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最強エルフとスキルを失った冒険者  作者: 霧野夜星


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第〇十三話 ラージ帝国軍 VS 業火のエルフ

「ん? 何だ? お前は」

「空から現れたのか」

「ん、エルフか」

「こ、この女は……業火のエルフだ!」

「!」

「!」

「!」


 京也に敗北し意気消沈している皇帝や騎士団長やそのほかの帝国兵は、突然現れたカーナに驚く。魔術師団長は彼女を見て震えている。


「どうした? 魔術師団長」

「し、信じられない。帝国最強の俺の魔力と桁が二つは違う……」

「何だと!」

「なら、騎士団長! お前が何とかしろ!」

「む、無理だ……あの魔力のプレッシャーで近づくこともできない。お、俺が百人いても彼女には勝てない」

「!」


 カーナが身にまとう魔力の凄さに恐怖し、顔面蒼白になっているラージ帝国皇帝達に、カーナが話しかける。


「ちょっと聞きたいんだけど、あなた達どこに行くの? セレスも王都も方向が違うわよね」

「うわーー!」

「に、逃げろー!」


 先ほど雷魔法の一撃で兵力の半分以上を失ったラージ帝国軍は、また魔法で攻撃されると考えパニックになる。


「ずいぶん逃げ腰ね。まあ、人の国を侵略するような下衆は一人も逃がさないけど」


 カーナは全身から大気が震えるほどの凄まじい魔力を放出し、それを大量の火に変換する。その火がカーナの体の周りを渦巻くように舞っている。


「フレイムブラスター!」


 カーナは大量の火を操り、逃げまどう帝国軍に向けて広範囲に放つ。


「ぎゃああああ!」

「ぐあああああ!」

「た、助け……」


 ラージ帝国軍は、カーナが放った人が一瞬で灰になるほどの超高温の火に焼かれ全滅した。ラージ帝国騎士団は魔法防御力の高い鎧と盾を装備していたが、カーナの65535の魔力の前では無力だった。皇帝も騎士団長も魔法師団長も等しく、カーナの火の最上級魔法によって一瞬で灰になった。


「帝国軍の様子、おかしかった。まるで何かにおびえている様な……全滅させたけど、一応セレスに戻ってみるか」


 その後、カーナは飛行魔法で水の街セレスに到着し、襲ってきたラージ帝国軍が京也の魔法によって撤退したことを知ったのだった。



 侵攻してきたラージ帝国軍が壊滅してから数日後、京也は冒険者ギルドに来ていた。今回のラージ帝国軍との戦いの報酬をもらうため、京也はギルドマスターと会う約束をしていたのである。彼は冒険者ギルド内のカウンターへ行く。


「ギルドマスターに会いに来たんだが」

「あっ、キョウヤさん。ギルマスは二階の応接室でお待ちです。キョウヤさんが来たら応接室に案内するように言われています」

「応接室か」

「その前にギルドカードを提示してください。キョウヤさんは今日からBランクになります」

「もうランクアップポイントがたまったのか?」

「いえ。今回はポイントがたまったからではなく、帝国軍との戦いの功績がギルドマスターに認められたからです」

「ほう、そういうこともあるのか」


 京也は言われた通り冒険者ギルドカードを渡す。


「ギルドカードには魔物の討伐数はカウントされますが、倒した人間の数はカウントされません。だから帝国兵を何人倒しても、討伐数ではランクアップポイントは入らないんですよ」

「そういうシステムなのか」


 受付嬢が赤色に変化した冒険者ギルドカードを京也に返す。


「はい。ではご案内しますね」


 京也と受付嬢が、冒険者ギルドの二階に向かう。二人が応接室の前まで来ると受付嬢がドアをノックする。


「キョウヤさんをお連れしました」

「おお、よく来たな。入ってくれ」

「ではキョウヤさん。どうぞ」


 京也は応接室に入り、受付嬢は一階に戻る。その応接室にはギルドマスターと、身分の高そうな美しい女性と、その護衛らしき騎士が二人いた。


「あなたが銀の竜殺しですか?」

「ああ、確かに皆からそう呼ばれいてる」

「おい、こちらはフルーレ国の第二王女セレナ様だぞ。敬語で話せ」

「えっ? ええと……」


 ギルドマスターがキョウヤを注意すると、セレナ王女が右手を上げて制止する。


「すみません。冒険者は礼儀を知らない者が多いので」

「構いません。冒険者は国に使えているわけではないですし、私に遠慮は無用です」


 京也の代わりにギルドマスターがセレナ王女に謝るが、彼女は気にしてなかった。


(いや、相手が王女だとは知らなかったんだから、どうしようもないだろ)


