフルーレ国軍は迫ってくる魔獣軍団に対し、歩兵部隊と冒険者部隊が中央に布陣し、騎馬部隊がその歩兵の左右に分かれて布陣する。エリス将軍と京也達は、右の騎馬部隊にいた。


「エリス将軍。とりあえず俺達が魔法で先制攻撃していいですか?」

「そうですね。少しでも数を減らしてくれると助かります」


 魔獣軍団の中で足の速いバンデッドウルフとバトルボアの部隊が、フルーレ国軍に猛スピードで接近してくる。その後にデススネークとオーガキングが続いている。


「ではやるか」


 京也はハクレイに乗りながら全身から魔力を放出し魔法を発動する。


「サンダーストーム!」


 京也は前方に広範囲に大量の雷を放出する。京也のサンダーストームがバンデッドウルフとバトルボアに命中し、次々と感電して倒れていく。だが生き残った魔獣軍団は京也の魔法に恐怖することなく、さらに突撃してくる。


「動きが素早いからか、討ちもらしが多いな」

「ニャオウもやるニャ!」


 ニャオウはハクレイの頭の上に移動して、全身から魔力を放出して魔法を発動する。


「コールドストームニャ!」


 ニャオウは広範囲に極寒の冷気を放つ。冷気に飲み込まれた魔獣軍団のモンスター達は全身が凍傷になり、次々と倒れていく。


「す、凄い。普通の魔法使いは、こんな遠くから魔法を使っても敵に届かないのに」


 エリス将軍は京也とニャオウの魔法を近くで見て、改めて京也達の凄さを確認する。


「グオオオオオ!」

「ガアアアア!」


 魔獣軍団の数は六割程度減らしたが、生き残ったモンスター達が、吠えながらさらに突撃してくる。


「こんどは私達の番です。弓部隊、攻撃開始」



 次回 オーガキング VS 銀の竜殺し に続く

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