聖女様の独り言
『姉さんの作戦、あっさり成功したね~』
『ヴィーも協力してくれたからね~』
『でも、今回の聖女って、ヤバいよね~』
『そうでしょう!!なかなか居ないよね~』
『『シンクロ率、99%!!』』
私の前に白猫と黒猫がニャーニャー言っている。
何を言っているのか、猫語は理解出来ない。
分からないって事はシンクロしてないって事か。
『エヴァ、ヴィー、今日は何?』
頭の中で話し掛けるのも、違和感なく出来るようになってきた。
異世界グローバーでは、私は守護神エヴァンジェリンとその妹神ヴィルヘルミーナの2女神に選ばれた聖女として、数ヶ月が経った。
『私の方は、宰相決めよ~』
と、エヴァが面倒臭そうに言うと――。
『こっちは、神官長決めよ~』
と、ヴィーまでもが面倒臭そうに言う。
女神エヴァンジェリンは王家関連を担当し、妹神ヴィルヘルミーナは神殿関連を担当しているという。
『……、毎回、思うけど自分達で決められないの?』と、尋ねると――。
『モメるのよね~』
『ヒドいものよ~』
『?』
『権力、欲しさに~』
『内戦勃発したり~』
『!!』
そこで、女神の出番!
苦しむのは、無関係な国民だ。
異世界から依り代となる聖女を選び、召喚させる。
『当時って、どうやって召喚させてたの?』
『…え~っと、そうね~』
『き、企業秘密って事で』
『………』
『まぁ、第3者が決めちゃえば』
『案外、上手くいっちゃうから』
『『不思議よね~』』
『………』
冷ややかな目で猫達を見れば、白猫は『明日、宜しくね~』と去って行き、黒猫は『私は3日後ね~』と言って去って行く。
結局、私が決める事になるんだから。
真の聖女だとか、奇跡の聖女だとか、勝手な事ばっかり言ってくれちゃって。
エヴァも、ヴィーも、最近、私に全部決めさせて、全くやる気無いじゃない!!
イシュタルに相談しても「女神のお決めになる事だから――」と言って、やけに女神2人の言いなりだし、何やら弱みでも握られてる?
ま、誰も、女神の言葉には――聖女の言葉には――逆らわない。
みんな、選ばれたからって頑張ってくれるのは嬉しいんだけど。
何て言うかさ、私一人がこのグローバーを思いのままにしてるって言うか…。
異世界って、ホント、これでいいの?
『聖女様の独り言』 END