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最強エルフとスキルを失った冒険者  作者: 霧野夜星


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第〇十二話 ラージ帝国軍 VS 銀の竜殺し

「そうか。まあ、どっちにしろ俺達は城壁の上から攻撃するしかない」


 守備隊長は京也が剣士だと思っているので、彼の魔法には、あまり期待してなかった。


「隊長! そろそろ敵が来ます!」

「わかった。では城壁の上に行こう。皆も頼む」


 京也達は街を取り囲む城壁の上に移動し待機する。しばらくするとラージ帝国軍一万の軍勢の姿が見えた。


「おお、一万って結構多いな」


 レジェンドワールドの中では兵士一万というのはそれほど大規模な戦力ではなかった。ゲームの中では十万対十万くらいの戦いもあったほどだ。だが実際に一万人の兵士を見た京也は、その数の多さに驚く。


「弓隊と魔法使いは、射程内に入ったら問答無用で攻撃してくれ。遠距離攻撃できない奴は、城壁を登ってこようとする奴らに石を落とすんだ」

(ふふふ、とうとう戦争イベント開始だ。やってやるか!)


 京也は戦争という殺伐とした戦いを前に不謹慎だとは思ったが、同時にこれからの戦いが楽しみだった。


(まあ勝算があるからワクワクするんだけどな)


 京也がゲーム感覚で戦おうとしてると、ラージ帝国軍一万の兵が進軍してくる。そして水の街セレスの手前で全軍がいったん停止し、後方にいるラージ帝国皇帝が命令する。


「歩兵部隊、攻撃開始!」

「進めー!」

「うおおおお!」


 ラージ帝国軍の歩兵は、城壁にとりつこうと突撃してくる。


「おい、灼熱の剣! お前の出番だ!」

「任せてもらおう。高い報酬分の働きはしよう」 


 赤い全身鎧を身に着け、馬に乗っているラージ帝国のSランク冒険者『灼熱の剣』も歩兵と共に突撃する。魔術師部隊と帝国騎士団は後方で待機している。

 突撃してくるラージ帝国の歩兵の中に長いはしごを持つ部隊がいて、それで城門を登ろうとしていた。さらに城門を破壊しようとする攻城兵器部隊も向かってくる。


(今回の敵は広範囲にいるから全力で魔法を使う)


 京也は精神を集中して全力の魔力を全身から放出する。


「なっ!」

「この魔力は!」


 城壁の上にいた兵士や冒険者達が、本気の京也の魔力を見てその強大さに驚く。


「エナジードレイン!」


 京也は城壁に迫っていた歩兵を狙ってエナジードレインを使用した。そのエナジードレインの波動が突撃してくる歩兵の半数近くに届く。


「ぐっ! 何だ?」

「ち、力が抜ける!」

「お、俺も力が入らない……」


 エナジードレインの波動を受けた帝国軍の歩兵達は京也に経験値を奪われ、全員レベル1になっていた。さらにラージ帝国Sランク冒険者『灼熱の剣』もレベル1になっていた。

 歩兵とSランク冒険者の経験値を奪った京也は、一度にレベルが132まで上がった。


 キョウヤ 16歳 人間

 称号

 竜殺し


 レベル 132

 HP  16240/16240

 MP  1702/1702


 攻撃力 1568

 防御力 1527

 魔力  1504

 速さ  1539


「すげぇ! 一度にこれだけレベルが上がった! そうだ、スキルはどうなった?」


 京也が習得していたエナジードレインは、経験値だけでなく相手のスキルを奪う能力も持っていた。それで彼はスキル画面を開き確認する。


 錬金術      

 魔力と物質を融合させて新たな物質を作り出す 

 消費MP 可変


 魔法障壁     

 魔法を防ぐ障壁を展開する 状態異常魔法は防げない

 消費MP 20


 バーストショット 

 魔力をまとわせた射撃武器を放つ 命中した時、爆発する

 消費MP 15


「あれだけ経験値をもらえたのに、やはりスキルは三つだけか。スキルの説明どおりだな。それにどれを奪うかは選べないようだ」


 エナジードレインも万能ではなく、一度に入手できるスキルは三つまでという制約があった。そして連続では使えず、もう一度エナジードレインを使うには一時間以上の時間が必要だった。


「まあいい、魔力が1500を超えた。それでもカーナの足元にも及ばないけど、魔法強化のスキルがあるから実質3000で魔法が使えるはず」


 マンティコアから得た魔法強化のスキルは、魔法の威力が二倍になるスキルである。京也は全身から先ほどよりも強大な魔力を放出してそれを雷に変換し、レベルが1になった歩兵に向かって雷魔法を広範囲に放つ。