 京也はそう心の中で突っ込む。


「銀の竜殺し、まあ、こっちに座れ」


 ギルドマスターにそう言われ、京也はソファーに座る。


「改めて自己紹介を。私はセレナ。フルーレ国第二王女で、この地域の領主をしています」

「お、俺はキョウヤ、Bランク冒険者です」

「そんなに、緊張しなくても大丈夫ですよ。気軽に話してください」

「は、はい」


 セレナ王女はフルーレ国の王族だが、身分の違いで他人を差別するような性格ではなく気さくな性格なので、庶民にも好かれていた。


「それでギルマス。俺は報酬をもらいに来たんだが」

「ああ、それは……」

「私がお話ししましょう。キョウヤさんは今回の戦いで多大な功績をあげられました。それで私どもがキョウヤさんに特別報酬を払おうと、ここに来たわけです」

「なるほど……」

「で、その報酬ですが、あなたが望むなら王都騎士団長の地位を約束しましょう。キョウヤさんのような強者は、私達が喉から手が出るほど欲しい人材です」

「王都騎士団長ですか……」


 京也は少し考えて決断する。


「それは辞退します。俺は誰かに仕えたりするのは嫌なので」

「やはりそうですか。まあ、そう言われると思ってました。今までSランク冒険者にも何度も勧誘したのですが、誰も地位に興味がなかっので」

「すみません」

「いえ、では代わりに家と土地を贈りたいんですが、どうでしょうか?」

「家と土地ですか」

「セレスの一等地にある物件です。さらに毎年の固定資産税も免除します」

「えっ! 税金免除ですか!」


 税金免除という言葉を聞いて京也の目の色が変わる。


「はい。あなたのような強者に我が国をホームにしてもらえれば、こちらにもメリットがあります」

「なるほど、自分の家がこの国にあれば、財産を守るために外敵と戦うということですね」

「はい。そういうことです」

(この王女様、なかなかしたたかだな。だがこれはいい条件だ。宿屋暮らしともおさらばできる)

「わかりました。その報酬を受けます」

「ありがとうございます。キョウヤさんに報酬を受け取ってもらえて、こちらも肩の荷が下りました」

「実は業火のエルフも、国から家と土地をもらってこのセレスに住んでるんだ」

「そうだったか。彼女がフルーレ国にいる限りこの国は安泰だな。ん、ちょっと待て」


 京也はギルドマスターの情報を聞いてあることに気付く。


「確かにカーナがこの国にいれば安泰ですが、逆に出て行かれたら危険になります。まさか彼女を監視したり国から出られないようにしてたりは」

「それはありません。そんなことをして彼女の怒りに触れたら、私達が彼女に滅ぼされてしまいます」

「なら俺も自由にしていいんですよね」

「もちろんです。私達がすることは、あなた達のような強者が住みやすい場所を提供することだけです」

「わかりました。その言葉を信じます」


 こうして京也は水の街セレスに家と土地を持つことになった。



 数日後、手続きが終わり、京也は冒険者ギルドの職員と共に報酬でもらった家にやってきた。


「ここが今日からキョウヤさんの家と土地になります」

「なかなかいい家だな。庭も広いし」


 京也に贈られた家と土地は、水の街セレスの庶民の一軒家より広く豪華なものだった。だが貴族の屋敷ほどの大きさではなく、庶民と貴族の丁度中間くらいの家と土地だった。


「はい。部屋もいっぱいあるしお風呂もあるんですよ。この家と土地を買ったとしたら、目玉が飛び出るほどの金額になるはずです」

「そうか。これはいいものをもらったな」

「では私は仕事があるのでこれで」


 冒険者ギルドの職員は、京也と別れて帰っていく。彼は自分の物となった家に入る。


「家具もそろってるし、ちゃんと掃除もしてあるな。王女が言っていた住みやすい場所を提供するというのは本当だったようだ」


 京也は家の中を探索して家の間取りを把握する。


「だが日本の家と比べると色々不便なんだよな」


 この世界には電気がなく、日本で生活していた京也には、この世界に来てから色々不満があった。


「ふふふ。だが俺には手に入れたばかりの錬金術のスキルがある。これを使ってなるべく日本の家のような快適な生活ができるように改造してやるぞ」



 次回 初めての仲間 に続く

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