第二十二話 邪神の地下迷宮
「未踏破ダンジョンならフルーレ国にいくつかありますけど、ここから一番近いのは邪神の地下迷宮ですね。セレスの北にあります」
受付嬢は水の街セレス付近の地図を取り出し、邪神の地下迷宮の場所に印を書いて京也に渡す。
「邪神の地下迷宮か」
「はい。伝説では最下層に『破滅の竜を従えた闇の邪神』が封印されているといわれています。でもその最下層が地下何階なのかは不明です」
未踏破ダンジョンの探索はクエストになっていないが、レアな宝を求めて常時、冒険者パーティが挑戦していた。邪神の地下迷宮も、現在も複数のパーティが挑戦中である。
「未踏破ダンジョンはAランクパーティ以上でないと突入は危険なのですが、キョウヤさんなら、ソロでも大丈夫だと思います」
「ああ、まかせておけ」
「でも、万が一のために回復アイテムは多めに持って行くのをお勧めします。どんな罠があるか、わかりませんから」
「罠か。モンスター相手なら負ける気はしないが、確かに罠は危険だな。注意しておこう」
京也と受付嬢が未踏破ダンジョンの話をしていると、ほかの受付嬢が討伐報酬を持ってきた。
「こちらが今回の討伐報酬になります」
「こちらもどうぞ。Aランクの冒険者ギルドカードです」
「おお、これがAランクのカードか」
京也は黒色に変化した冒険者ギルドカードを手に取って確認してから、討伐報酬と一緒に収納する。
「今回はかなり稼げた。しばらく生活費のことは考えなくてもいいな」
「ほんとに凄いですね。Aランクになるのも早いですし、月収もとんでもない額なんじゃないですか」
「まあな。だがもう家もあるし、最強の武器と防具もあるし、金の使い道がない」
「私もお金の使い道がないって、一度でいいから言ってみたいです」
「ああ、ちょっと嫌味っぽかったか?」
「いえ、そんなことはないですよ。冒険者は命をかけた仕事なので、危険な仕事が高報酬なのは当たり前です」
「確かにな」
(この力がなかったら、絶対に冒険者なんてやらなかっただろうな。死んだら終わりだし)
京也は最初からレベルが99で、メニューシステムやスキルドロップシステムがあったおかげで、ここまで冒険者で稼げたのである。
「さて、少し休んでから邪神の地下迷宮に行くか」
京也は冒険者ギルドを出て、ハクレイとニャオウと共に、家に帰ってこの日は終了した。
そして数日後、キョウヤはハクレイに乗ってニャオウと共に邪神の地下迷宮の入り口の前に来ていた。
「未踏破ダンジョンには未発見のお宝がある可能性が高い。狙うは無属性魔法の魔法書か、レアな装飾品だ」
「お宝! お宝! ニャオウも探すニャ!」
「ハクレイはどうする? ここで待ってるか」
「いえ、私もついていきます。私だけレベルが離されるのは嫌ですし」
「わかった。だが迷宮の中をハクレイに乗っていくのは難しいから、俺の後をついてきてくれ」
そう言って京也はハクレイの背中から降りる。ニャオウはそのままハクレイの背中に乗っている。迷宮の中には色々な罠があるので、馬に乗って迷宮に入るのは危険だった。
「よし、突入するぞ」
京也が邪神の地下迷宮の入り口に入り、ニャオウを乗せたハクレイがそれに続く。迷宮の内部はハクレイが歩くのに問題ないくらい広く、床も歩きやすかった。狭い洞窟タイプのダンジョンなら、ハクレイと一緒には探索できなかっただろう。
さらに地下迷宮の中は、壁のところどころが光っていて、光球の生活魔法を使わなくてもいいくらい明るかった。
「早速、地下への階段か」
京也達が入り口からまっすぐ通路を進むと、すぐに下の階へ続く階段があった。彼等はその階段を降りて地下一階に到着する。
「さて、ここにはどんなモンスターがいるんだろうか」
このダンジョンはレジェンドワールドに登場してないダンジョンだった。それで京也にもこのダンジョンに何のモンスターがいて、どんな宝があるのか知らなかった。
「キョウヤ、近くにいます」
「その先の曲がった所ニャ」
「ああ、警戒しながら進むぞ」
京也達が地下迷宮の通路を進むと、通路の先にゴーストが四体いた。ゴーストとは実体を持たない人型のモンスターで、体が透けていて、膝から下は完全に見えなかった。ゴーストはゆらゆらと揺れながら、京也達に向かってゆっくりと接近してくる。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
「う゛う゛う゛う゛あ゛あ゛あ゛」
ゴーストは不気味な声を発しながら、京也達に近づいてくる。
「ニャーー! 不気味なのニャ!」
「あれはゴーストですね」
「闇のモンスターだな。ならこいつが有効だ」
京也はラグナヴァリスをゴーストに向けて構える。実体を持たないゴーストには物理攻撃が効かないが、光の魔法剣ラグナヴァリスの光の斬撃ならダメージを与えることができた。そしてゴーストは闇属性なので、光属性の攻撃が弱点だった。
「行くぞっ!」
京也は四体のゴースト達に向かって突撃する。
「ブフアアアアアッ!」
それに対しゴースト達は口から紫色の霧のような毒の瘴気を吐き出した。それを見た京也は突撃を止める。
「無駄だ!」
京也は装備しているミカエルのロザリオの効果で毒を無効化できるのだが、わざわざ毒の瘴気に触れるのも不快なので、ラグナヴァリスを豪快に垂直に振るい、毒の瘴気を切り裂き、道を作り出す。
「加速!」
京也は一瞬でゴーストに接近し、ラグナヴァリスで光の斬撃を次々と放つ。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
四体のゴーストは京也の光の斬撃によって体を真っ二つに斬られ消滅した。
「ん? ゴーストは倒したら完全に消滅するのか。ならドロップアイテムはないのか」
京也はメニュー画面を開き、スキル画面を表示する。だがそこに新しいスキルはなかった。
「スキルもなしか。ゴーストは倒しても少ししか経験値をもらえないし、あんまりうまみがないな」
「キョウヤは倒したモンスターのスキルを習得できるんですよね。ならゴーストを倒し続ければ、今の毒の瘴気を習得できるんじゃないですか」
「状態異常系のスキルか」
(でもレジェンドワールドでは、状態異常系スキルはボスには効かないから、あんまり使わなかったな)
レジェンドワールドではボスに状態異常系スキルは効かなかった。効いてしまうと難易度が下がってしまうからである。雑魚敵には状態異常系スキルは有効なのだか、それを使うより高威力のダメージを与えるスキルを使ったほうが早く倒せるので、雑魚敵にも使う機会がなかった。
「まあ、習得してれば、いつか使う場面があるかもしれないか」
「キョウヤ、先に進むのニャ!」
京也達はさらに地下一階を進んでいく。このフロアはあまり複雑な作りではなく、簡単に地下二階への階段を見つけることができた。
京也達はその階段を降りて地下二階に到着する。
「むっ、モンスターの気配です」
「今度は一体だけニャ」
「ゴーストとは違うな。強い魔力を感じる」
京也達は警戒しながら先に進み、広い部屋に到着すると、そこには身長三メートル以上あり巨大な人型のモンスターがいた。そのモンスターは体が鉄製のような体だった。
「でかいニャ!」
「あれはゴーレムです!」
「鉄でできたゴーレムだからアイアンゴーレムだな」
次回 光の妖精 に続く