「サンダーストーム!」


 レベルが1になった歩兵と、後方の無事だった歩兵の足並みがそろわず、混乱していた帝国軍の歩兵達の半数以上に、京也の広範囲に放った雷の上級魔法が命中した。


「ギャーーーッ!」

「グアーーーッ!」

「ガアァァァッ!」


 レベルが1になった歩兵達は、京也の雷魔法がかすっただけで倒れていく。Sランク冒険者もその雷魔法に巻き込まれ、何の活躍もできず倒れた。


「馬鹿な!」

「何だ! あの魔法は!」

「敵にとんでもない魔法使いがいるぞ!」


 一撃で歩兵の半分以上を失った帝国軍は、雷魔法を放った者に恐怖する。


「まるで業火のエルフの雷版だ!」

「すげー! あんな雷魔法、初めて見たぞ!」

「これなら勝てる!」


 一方、城壁の上の兵士や冒険者達は、京也の魔法を称賛している。


「歩兵の半数以上がやられました!」

「灼熱の剣もやられたようです!」

「残ってる歩兵達は、恐怖で前に進みません!」

「た、退却だ! 次が来る前に全軍退却しろ!」


 ラージ帝国皇帝がそう命令し、皇帝自身も急いで撤退を開始する。騎士団長と魔術士団長も、慌てて一緒に逃げていく。


「帝国軍が退いていくぞ」

「や、やった! セレスは救われた!」

「銀の竜殺しが、やってくれた!」

「あいつ魔法も使えるのかよ。しかもあんな凄い魔法を!」


 兵士や冒険者達は、この戦いの勝利に喜んでいる。


「やっぱり敵全体には届かなかったか。カーナなら余裕で届くんだろうな」


 敵を半数近く倒せば、それは壊滅と言っていいのだが、カーナという規格外の存在を知っている京也は、敵を全滅できなかったのが少し悔しかった。


「まあ、街は守れたし、カーナがいれば国境の砦も取り返せるだろうし、今回はこれでいいか」



 場面はその国境の砦に変わる。国境の砦は周囲が高い城壁で囲まれていて、その城壁の上には兵士が戦う場所があり、そこにラージ帝国軍が隊列を組んで配置されている。そこへフルーレ国軍と冒険者達が到着し、ラージ帝国軍と戦闘が開始されていた。


「マジックジャベリン!」


 国境の砦の上空を飛行魔法で飛んでいるカーナは、体の周りに無数の魔力の槍を作り出し、それを城壁の上のラージ帝国兵に向けて放つ。


「ぐあああああっ!」

「ぎゃあああああっ!」

「空だ! 空に誰かいるぞ!」

「ご、業火のエルフだー!」


 カーナが使ったマジックジャベリンは無属性の魔法である。彼女は砦が火事にならないように火属性魔法は使わなかった。


「よし! 城門が開いた、突撃しろ!」

「おおー!」


 フルーレ国軍の特殊部隊が、カーナが空中から攻撃してる間に城門の内側に侵入して門を開け、ほかの兵士達を砦内に引き入れる。そこでフルーレ国軍とラージ帝国軍との直接戦闘が始まった。


「しかし、業火のエルフがいれば砦なんか意味をなさないな」

「確かに空を飛べて圧倒的な火力があれば、砦の攻略なんて簡単だ」


 戦いは、終始フルーレ国軍の優勢で進んだ。そして数分後……


「もう勝負は決まったな」

「……思ってたより敵の兵力が少ないような」

「大変です! 将軍!」


 フルーレ国軍の将軍達に伝令の兵士が近寄る。


「ラージ帝国軍の主力は、水の街セレスに向かったようです!」

「何!」

「皇帝も騎士団もセレスへ向かったと思われます」

「まずいぞ! 砦を取り返してもセレスを落とされたら……」


 将軍達が報告を聞いて動揺していると、砦の上空から戻ってきたカーナが彼等に声をかける。


「私がセレスへ飛行魔法で先行して向かいましょうか?」

「おお、それは助かる」

「我等は砦の残党を倒して、完全に砦を取り返してからでないと動けない。ここはカーナ殿に頼むしかない」

「お任せください」


 カーナは飛行魔法で水の街セレスへ向かって飛んでいく。


「ん? あれは……」


 カーナが国境の砦から飛び立って数分後、地上にラージ帝国軍の姿が見えた。


「あれって帝国軍よね。なんか進んでる方向が違うような気がするけど」


 ラージ帝国軍は水の街セレスから撤退中なので、カーナには軍の動きがそう見えた。彼女は確認するため、退却中のラージ帝国軍の前に着地する。



 次回 ラージ帝国軍 VS 業火のエルフ に続く

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