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ロックとナナで『67』(1)

「明後日ギルドで、キングクロコダイルの一斉討伐があるらしい。『67』にも参加を要請されている」


『67』は、ロックとナナの固定パーティ名だ。ロックとナナでロクナナ『67』。

固定パーティの届け出書類にパーティ名を書く欄があって、その場でロックが考えた名前だけど、ナナは気に入っている。


『67』は今まで一度も討伐依頼を失敗したことが無い。


ギルドでは、若手だけど、わりと実力のある固定パーティとして認識されているようだった。


ギルドからの評価が意外と良かった事にナナは喜んだが、ロックは何か考え込んでいる。


ロックの顔を見ると、あまり乗り気ではなさそうだった。


「ナナ、どうする?」


「私はどっちでもいいけど、ロックには何か憂いがあるの?」


「ナナの魔法は、だいぶ特殊だ。それを知られたくない」


「特殊?他の人と違うの?」


「だいぶ違う」


「違うのを知られると、何か困るの?」


「困りはしない。でも、見られたらナナに引き抜きが来るかもしれない」


「ロック、引き抜かれたって行かないよ。絶対」


「向上心のない俺と固定パーティを組んでる事を、あれこれ言われるかもしれない」


「ロックは向上心があるし、関係ない人たちに何言われたって気にしないよ」


「王都や他領に行こうときっと誘われる」


「え、嫌だよ行かないよ。私は知らない場所は好きじゃないよ。必要もないのに遠出はしたくないよ」

ナナは、20年自室に籠って仕事をしていたくらい、筋金入りの自宅大好き人間だ。


「ナナは、その、いいのか。ずっと俺とここで2人で固定パーティを組んでいて」


「ロック、ロックとだから楽しいんだよ。必要があれば協力はするけど、ずっと他の人と活動するのは嫌だよ。」


「そうか」ロックはホッとした顔をした。


「それで、私の魔法、どの辺が特殊なのかな?」


「まず、魔力付与ができる魔法使いは少ない。できたとしても、魔法での攻撃は弱い」


「え?じゃあ、魔力付与する人は戦闘に参加しないの?」


「しない。少なくとも俺は見た事ない。王都や他領にはいるのかもしれないが、少ないはずだ」


「そうなんだ」


「あと、氷魔法と炎魔法は、14才ではまず使えない」


「え?そうなの?私、最初から使えてたけど・・・」


「水魔法と火魔法の修練をかなり積めば使える。使い手はだいたい30才前後じゃないかな」


「30才・・・」


「ナナは、氷魔法と炎魔法が使えるわりに、魔法の制御は上手くない」


「うっ、ロック辛口。頑張って訓練します」


「辛口じゃない。事実を伝えておいた方がいいから言ってるだけで、俺はナナの魔法に不満はない」


「他には?」


「魔力付与の維持時間がだいぶ長くなってる。最近は30分くらい剣が熱い。30分は、だいぶ熟練の域だ」


「熟練の域じゃダメ?ばれたらまずい?」


「まずいとは言わないが、ばれたらかなり注目される。おそらく、しばらくは周囲がうるさくなる」


「うーん、面倒くさいかも」


「だろう?だから迷ってる」


「断ったら、ペナルティあるの?」


「ペナルティは無いけれど、ずっとここで活動する冒険者としては、あまり良くはない」


「だとすると、参加しないと、今までロックが積み上げてきた信用に傷がつくんじゃないの?」


「だとしても、ナナの周囲がうるさくなるのは嫌なんだよ」


ロックが、自分の信用より、ナナの気持ちを考えてくれている。

ナナの心が温かくなる。


「出ようよ。ロック。うるさくなったらなったで、その時はその時だよ」


「ナナ、信用があろうななかろうが、討伐依頼を受けてこなすだけだ。今までもこれからも」


「それでも、信用は大事だよ。私もロックもこの町でずっと生きていくんだから」


ロックは、ナナの言葉で胸がいっぱいになる。どうしようもなくうれしい。平気なふりをしているが耳が赤い。


「わか、わかった。そうだな、この町でずっと生きていくんだもんな」


そう、ずっとこの町で一緒に生きていく。だから、周囲に隠し事は少ないほうがいい。町への貢献は、できる事なら惜しまずしたほうがいい。


「冒険者なんだから、この先ずっと一斉討伐に出ないのは無理だろうしね」


「そうだな。出る方向で、返事をしておく」



参加が決まればいつもの作戦会議だ。


「キングクロコダイルは、強いの?名前からすると、すごく大きいとか、固いとか?」


「キングクロコダイルは数が多い。すぐ増えるんだ。天敵が少ないのに、一度に20個くらい卵を産む」


「キングなのに?いっぱいいるの?大きいのが1匹なのかと思ってた」


「キングなのは、頭に冠のようなコブがあるからだ。大きくはない。固くて力は強いが、左右へ動かないから討伐難易度は低い」


「まさかの見た目だけキング」


「付与はいつも通り炎。大きな口で噛まれると致命傷を負うから、ナナはまず口を塞いでくれ」


「わかった。炎を付与したら、氷で固める」


「俺は首を落とす。革が固いから一撃では無理だな。2撃目で落とす」


「大体いつもの感じだね。了解」


「ああ、いつもの感じだ。ただ、とにかく数が多い。1パーティ最低5匹で目標10匹だ」


「それは多いね」


「まあ『67』は2人だし、最低数をクリアすればいい」


「目標数クリアすると、何かいいことある?」


「6匹目から報酬が1割上がる」


「5匹で銀貨2枚だが、10匹倒すと銀貨5枚だ」


「すごい!10匹目指そう!どうせならこの機会に稼ごう!」


「ナナ、落ち着け。行ってみて、様子を見ながらだ」


「ナナちゃん、黒目が大きくなってるけど、だいじょうぶ?」


「モモちゃん、だいじょうぶ。ちょっと取り乱しただけ」




固定パーティ『67』は、キングクロコダイルの一斉討伐に参加する事になった。


『67』ロクナナにするか『76』ナナロックにするかで悩みましたが、ロックがパーティリーダーなので『67』になりました。


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